モーラス/ロキソニン/ボルタレン/ミルタックス 一番効く湿布はどれ?

湿布薬
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湿布を専門に扱う科目は整形外科です。

しかし、他科でも気軽に処方してくれるため、さまざまな湿布が無造作に使われているのが現状です。

モーラステープが効くという人もいれば、ロキソニンテープ、ミルタックスパップ、ボルタレンテープ…が効くと言う人もいます。

 

湿布のシェアはモーラスがダントツですので、モーラスが一番効く湿布薬なのでしょうか?

湿布の強さランキングのようなものはあるのでしょうか?

メーカーが公表しているデータを使って、一番効く湿布を探してみます。

湿布が効く理由

湿布は主成分が基剤に溶けた状態で安定しています。

ロキソニンテープの主成分と基剤

 

例えば、ロキソニンテープ50mg(左)では、主成分のロキソプロフェン50mg(5%)がテープ全体1000mgの中に溶けて安定しています。

ロキソニンテープ50mgとロキソニンテープ100mg

 

湿布を肌に貼ると、基剤から主成分がはがれていき、皮膚の一番表面部分である角質に付きます。

主成分は、角質→表皮→真皮→皮下組織へと浸透していき、炎症部分で効くのです。

一番効く湿布は何?

モーラス、イドメシン、ミルタックス、セルタッチ、ロキソニンボルタレン…。

湿布は数え切れないほどの種類があります。

ロキソニンテープは肩こり腰痛に効かない 貼りすぎるとかぶれるだけ

 

メーカーは臨床試験で効果のテストを行っていますが、条件・被験者が違うため、データを単純に比較できません。

その中で一番効く湿布を探すわけですから、厄介なタイトルをつけてしまったものです。

 

痛みや炎症が起こると、プロスタグランジンE2(PGE2)という炎症物質が作られます。

湿布はその炎症物質を抑えることで痛みに効きます。

基剤を塗っただけのプラセボは炎症物質を抑えないので、PGE2は減少しません。(下図A)

そして、ボルタレンゲル(←ロキソニン/ミルタックス/モーラス…。痛みを抑える薬であれば何でもいい)を使うと、炎症物質が抑えられてPGE2が下がります。(下図B)

ボルタレンゲルと基剤のPGE2濃度

出典:ボルタレンゲルインタビューフォーム

 

しかし、主成分を添加していない基剤(プラセボ)であっても、貼ったり塗ったりすると、本来は効くはずがないのに効果として表れます。
(この効果をプラセボ効果といいます)

例えば、ボルタレンゲルの臨床試験では、主成分を添加していない基剤を塗っただけで、40%以上の方が「中等度以上改善した」と答えました。

ボルタレンゲルと基剤を使ったプラセボ効果の説明

出典:ボルタレンゲルインタビューフォーム

 

この臨床試験からわかることはひとつ。

「私たちの主観は、湿布の効果を客観的に判断できるほど優れていない」ということです。

データを解析しても、常にプラセボ効果が大きく働くため、データで一番よく効く湿布が必ずしも万人に一番効く湿布であるとは限らないのです。

モーラステープが一番効く湿布とは限らない

モーラステープは関節リウマチにおける関節局所の鎮痛にも効果があり、満足度の高い湿布です。

しかし、そのモーラステープの臨床試験でも、主成分の入っていないプラセボの方が、製品より「非常によく効いた」と答えている方が3名も多いのです。

私たちの主観とは一体何なのでしょうか?

モーラステープとプラセボの効果の患者印象

出典:モーラステープ臨床成績

 

ですので、今使っている湿布の効果を引き出す工夫をするのが現実的です。

湿布の種類と使い分け パップ剤、プラスター剤、冷感、温感

分厚い湿布(パップ剤)

分厚い白い湿布は、パップ剤と呼ばれています。

パップ剤

 

パップ剤には冷却効果があります。

急性症状(まさに痛みが起こったその瞬間)に使うと有効です。

うすい湿布(プラスター剤)

うすい肌色の湿布は、プラスター剤と呼ばれています。

プラスター剤(テープタイプ)

 

(冷湿布の)パップ剤を数日使用した後、患部の熱がなくなったころにプラスター剤を使うと有効です。

冷湿布

冷湿布は患部の冷却+消炎鎮痛効果に優れます。

腫れ、打撲、ねんざなどの急性疾患に使うと有効です。

温湿布

温湿布は老廃物の除去+消炎鎮痛効果に優れます。

腰痛などの慢性疾患に使うと有効です。

 

