ナゾネックス点鼻薬はステロイドの点鼻薬です。
ステロイド点鼻薬はアレルギーや炎症を抑える作用があるため、鼻花粉症によく使われています。
鼻水や鼻づまりがひどいため、花粉症だと思って耳鼻科を受診すると、
- 「花粉症ではなく副鼻腔炎(ふくびくうえん)です」
- 「鼻茸(はなたけ)ができていますね」
と言われることも少なくありません。
こんなときに処方される薬のひとつがナゾネックス点鼻薬です。
※ナゾネックス点鼻薬の正式名称は、ナゾネックス点鼻液です。
ナゾネックス点鼻薬とは
ナゾネックス点鼻薬はモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を主成分とするステロイド点鼻薬です。
ナゾネックス点鼻薬は56噴霧用(14日分)と112噴霧用(28日分)の2種類があります。
左:ナゾネックス点鼻薬56噴霧用
右:ナゾネックス点鼻薬112噴霧用
ステロイド点鼻薬は4種類(ナゾネックス、アラミスト、エリザス、フルナーゼ)がありますが、花粉症で使われるのはナゾネックスとアラミストが圧倒的です。
『ステロイド点鼻薬の特徴(アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス)』
どちらも1日1回の点鼻で済むので使い勝手がいいからです。(エリザスも1日1回タイプですが、粉を点鼻するやや特殊な点鼻薬です)
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、副鼻腔に細菌が入り炎症を起こすことをいい、慢性化した副鼻腔炎は蓄膿症(ちくのうしょう)とも言われています。
副鼻腔は鼻の穴の近くにある4つの空洞のことです。
副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザをこじらせたときに起こりやすく、風邪や花粉症の症状(鼻水、後鼻漏、鼻づまり、痰、頭痛)と似ています。
副鼻腔の炎症が長引いた場合、膿を外へ出す能力が弱まり、膿が鼻道(膿を外へ出す通路)をふさぎます。
この状態になると副鼻腔炎は慢性化し、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)という厄介な病気へ発展します。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は鼻茸(鼻ポリープ)や臭いがわからなくなる嗅覚障害を起こすので、早期に対応が必要です。
ナゾネックス点鼻薬は副鼻腔炎に効く?
海外では、ナゾネックス点鼻薬は急性副鼻腔炎の点鼻薬として使われている国(例:カナダ)もありますが、日本の健康保険では、アレルギー性鼻炎(花粉症)にしか使えません。
『ナゾネックス点鼻薬は花粉症にすぐに効かない!効いてくるのはX日後』
しかしながら、ナゾネックス点鼻薬は副鼻腔炎の鼻水・鼻づまり・後鼻漏の症状を抑える効果があることが分かっているため、耳鼻科を中心にひそかに使われています。
ただし、ナゾネックス点鼻薬は副鼻腔に直接届きません。だから副鼻腔炎の腫れそのものにはあまり効果がありません。
『ナゾネックス点鼻薬を風邪の鼻水・鼻づまりに?その使い方は間違い』
副鼻腔炎の併用薬
副鼻腔炎の治療には、次にあげる薬にナゾネックス点鼻薬、アラミスト、エリザスなどのステロイド点鼻薬を併用することが多いです。
※リンクをクリックすると、その薬の解説記事にジャンプします。
<鼻づまりを抑える>
抗ロイコトリエン薬
キプレス・シングレア、オノン
『キプレス、シングレア(モンテルカスト)は花粉症鼻づまりに効果良好!副作用と飲み合わせは?』
血管収縮薬
ディレグラ配合錠
『ディレグラは長期服用は厳禁!でも花粉症鼻づまりにケタ外れの効果あり』
血管収縮点鼻薬
トラマゾリン、プリビナ、コールタイジン
鼻茸とは
鼻茸(はなたけ)は鼻の中にできる良性のデキモノで、鼻ポリープ・鼻キノコとも呼ばれています。
鼻茸と慢性副鼻腔炎は密接に関係しています。
鼻茸がある方のほとんどは慢性副鼻腔炎を発症しているからです。
小さい鼻茸は鼻水・鼻づまり・後鼻漏を感じるくらいですが、鼻茸が大きくなると鼻道を圧迫して頭痛・嗅覚障害・味覚障害を起こします。
ナゾネックス点鼻薬は鼻茸に効く?
海外の多くの国では、ナゾネックス点鼻薬は鼻茸の点鼻薬として使われていますが、日本の健康保険ではアレルギー性鼻炎(花粉症)にしか使えません。
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ
『ナゾネックスの使い方 ステロイド点鼻薬は花粉症にこう使おう!』
しかしながら、鼻茸はナゾネックス点鼻薬が届くところへできることが多いため、耳鼻科を中心にひそかに鼻茸治療に使われています。
ただし、大きすぎる鼻茸や効果が不十分なときは手術で取り除くことが多いです。
『ディレグラは長期服用は厳禁!でも花粉症鼻づまりにケタ外れの効果あり』
まとめ
- ナゾネックス点鼻薬は鼻茸の炎症を抑える効果がある
- ナゾネックス点鼻薬は副鼻腔炎の鼻水・鼻づまり・後鼻漏の症状を抑える効果がある
- 日本の健康保険では、ナゾネックス点鼻薬はアレルギー性鼻炎(花粉症)にしか使えないが、耳鼻科では「副鼻腔炎」「鼻茸」に使われている
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