投資用マンション購入後は、不動産所得が発生します。
マンション経営で不動産所得が赤字が出るようならば、確定申告をすれば給与所得との損益通算ができるようになります。
損益通算:赤字を黒字と相殺すること
サラリーマンでも、不動産投資(マンション経営)を始めると、今まで経費で落とせなかった支出が経費で落ちるようになります。
不動産所得=収入-経費ですので、経費を多く積み上げることができれば、不動産所得は圧縮できます。
不動産投資家(マンション経営者)なら知っておきたい12種類の経費について説明します。
不動産所得で落ちる必要経費1.2.3 マンション管理費、修繕積立金、町会費
ひとつでもマンションを購入すると、マンション経営者かつ管理組合員です。
立派なマンション経営者かつ管理組合員は、管理組合が決めたルールを守らなくてはなりません。
管理組合は、毎月徴収する管理費と修繕積立金を決定します。
その管理費と修繕積立金、さらに町会費も、不動産所得の全額経費として落とせます。
ワンルームマンションであれば、管理費と修繕積立金の合計は毎月1万円程度が目安です。
(地域、部屋の大きさ、築年数、マンションのグレードにもよる)
不動産所得で落ちる必要経費4 管理委託料
管理委託料も不動産所得の全額経費で落とせます。
管理委託料とは、マンションの管理費とは別にかかる、管理会社へ支払う管理料のことです。
不動産購入後、自分でマンション経営のすべての業務を行うとかなり骨が折れます。
マンション経営の主な業務
- 家賃の集金
- クレーム(トラブル)処理
- 修繕計画作成、修繕の手配
- 入居者の募集など
これらのマンション経営業務を不動産オーナーの代わりに引き受けてくれるのが管理会社です。
管理会社の管理委託料の相場は、家賃の3%~7%です。
不動産所得で落ちる必要経費5 減価償却費
マンションやアパートなどの建物と設備は、年々自然劣化します。
その自然劣化分(不動産価値の低下分)を、減価償却費として経費で落とせます。
減価償却費についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
不動産所得で落ちる必要経費6 ローンの利子
不動産投資は高額の投資です。
不動産購入資金の全部が現金というわけにもいきません。
(ワンルームマンションは、現金で買っていく方もいますが…)
たいていの場合、銀行から融資を受けてマンション経営を開始します。
最近では(2016年)不動産価格の全額の融資を受けて(フルローン)、マンション経営を始める方も多いと聞きます。
ローン返済金は、利子と元金にわかれます。
元金のローン返済は不動産所得の経費で落ちず、利子のローン返済のみが経費で落ちるのがポイントです。
ローンはもろ刃の剣です。
不動産所得で落ちる必要経費7.8 租税公課
マンション経営は税金との闘いです。
租税とは税金。
公課とは公的な負担金をいいます。
明らかに税金であるのに租税公課に含まれないものもあります。
- 法人税
- 住民税
- 所得税
- 加算税
- 延滞税
- 過怠税
これらは不動産所得の経費で落とせません。
不動産取得税
不動産購入後、忘れたころ(約半年後)にやってくるのが不動産取得税です。
不動産取得税は、マンション経営を初めて一番最初に支払う最も高額な租税公課です。
不動産取得税は全額経費で落とせます。
不動産取得税の目安
- ワンルームマンション:数万円~十万円
- 一棟アパート:数十万円
- 一棟マンション:数十万円~数百万円
固定資産税(都市計画税)
固定資産税は、マンション経営を始めると毎年かかる租税公課です。
固定資産税も不動産所得の全額経費で落とせます。
建物の固定資産税は、時間の経過とともに安くなっていきます。
土地の固定資産税は、時間の経過よりは景気に左右される傾向があります。
固定資産税の目安は、不動産取得税の30%~60%くらいです。
不動産所得で落ちる必要経費9.10 火災保険料、地震保険料
地震保険料は、サラリーマンでも地震保険料控除で経費で落とせます。
(ただし地震保険料控除は上限あり)
マンション経営を始めると、火災保険料と地震保険料の全額が不動産所得の経費で落とせます。
