「花粉症で病院に行って薬をもらいました。何の薬かとネットで調べたら喘息薬と書いています」
これは花粉症シーズンのあるあるです。
あなたが処方された薬は、キプレス、シングレア、オノン、モンテルカスト、プランルカストのどれかではありませんか?
これらの薬はもともとは喘息薬ですが、花粉症の鼻づまりにも効果がある薬としても知られています。
そして、この中でも花粉症によく使われているのが、1日1回でOKなキプレス、シングレア、モンテルカストです。
キプレス、シングレアの違い
キプレス、シングレアは主成分モンテルカストを主成分とするロイコトリエン受容体拮抗剤(以下、抗ロイコトリエン薬)です。
キプレス・シングレアは先発薬で、そのジェネリックがモンテルカストです。
キプレス・シングレアは、効果・副作用・添加物・用法用量まで同じです。唯一の違いは販売会社です。
医薬品は全く同じ薬でも販売名を変えて、併売されるケースがあります
<併売の例>
- アムロジン・ノルバスク
- コンスタン・ソラナックス
- ボナロン・フォサマック
キプレス(シングレア)の種類
キプレス(シングレア)には大人用と子供用があります。
- 大人用
キプレス(シングレア)10mg、5mg、OD錠10mg - 子供用
キプレス(シングレア)細粒、チュアブル5mg
「キプレス5mg」と「キプレスチュアブル5mg」は同じ5mgですが、相互に変更ができません。(シングレアも同様)
なぜなら、生物学的利用率(バイオアベイラビリティ)が違い、キプレスチュアブル5mgの方が効果があるからです。
キプレス(シングレア)は花粉症の鼻づまりに効く
先に解説した通り、キプレス(シングレア)は「抗ロイコトリエン薬」です。
ロイコトリエンは鼻粘膜を荒らして鼻づまりを起こさせる情報伝達物質です。
キプレス(シングレア)はロイコトリエン受容体をブロックして、花粉症の鼻づまりを解消します。
また、花粉症の鼻水・くしゃみ・目のかゆみに深く関係しているのがヒスタミンです。ヒスタミンをブロックする薬を「抗ヒスタミン薬」といいます。
キプレス(シングレア)の効果
キプレス(シングレア)服用前の総合鼻症状点数を100%として、2週間服用期の平均点数を比較した試験の結果は次の通りです。
総合鼻症状点数
- 日中鼻症状点数(鼻閉、鼻汁、くしゃみ発作点数)
- 夜間鼻症状点数(鼻閉、入眠困難度、夜間覚醒度の症状点数)
第Ⅱ相至適用量設定試験を参考に作成
(対象:季節性アレルギー性鼻炎患者)
※総合鼻症状点数が低い→症状が軽い
※試験は鼻づまりの効果のみを集計したものではありません。
※キプレス(シングレア)5mgと10mgでは花粉症全体への効果の差はありませんが、10mgを使う場合がほとんどです。
この試験結果から、キプレス(シングレア)は花粉症の4鼻症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻のかゆみ)を緩和する効果は弱いことがわかります。
実際、キプレス(シングレア)を花粉症の4鼻症状に使う場合、他の花粉症薬との併用が多いです。
くわしくは記事の後半「キプレス(シングレア)の飲み合わせ」で解説しています。
花粉症の鼻づまりがひどい方、キプレス(シングレア)が効かない方はディレグラ配合錠がおすすめです。
『ディレグラは長期服用は厳禁!でも花粉症鼻づまりにケタ外れの効果あり』
キプレス(シングレア)VSオノン
キプレス(シングレア)と同じ抗ロイコトリエン薬にオノンがありますが、効果は同等です。
第Ⅲ相比較試験を参考に作成
違いは1日1回飲むか2回飲むかです。1日1回で済むキプレス(シングレア)がよく処方されます。
薬価(薬の価格)はオノンの方が安いですが、1日4カプセル飲まなくてはならないため、結局はキプレス(シングレア)の方がトータルで安くなります。
商品名 | 薬価 | 1日薬価 |
---|---|---|
オノン | 49 | 196 |
キプレス(シングレア) | 182 | 182 |
プランルカスト「日医工」 (オノンのジェネリック) |
23.7 | 94.8 |
モンテルカスト「日医工」 (キプレスのジェネリック) |
42.5 | 42.5 |
薬価は2018年薬価
キプレス(シングレア)の飲み合わせ
キプレス(シングレア)は鼻づまりに特に効果がありますが、単独では花粉症の鼻4症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻のかゆみ)にバランスよく効果が表われません。
そのため、他の花粉症薬との併用が多いです。
<よくある飲み合わせ(併用薬)>
- 抗ヒスタミン薬
アレグラ、アレジオン、ザイザル、クラリチン、アレロックなど - ステロイド薬
セレスタミン、プレドニン、リンデロンなど - ディレグラ配合錠
- ステロイド点鼻薬
アラミスト、ナゾネックス、エリザス、フルナーゼなど - 鼻づまり点鼻薬
トラマゾリン、プリビナ、コールタイジンなど
<参考記事>
- 『アレロック(オロパタジン)は花粉症に強い効果!でも副作用で眠い』
- 『セレスタミンの強さの秘密はステロイド!だから花粉症に効果抜群』
- 『ディレグラの強さが増す飲み方は食前食後?花粉症に効かないときは?』
- 『トラマゾリン、プリビナ、コールタイジンの使い方 鼻づまりにはこう使おう!』
キプレス(シングレア)の副作用 眠気は?
抗ヒスタミン薬は花粉症の目のかゆみ・鼻水・鼻づまり・くしゃみにバランスよく効果がありますが、眠気などの副作用が出る場合があります。
一方、抗ロイコトリエン薬キプレス、シングレア、オノン、モンテルカスト、プランルカストは、ほとんど眠くなりません。
<キプレス(シングレア)の副作用>
副作用 | 副作用頻度 |
---|---|
口渇(喉のかわき) | 0.8% |
傾眠(うとうと) | 0.8% |
倦怠感(だるさ) | 0.3% |
臨床試験より
『花粉症薬で眠くなるのは嫌!眠くならない抗アレルギー薬はこれだ!』
まとめ
- キプレス、シングレア、オノン、モンテルカスト、プランルカストは、もともとは喘息薬であるが、花粉症の鼻づまりに特に効果があるため花粉症にもよくつかわれる
- ただし、鼻水、くしゃみ、鼻のかゆみ症状への効果は弱く、他の花粉症薬との併用が多い
- キプレス(シングレア)5mgとチュアブル5mgは、効果が違うため相互に変更できない
- キプレス(シングレア)は、喉の渇き、眠気、ふらつき、だるさ、集中力の低下などの副作用頻度が極めて低い
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