「目のかゆみ・充血・目やに」
これが目の花粉症の3大症状で、この3種類の花粉症目薬を使い分けます。
- 抗アレルギー点眼薬
(主な効果:目のかゆみ・充血) - ステロイド点眼薬
(主な効果:目のかゆみ・充血) - 抗菌点眼薬
(主な効果:目やに)
「この3種類の花粉症目薬をどの症状に使うと効果的なのか」上から順番に解説します。
花粉症の目のかゆみ・充血
花粉飛散シーズン中は多くの方が目のかゆみ・充血に悩まされています。その症状を抑えるために一番に処方される目薬が抗アレルギー点眼薬です。
目のかゆみ・充血が起こる原因
花粉症で目のかゆみ・充血が起こる直接原因は花粉の付着です。
花粉が目に付着すると、ヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンA2などケミカルメディエーターと呼ばれる物質が細胞から遊離して、アレルギー反応を起こさせます。
その結果として、目のかゆみ・充血などの症状が表れます。
目のかゆみ・充血を止めるには
目のかゆみ・充血症状を止めるための方法は2つです。
- ケミカルメディエーターの遊離を抑制する
- ケミカルメディエーターの反応をブロックする(無効化する)
目のかゆみ・充血症状を止める目薬が、抗アレルギー点眼薬とステロイド点眼薬です。
抗アレルギー点眼薬
花粉飛散シーズン前に予防的に使われるケースが多いのが、ケミカルメディエーター遊離抑制作用がある抗アレルギー点眼薬です。
花粉症の症状がすでに出ているときは、抗ヒスタミン作用がある抗アレルギー点眼薬を使うのが一般的です。
「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」を持つ抗アレルギー点眼薬
ケミカルメディエーター遊離抑制作用がある目薬は即効性は期待できませんが、アレルギー反応の軽減や抑制にすぐれた目薬です。
- インタール点眼薬(クロモグリク酸ナトリウム)
- リザベン点眼薬(トラニラスト)
- ゼペリン点眼薬(アシタザノラスト)
花粉シーズンが入る前に使い始めると、花粉のピークを抑えたり、症状の発現を遅らせたりする効果が期待できます。
「抗ヒスタミン作用」を持つ抗アレルギー点眼薬
花粉症の症状がすでに出ているときは、抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー点眼薬を使います。
リボスチン点眼薬(レボカバスチン)
抗ヒスタミン作用のある内服薬に、アレグラ、アレジオン、ザイザル、アレロックなどがあります。
『花粉症薬で眠くなるのは嫌!眠くならない抗アレルギー薬はこれだ!』
「両方の作用」を持つ抗アレルギー点眼薬
「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」と「抗ヒスタミン作用」の両方の作用を持つ抗アレルギー点眼薬もあり、現在はこのタイプの抗アレルギー点眼薬が主流になっています。
- パタノール点眼薬(オロパタジン)
- ザジテン点眼薬(ケトチフェン)
- アレジオン点眼薬(エピナスチン)
※ザジテンのケミカルメディエーター遊離抑制作用は弱い
『パタノールとアレジオン あなたに合う花粉症目薬はどっち?』
抗アレルギー点眼薬の使い方
抗アレルギー点眼薬は1回1滴・1日4回使います。
ほとんどの抗アレルギー点眼薬には目薬の汚染を防ぐために防腐剤が入っていますが、おすすめは防腐剤フリーの目薬です。
その理由はコチラの記事で解説しています。
花粉症目薬の使用期限の目安は開封後約1カ月間です。
『抗アレルギー点眼薬の違い 花粉症になる前に知るべき3つの知識』
ステロイド点眼薬
花粉の飛散量が多い日が続いたときや、花粉症の治療が遅れたときなど、抗アレルギー点眼薬だけでは花粉症が楽にならないとことがあります。
その際に頼りになる花粉症目薬がステロイド点眼薬です。
花粉症でよく使われるステロイド点眼薬は、フルメトロン・オドメール・サンテゾーン・ビジュアリン・リンデロンの5種類です。
『フルメトロンとリンデロン 花粉症に使うならどっちの目薬を選ぶ?』
ステロイド点眼薬の強さ
ステロイド点眼薬には強さの違い(強弱)があり、目のかゆみ・充血への効果は、成分と濃度に比例します。
ステロイド点眼薬の強さを順番に並べると次のとおりです。