4種類の湿布の例

湿布の種類 商品名
パップ剤 モーラスパップ
ロキソニンパップ
ミルタックス
冷湿布 MS冷湿布
温湿布 MS温湿布
ラクティオン
ロキソプロフェンNaテープ「タイホウ」
プラスター剤 モーラステープ
ロキソニンテープ
ボルタレンテープ

 

湿布の種類による使い分けはこちらでくわしく解説中
肩こりに効く湿布はどの種類?温湿布、冷湿布、テープ、パップの違い

湿布の使い方

関節部分の湿布の貼り方

湿布を肩・腰・首に使うときは簡単です。

問題は肘膝などの関節です。

関節部分に湿布を貼るときは、ハサミで湿布に切り目を入れて、湿布がより肌に密着できるようにします。

こんな感じにです。

湿布の貼り方:膝

出典:久光HP

入浴後や寝るときに湿布を貼る場合

入浴後に湿布を貼る場合は、汗がひく入浴約30分後に貼ります。

初めて使用する湿布は、寝る前をさけた方が無難です。

なぜなら、湿布かぶれに気づくのが遅くなり、朝に真っ赤になってしまうことがあるからです。

温湿布は、入浴1時間前にははがしておかないと、皮膚がヒリヒリすることがあります。

温湿布の貼付実験

温湿布を貼って入浴してみたところ、痛くはありませんが、ヒリヒリするような感じがしました。
(使用湿布:ロキソプロフェンナトリウムテープ 50mg「タイホウ」)

湿布の痛くないはがし方

貼ったところと直角(真上に)に一気にはがすと、皮膚が必要以上に引っ張られるため痛いです。

角の方から少しずつクルクルと丸めるように湿布をはがすと痛みは最小限です。

温湿布以外の湿布は、シャワーなどで濡らすととスルッとはがれますが、パップ剤は基剤が水を吸ってベトベトになるので気持ち悪いです。

モーラステープ(ケトプロフェンテープ)の効果と副作用 妊婦と市販は?

湿布かぶれという副作用

湿布をはがした後に湿布の跡が残っている場合、刺激性の接触皮膚炎を起こしている可能性があります。

湿布による接触皮膚炎は、次の2種類が有名です。

  1. 刺激性接触皮膚炎
    湿布を貼る前に、皮膚に付いていた何かが皮膚に浸透して起こる
  2. アレルギー性接触皮膚炎
    湿布の主成分・基剤などにアレルギー反応が起こる

 

特に、夏の紫外線による光線過敏症は深刻な湿布かぶれです。

警告 モーラステープに紫外線をあてるな!光線過敏症になるぞ

湿布の市販は好みで選ぼう

ロキソニンやボルタレンシリーズのように、病院用と全く同じ湿布が市販されているケースもあります。

市販湿布をまとめるとこうです。

成分名 病院用(例) 市販(例)
ケトプロフェン モーラス オムニードケトプロフェンパップ
ミルタックス
ロキソプロフェン ロキソニン ロキソニン
ジクロフェナク ボルタレン ボルタレン
ナボール
フェルビナク セルタッチ フェイタス
フェルナビオン パテックスフェルビナスター
インドメタシン イドメシン バンテリン
カトレップ ハリックス55ID
フルルビプロフェン アドフィード 市販なし
ヤクバン
エスフルルビプロフェン ロコアテープ 市販なし

 

湿布の市販は好みで選んでOKです。

あなたに効く湿布が、あなたには一番の湿布です。

 

ついに最強湿布登場か?
ロコアテープを使ったら最強だった!でも副作用と使い方に気を付けて

まとめ

色々な湿布を貼って、効き目を試して下さい。

かぶれがなく、あなたが効いたと感じた湿布が、あなたにとって一番効く湿布です

  • 湿布には剤形別に用途がある。
  • 初めて使用する湿布は、寝る前をさけた方が無難。
  • 私たちの主観は、湿布の効果を客観的に判断できるほど優れてはいない。
  • 一番効果があるデータを持つ湿布が、主観での一番効果があるとは限らない。
  • モーラステープはリウマチの痛みに効く唯一の湿布。
  • 万人に効く湿布はない。一番効く湿布は人それぞれ。

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