インフルエンザを発症した子供(幼児)の場合、インフルエンザの飲み薬と吸入薬は3種類あります。
- タミフルドライシロップ
- イナビル
- リレンザ
しかし、リレンザは吸入方法が特殊なため子供に使用されることは少なく、事実上タミフルドライシロップとイナビルの2択です。
タミフルドライシロップとイナビルは苦味がきつく、さらにイナビルは一発勝負のインフルエンザ吸入薬です。
どちらを選んでも、いろいろな意味で服用に苦労する薬が、タミフルドライシロップとイナビルです。
タミフルドライシロップの飲み方、使い方
0歳児もタミフルドライシロップが使える
タミフルドライシロップの治療投与と予防投与の飲み方、使い方
– | 治療投与 | 予防投与 |
---|---|---|
1kgあたりの1回用量 (1歳以上) |
約0.067g/体重1kg | |
1日服用回数 | 2回 | 1回 |
服用日数 | 5日間 | 10日間 |
2015年-2016年シーズンまでは、タミフルドライシロップは1歳以上からしか使えませんでした。
2016年11月24日から、医師の判断で0歳児もタミフルドライシロップを使えるようになりました。
約0.1g/体重1kg、1日2回、5日間服用
ただし、飲ませるのが難しいでしょう。
タミフルドライシロップの開始はいつから?
- タミフルドライシロップを治療に用いる場合には、インフルエンザの症状が発現から2日(48時間)以内に飲み始めます。
- タミフルドライシロップを予防に用いる場合には、インフルエンザ患者に接触してから2日(48時間)以内飲み始めます。
(症状発現もしくは接触から2日(48時間)経過後に服用を開始した場合の有効性を裏付けるデータはありません)
インフルエンザウイルスは、短時間で爆発的に増殖します。
タミフルドライシロップをもらったら、とにかく1回目を帰宅後すぐに服用してください。
タミフルドライシロップの味は苦い!
ミックスフルーツ味って本当?
タミフルドライシロップはミックスフルーツ味といわれていますが、とんでもないです。
口に入れた瞬間は若干の甘みを感じますが、すぐに苦い味が襲ってきます。
(大人が飲んでも嫌な苦い味です)
そのため、毎年タミフルドライシロップを飲んだ子供(幼児)は、苦い味が原因で吐いてしまう。という事例が発生します。
タミフルドライシロップの苦い味をごまかす工夫 飲ませ方
タミフルドライシロップの苦い味を軽減して飲みやすくするために、次のような食品に混ぜるなどして工夫します。
- チョコアイス(濃い味)
- ココア
- スポーツドリンク(濃い味タイプ)
- 100%オレンジジュース
安いバニラアイスや、濃度の薄い(味の薄い)りんごジュースなどにタミフルドライシロップを混ぜてしまうと、苦い味が増してしまうようです。
袋オブラートを使うのも飲ませ方のひとつです。家に常備しておいてもいいかもしれません。
(ただし、量が多い場合は何袋かに分けないと破れる)
タミフルドライシロップは効かない?
タミフルドライシロップは効かないといわれる場合がありますが、そんなことはありません。インフルエンザへの効果が認められています(後述)。
タミフルドライシロップが効かないのは、苦い味のためしっかり服用できないことが原因です。
また、タミフルドライシロップは、体重1kgあたりの1回量は約0.067g(1歳以上)ですので、体重が20kgの場合の1回量は1.3g程度になります。
子供(幼児)の体重の増加とともに、薬の量も増えるため服用が難しくなります。
(体重が37.5kg以上あれば、タミフルカプセルが使えます)
『インフルエンザ薬 タミフルと吸入薬イナビルの効果と副作用』
タミフルドライシロップは効かないではなく、しっかり飲めないため効いてこないのです。
イナビルの使い方(吸入)
イナビルの治療投与と予防投与の使い方(吸入)
– | 治療投与/予防投与 | 予防投与 | |
---|---|---|---|
対象 | 10歳以上の子供 大人 |
10歳未満の子供 | 10歳以上の子供 大人 |
用法用量 | 1回2本 | 1回1本 | 1回1本 |
投与期間 | 1日間 | 1日間 | 2日間 |
イナビルは、2016年-2017年シーズンから10歳未満への子供にも予防投与ができるようになりました。
『タミフル、リレンザ、イナビルはインフルエンザ異常行動の原因?』
イナビルも効かない?