ただし、長期契約(2年~10年)の火災保険、長期契約(2年~5年)の地震保険を組んだ場合、その年度に該当する保険料のみ経費にできます。
10年の長期契約、保険料5万円の火災保険に加入した場合
毎年経費で落ちる保険料
=5万円 / 10年
=5,000円
地震保険についての詳しい説明はこちらの記事です。
不動産所得で落ちる必要経費11 修繕費
ワンルームマンション(区分所有)の場合は、マンション本体の修繕は修繕積立金で行えますが、
一棟アパートや一棟マンションの場合は、自分で修繕計画を立てて定期的に修繕を行います。
ワンルームマンションの場合も、入居者が入れ替わるたびに原状回復という修繕を行います。
これらの修繕費全額が不動産所得の経費で落とせます。
(ただし、通常の原状回復を超える修繕は、資本的支出として減価償却が必要になる場合がある)
部屋の主な修繕と修繕サイクルの目安
修繕内容 | 修繕サイクル(年) |
---|---|
フローリングワックス | 入退去時毎回? |
エアコン交換 | 6~10 |
給湯器交換 | 10~15 |
壁紙交換 | 6~10 |
修繕費の詳しい説明はこちらの記事です。
不動産所得で落ちる必要経費12 広告料
広告料とは、入居者を決めてくれた仲介会社に支払う、入居あっせん手数料です。
仲介会社の仲介手数料は、入居者+大家(マンション経営者)=1カ月分(税別)が上限ですが、
仲介手数料とは別に、広告料として大家が家賃の0.5カ月分~3カ月分くらいを負担するのが慣例になっています。
空室を放置するより、広告料を払って早く入居者を見つけることがマンション経営では重要なのです。
マンション経営(不動産所得)の必要経費の計算
手軽にできると話題のワンルームマンション経営の年間不動産所得の経費を計算してみましょう。
今回取り扱うワンルームマンションの詳細
マンションの価格 | 1000万円 |
築年数 | 10年6カ月 |
家賃 | 年間72万円 |
管理費 修繕積立金 |
年間12万円 |
管理委託料 | 5%(税込) |
減価償却資産(建物) | 700万円 |
ローン(金額) | 900万円 |
ローン(期間) | 30年 |
ローン(金利) | 2.5% |
固定資産税 | 年間5万円 |
火災保険料(10年) | 1万円 |
地震保険料(5年) | 1万円 |
マンションの管理費、修繕積立金の経費の計算
特に経費の計算は必要ありません。
年間12万円です。
管理委託料の経費の計算
管理委託料
=年間家賃×委託管理料率
=72万円×5%
=36,000円
減価償却費の経費の計算
中古投資用マンション(建物)の耐用年数
=新築耐用年数-(経過年数×0.8)
=47年-(11×0.8)
=38年
減価償却資産の償却率表より償却率=0.027
減価償却費
=減価償却資産×償却率
=700万円×0.027
=189,000円
ローンの利子の経費の計算
私はみかローンを愛用しています。
こちらのシミュレーションサイトでローンの元金と利子を計算します。
- 年間返済額=426,720円
- 年間利子返済額=222,666円
- 年間元金返済額=205,054円
固定資産税(都市計画税)の経費の計算
不動産取得税は1回きりの税金です。今回の毎年の経費の計算では考慮しません。
固定資産税は、特に計算することなく年間5万円です。
火災保険料と地震保険料の経費の計算
火災保険の本年度経費
=1万円 / 10年
=1,000円
地震保険の本年度経費
=1万円 / 5年
=2,000円
マンション経営の経費合計
管理費・修繕積立金=12万円
管理委託料 =36,000円
減価償却費 =189,000円
利子返済 =222,666円
固定資産税 =5万円
火災(地震)保険料=3,000円
マンション経営経費=620,666円
まとめ
- マンション経営を始めると、不動産所得で全額落ちる経費
管理費、修繕積立金、町会費、管理委託料、不動産取得税、固定資産税 - 不動産所得で一部が落ちる経費
ローン - 不動産所得でその年度分落ちる経費
減価償却費、火災保険料、地震保険料
コメント