新卒薬剤師は3年目に、転職薬剤師(※)は3年に1回、薬局が嫌になって転職(再転職)を考える時期があるといわれています。
特に転職回数の多い薬剤師は、3年以内に転職する確率が高いようにも感じます。
※本記事では、転職を希望する薬剤師、転職を繰り返す薬剤師、転職してきた薬剤師をまとめて転職薬剤師と記載します。
現在、どこの薬局も人手不足です。
転職薬剤師は希望の条件で転職できる可能性もありますが、3年経ったらまた転職するでしょう。
なぜなら、3年以内に新たな転職理由を発見してしまうからです。
<薬剤師の3大転職理由>
- 人間関係の悪化
- 労働環境の悪化(待遇の悪化)
- キャリアアップ(年収アップ)希望
薬剤師転職理由の表と裏
転職薬剤師の面接では、志望動機と退職理由を必ず確認します。
薬剤師としてのキャリアアップなど、前向きな退職理由であれば、何かを求めて退職して転職するわけです。
志望動機と退職理由がひとつのストーリーでつながるのが普通です。
そうでない場合、話している間に退職理由と志望動機につじつまがあわないことがでてきます。
真の退職理由を探っていくと、ほとんどの方が人間関係で辞めていると想像できます。
(あからさまに管理薬剤師と合わなかった。会社(経営者)と考え方が合わなくなったといってしまう方もいますが…)
薬剤師の人間関係
薬局薬剤師の人間関係は大きくわけると3種類です。
- 先輩・後輩薬剤師、管理薬剤師、経営者など、
縦の人間関係 - 同僚薬剤師など、
横の人間関係 - メーカー、卸、患者など、
その他の人間関係
これらの人間関係で転職理由となりやすいのは縦の人間関係で、次の2つの転職理由に集約される場合が多いです。
- 一般薬剤師→管理薬剤師と会わない
- 管理薬剤師→経営者と医療の考え方が合わない(金儲け主義)
一般薬剤師の転職理由
一般薬剤師の転職理由の半分以上は「管理薬剤師と合わない」ではないでしょうか?
管理薬剤師と薬局
管理薬剤師は一般薬剤師の仕事にプラスして、薬局の人・金・薬のマネジメントに当たらなくてはなりません。
一般企業でいえば、係長クラス以上のマネジメント能力が求められます。
先述のとおり、転職薬剤師は売り手市場です。
年功序列的、もしくは転職後すぐに管理薬剤師になる場合もあります。
(特に個人薬局、中小企業)
管理薬剤師をしてくれる薬剤師が他にいないから、イヤイヤ仕方なく管理職に就くという一般企業ではありえない人事が薬局にはあります。
(女性薬剤師ばかりの薬局だと、誰が管理薬剤師を引き受けるかでもめる場合も!)
マネジメント教育を受けていない管理薬剤師がゾロゾロ量産されているが実情です。
(厚生労働省の資料によると、2015年の薬局数は約58000店。
総務省統計局の資料によるとコンビニは約32000店、調剤薬局は約36000店)
管理薬剤師が変わり者だったり、変にプライドが高かったり、自分本位のマネジメントを行いたしたりすると、周りの薬剤師が疲れて退職してしまいます。
管理薬剤師と一般薬剤師のバトル
チェーン薬局であれば、管理薬剤師もエリアマネージャーの監視下にありますが、小規模薬局においては管理薬剤師の上は経営者である場合がほとんどです。
経営者が非薬剤師であるならば、医療に関しては管理薬剤師が実権を握り、経営者も一目置いていたりもします。
おばさん薬剤師やおっさん薬剤師が、管理薬剤師の地雷を踏む様子を遠くから見ると、おもしろい人間関係だったりもしますが、
薬局が女性社会であることも考えると、昼ドラのような人間関係を想像させます。
そんな状況下で、管理薬剤師にさかられるような肝っ玉薬剤師はなかなかいません。
- 私にだけきつく当たられる
- 私以外を優遇している
- 管理薬剤師は口だけ。仕事をしていない
- 変なシフトを組まれる
- 何で私ばかり遅番なの?
- え?管理薬剤師また有給?私断られたのに?
といった具合に、管理薬剤師に対するフラストレーションがたまっていき、ああ辞めた!転職サイトをクリックとなるわけです。
管理薬剤師の転職理由
管理薬剤師が一般薬剤師ともめることもありますが、管理薬剤師側の転職は比較的少ないです。
管理薬剤師転職理由は、経営者(会社)との医療の考え方の不一致が多いです。
管理薬剤師と経営者のバトル
管理薬剤師が変わり者だったり、変にプライドが高かったり、自分本位のマネジメントをしたり・・・など、失礼なことを書きましたが、
高い倫理観を持った医療者精神みなぎる管理薬剤師がいることも私は知っています。
そのような管理薬剤師がもめて転職してしまう理由を作り出すのは、金儲け主義の現場まるなげタイプの経営者(薬局開設者)です。
経営者は職員に給与を支払わなくてはなりません。儲けなくてはいけません。
(世間は薬局は儲かっているように思っていますが、実際は全然儲かりません。儲かっている薬局はほんの一部です)
当たり前のことです。
金儲けが悪いわけではありませんが、度が過ぎると患者サービス・労働環境はおざなりのブラック薬局になってしまします。
管理薬剤師と経営者のバトルの結末
管理薬剤師と経営者は、医療に対する考え方の違いもあり、お互い歩み寄れない場合もあります。
勝ち負けではないのですが、結局は管理薬剤師が退職するか、管理薬剤師が折れるしかありません。
しかし、その先には
- 管理薬剤師が折れたとしても、一般薬剤師や事務員にその不満をぶつけ職場が炎上
- 管理薬剤師が薬局の人間をまとめて退職
という結末が待っているかもしれません。
薬剤師は転職で人間関係は解消する?
薬剤師は転職すれば今の薬局の険悪な人間関係が解消されますが、次の薬局で新しい人間関係がはじまります。
転職先に合わなかった管理薬剤師の元同僚などがいて、結局は何も変わらずまた転職という転職スパイラルにはまることがあります。
(医療関係は狭い人間関係ですから)
3年に1回転職する、もしくは転職回数の多い転職薬剤師が入ってきても、遅かれ早かれ転職します。
このような転職薬剤師は、その人自体に転職する理由があるようです。
- 職場に完璧を求める
- 否は他人にある
(自分は悪くない) - 自己中心的な気質
- 何か不満を見つけてしまう
(隣の草が青く見える)
薬剤師の住む世界は、狭い人間関係とヒエラルキー(上下関係)があります。
それとうまく付き合っていく技術も薬剤師には必要なスキルかもしれません。
まとめ
- 薬剤師転職理由No1は人間関係
- 薬剤師転職理由2.3位は、労働環境、スキルアップ(給料アップ)
- 薬剤師の転職理由には裏と表がある
- マネジメント教育を受けていない管理薬剤師は意外と多い
- 一般薬剤師は管理薬剤師と合わないとき、転職を考える
- 管理薬剤師は経営者と合わないとき、転職を考える
- 薬剤師が3年に1回退職する。もしくは転職回数が多くなるにはわけがある
コメント