イナビル吸入方法ムービー
出典:第一三共HP
イナビルもタミフルドライシロップと同様に効かないといわれる場合がありますが、そんなことはありません。
インフルエンザへの効果は認められています(後述)。
イナビルの添付文書(医療者用の薬の説明書)には、タミフルドライシロップのように、「1歳未満の子供に対する安全性、有効性は確立していません(次回の添付文書改定でおそらく削除)」というような記載はありません。
→2016年11月24日から、医師の判断で0歳児もタミフルドライシロップを使えるようになりました。
イナビルは吸入できるのであれば、何歳からでもイナビルの使用は可能です。ただし、正確に吸入できる年齢は5歳以上と言われています。
イナビルが効かないは、正しく吸入できなかったことが原因のひとつです。
イナビルの味も苦い
タミフルドライシロップの味が苦いことは意外と知れ渡っているようです。
イナビルの味も結構苦いです。
(イナビルは吸入薬です。服用する薬ではありません)
うまく吸入できたときは少し苦みを感じる程度ですが、うまく吸入できなかったときはイナビルの粉が口の中に残り、口の中全体に苦みが広がります。
それが原因で、子供(幼児)はイナビルの吸入中に吐いたり、吸入を嫌がったりする場合もあります。
タミフルドライシロップとイナビルの子供(幼児)への治療効果の違い
タミフルもしくはイナビルを大人に対して使用した場合、治療効果と予防効果は同等です。
しかし、タミフルドライシロップとイナビルを子供(幼児)に対して使用した場合、一定の条件で効果の優越が認められます。
子供(幼児)に対しては、タミフルドライシロップよりイナビルの方が効果があるようです。
効果の比較条件
- 9歳以下の子供が対象
- 2008年-2009年シーズン
- イナビルは1本吸入
- タミフルは、1回体重1kgあたり0.067g、1日2回5日間服用
イナビルとタミフルの効果(インフルエンザ罹病時間)
イナビルとタミフルの効果(体温が回復するまでの時間)
タミフルドライシロップの予防投与の効果
イナビルの10歳未満の子供(幼児)への予防投与は、2016年-2017年シーズンからですのでデータがありません。
タミフルドライシロップの予防投与の効果のみ記載します。
国外で行われてたタミフルドライシロップの予防投与の結果
(インフルエンザを発症した割合)
– | タミフル服用群 | タミフル非服用群 |
---|---|---|
1歳~12歳の子供 | 4.3% | 21.4% |
第Ⅲ相予防試験(10日間投与)(国外:WV16193) より
私の持つ資料には使用した量についての記載がありません。
ただ、海外でのタミフルドライシロップの用法用量は日本と同じですので、同用量を試験していると思います。
『【妊婦のインフルエンザ】タミフル、イナビル、リレンザは赤ちゃんに大丈夫?』
タミフルドライシロップもイナビルも無理なとき
タミフルドライシロップは吐くし、イナビルも吸入できなかった。インフルエンザは治りませんか?どうしたらいいですか?
毎年、このような相談を受けます。
ご安心ください。
インフルエンザは重症化しない限り、十分な休養と栄養があれば免疫の力で自然に治ります。
どうしても気になるようでしたら点滴薬のラピアクタをどうぞ。
(ただし、ラピアクタを使ったとしてもすぐにインフルエンザ症状がよくなるわけではありません)
タミフルドライシロップなどの抗インフルエンザウイルス薬の服用で、インフルエンザを発症しても比較的早期に熱が下がるようになりましが、
インフルエンザ出勤停止期間は、「インフルエンザを発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日を経過するまで」が目安です。
まとめ
- 子供のインフルエンザの治療には、タミフルドライシロップとイナビルの使用例が多い
- タミフルドライシロップは苦いが、しっかり飲まないと効かない
- タミフルドライシロップの苦い味を軽減するために、食品と混ぜるのもひとつの手段
- イナビルも正しく吸入しないと効かない
- イナビルも吸入に失敗すると苦い
- 子供のインフルエンザに関しては、イナビルの方が効果が高いように見える
ダミフルドライシロップ、イナビルの効果については、添付文書、インタビューフォームのデータを使用しています。
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