不動産投資は投下した現金から多くのキャッシュフローを得ることが大切です。
そのためには、できるだけ自己資金(キャッシュ)を減らさないように、ローンの質にこだわらなくてはなりません。
不動産投資とローンは切っても切れない関係です。
ローンの質は不動産投資の成功・失敗に大きく関わるので、比較する方は多いと思います。
不動産投資ローンは、金利が低いほど総返済額が減るため、低い金利がいいのはいうまでもありません。
ローンの期間(融資期間)も、短いほうが総返済額は少なくなります。
つまり、ローンの総返済額を低く抑えようとすれば、金利を低く、融資期間を短くします。
しかし、不動産投資ローンについては、少し特殊な考え方をするのが一般的です。
不動産投資ローンの金利と融資期間の比較。
不動産投資ローンの良し悪し(ローンの質)を判断するローン定数(K%)を解説します。
不動産投資ローンの考え方
住宅ローンにおいては「融資期間を短くして金利負担の総額をおさえるのが良い」という考え方もあります。
しかし、不動産投資ローンでは、できるだけ長期間のローンを組み、毎月の返済額を下げ、多くのキャッシュフローを得て、そのキャッシュフローを元に資産を拡大する戦略が一般的です。
毎月の返済額などのローンの質を判断する指標が、ローン定数(K%)です。
不動産投資ローンの質の比較は、ローン定数の比較で解決できます。
ローン定数(K%)とは
ローン定数とはローンの調達コスト
ローン定数とは、ローンの調達コストのことです。
K% :Loan Constant(ローンコンスタント)
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ローン定数はローン調達コストですので、低いほど【不動産投資ローンの考え方】と同じ有利な不動産投資ローンであるということです。
ローン定数の計算
次の条件の不動産投資ローンのローン定数を計算してみましょう。
ローン金額 | 900万円 |
---|---|
金利 | 2.5% |
融資期間 | 30年 |
=(年間返済総額 / 残高)×100
=(426,720円 / 900万円)×100
= 4.74%
ローン定数と金利の比較
不動産投資ローンは、金利が低いほどローン定数が小さく、金利が高いほどローン定数が大きくなるのは想像がつくと思います。
確認のため金利を変化させてローン定数を比較してみましょう。
不動産投資ローンの条件は、ローン金額900万円、融資期間30年です。
金利 | 1.5% | 2.0% | 2.5% | 3.0% | 3.5% |
---|---|---|---|---|---|
K% | 4.14% | 4.44% | 4.74% | 5.06% | 5.39% |
ローン定数と融資期間の比較
不動産投資ローンの融資期間は、短いほどローン定数が大きく、融資期間が長いほどローン定数が小さくなります。
融資期間を変化させてローン定数を比較してみましょう。
不動産投資ローンの条件は、ローン金額900万円、金利2.5%です。
融資期間 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 |
---|---|---|---|---|---|
K% | 8.00% | 6.36% | 5.38% | 4.74% | 4.29% |
ローンの金利を比較する方は多いですが、融資期間を比較する方は少ないようです。
しかし、融資期間は金利以上のインパクトがあり、必須の比較対象であることがわかります。
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ローン定数と金利と融資期間の比較
不動産投資ローンの金利と融資期間を混合してローン定数を比較します。
ローン定数はローンの金額には影響を受けず、ローンの金利と融資期間のみで決定されます。
2つのローン条件があるとします。
ローンA | ローンB | |
ローン金額 | 1000万円 | |
金利 | 1% | 3% |
融資期間 | 15年 | 30年 |
金利を単純に比較して、1%のローンAの方が不動産投資に有利なローンに見えませんか?
ローンAのローン定数を計算してみましょう。
=(年間返済総額 / 残高)×100
=(718,188円 / 1000万円)×100
= 7.18%
ローンBのローン定数はどうでしょうか?計算してみます。
=(年間返済総額 / 残高)×100
=(505,920円 / 1000万円)×100
= 5.06%
金利が1%のローンAの方が、金利が安いため不動産投資に有利なローンに見えますが、数値でK%を比較すると、金利が高くても融資期間の長いローンBの方が有利なローンであるとわかります。
ローン定数を低くする方法は、低金利、長期間です。
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ローン定数を使った繰り上げ返済
ローン定数はローン調達コストでしたね。
ローン定数が分かれば、繰り上げ返済した時のローン返済額の目安が計算できます。
繰り上げ返済(返済額軽減型)をすれば、「ローン定数×繰り上げ返済額」ローンの返済額が減ります。その金額が、繰り上げ返済の効果です。
<繰り上げ返済例>
ローン定数=6.58%のローンについて、100万円分繰り上げ返済する。
年間のローンの返済額は、約65,800円減少します。
つまり、ローン定数が高いほど繰り上げ返済はメリットがあります。
複数の不動産投資ローンを走らせている場合は、ローン定数を比較して繰り上げ返済するローンを決定します。
『住宅ローン繰り上げ返済の効果をシミュレーション! 計算式でタイミングもばっちり』
まとめ
- 不動産投資では、ローンを使って多くのキャッシュフローを得て、そのキャッシュフローを元に資産を拡大する戦略を取る場合が多い
- 不動産投資ローンの質は、ローン定数を比較する
- ローン定数とは、ローンの調達コスト
- 不動産投資ローンの金利が低い→ローン定数が小さい
金利が高い→ローン定数が大きい - 不動産投資ローンの融資期間が短い→ローン定数が大きい
融資期間が長い→ローン定数が小さい - 不動産投資ローンの融資期間の長さは、金利の低さ以上にローン定数に影響を与える場合がある
- 不動産投資ローンは、「金利を低く、融資期間を長く」が基本的な考え方
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