ステロイド成分 | ステロイド点眼薬 | 濃度 | 強さ |
---|---|---|---|
フルオロメトロン | フルメトロン | 0.02% | 弱 |
0.1% | 中 | ||
オドメール | 0.02% | 弱 | |
0.05% | |||
0.1% | 中 | ||
デキサメタゾン | サンテゾーン | 0.02% | 中 |
0.1% | 強 | ||
ビジュアリン | 0.02% | 中 | |
0.05% | |||
0.1% | 強 | ||
ベタメタゾン | リンデロン | 0.01% | 中 |
0.1% | 強 |
『ステロイド点眼薬の種類と強さ こう使えば花粉症も吹っ飛ぶよ!』
ステロイド点眼薬の使い方
花粉症が楽になったらステロイド点眼薬は速やかに中止するのが基本的な使い方です。
なぜなら、ステロイド点眼薬はステロイド緑内障という副作用に気をつけなくてはならないからです。
ステロイド緑内障とはステロイドが原因で眼圧が上がる緑内障です。
セレスタミンやプレドニンなどのステロイド内服薬と同様に、強いステロイドほど眼圧が上がりやすいので注意が必要です。
『セレスタミンの強さの秘密はステロイド!だから花粉症に効果抜群』
花粉症の目やに(目脂)
花粉症がひどくなると、目がものもらいのように腫れたり、目やに(目脂)が出たりすることがあります。
目やにが出る原因
花粉症の目のかゆみ・充血が悪化すると、自然に目をかいてしまいます。それが原因で細菌が目に入り、細菌性結膜炎を起こして目やにが出るのです。
目やにを止めるには
目やにを止めるには、目をこするのを止めるか細菌の感染を抑えるしかありません。
目をこするのを止めるためには、目のかゆみ・充血を緩和する抗アレルギー点眼薬、ステロイド点眼薬が有効です。
細菌の感染を抑える薬が抗菌点眼薬です。
抗菌点眼薬
抗菌点眼薬は多くの種類がありますが、花粉症の目やに対策にはクラビット点眼薬がよく使われます。
『ものもらい目薬 クラビット・ガチフロ・ベガモックスの違い』
抗菌点眼薬は花粉症そのものには効かない
抗菌点眼薬はあくまで細菌感染を抑える目薬ですので、純粋な花粉症目薬ではありません。
目の花粉症が悪化したときの細菌性結膜炎に効果を発揮します。
抗菌点眼薬の使い方
抗菌点眼薬の標準的な使い方は、目やにが出ている目に1日3回、1回1滴点眼です。
抗菌点眼薬を使い続けると耐性菌を作る要因になるため、使用期間は最小限にするのが原則です。
『クラビット・ガチフロ・ベガモックス 抗菌点眼薬は花粉症にこう使おう』
花粉症目薬の市販に注意!
目の充血は痛々しく見えてしまいます。
花粉症で目が充血する理由は、花粉の付着によるアレルギー反応と目の血管拡張です。
プリビナ点眼薬(ナファゾリン)は拡張した目の血管を収縮させる薬(血管収縮薬)ですが、医師はよっぽどの理由がない限り使いません。
なぜなら、プリビナ点眼薬は見た目の充血を取っているにすぎず、充血症状を悪化させる可能性があるからです。
しかしながら、その問題の血管収縮薬は多くの市販目薬に使われています。よっぽどの理由がない限り、血管収縮薬入りの市販目薬は使うべきではありません。
『花粉症目薬の市販おすすめ 充血をとらない血管収縮剤フリー3選』
まとめ
花粉症目薬と症状の組み合わせイメージは次の通りです。
花粉症症状 | 軽度 | 重症 |
---|---|---|
目のかゆみ | 抗アレルギー点眼薬 | + ステロイド点眼薬 |
充血 | ||
目やに | + 抗菌点眼薬 |
- 花粉症で目のかゆみ・充血が起こる原因は、ヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンA2などが細胞から遊離によるアレルギー反応
- 抗アレルギー点眼薬はたくさんあるが、「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」と「抗ヒスタミン作用」の両方の作用がある目薬が主流である
- 抗アレルギー点眼薬だけで、花粉症の目のかゆみや充血が治まらないときは、ステロイド点眼薬が試される
- 目の花粉症が悪化したときの細菌性結膜炎には抗菌点眼薬が有効
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