ロコアテープは皮膚への吸収を良くし、より深いところへ効く湿布薬として開発されました。
吸収力が今までの湿布とは違い、最強の湿布ともいわれています。(2018年現在)
しかし、残念なことに、ロコアテープは肘・膝などの関節があるところだけに使える湿布で、腰痛、首の痛み、肩こり(正しくは肩周辺の痛み)に使えません。
さらに、いろいろと制約のある湿布で、普及しているとは言い難い状況です。
ロコアテープとは
ロコアテープは2種類の成分を含む湿布薬です。
- エスフルルビプロフェン40mg(主成分)
- ハッカ油36.2mg
ロコアテープの主成分エスフルルビプロフェンは、アドフィード、ゼポラス、ヤクバンなどの湿布に含まれる成分(フルルビプロフェン)から、鎮痛効果の強いところを抽出した成分です。
そのため、ロコアテープはアドフィード、ゼポラス、ヤクバンより強力な鎮痛効果があり、フルルビプロフェン関係の湿布では、最強の鎮痛効果が期待できます。
ロコアテープが開発された理由
ロコアテープは「飲み薬に匹敵する鎮痛効果を持つ湿布」を目標として開発されました。
その理由はこうです。
ロキソニンを代表とする非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が痛みに効くのは、痛みが起こっている場所のプラスタグランジンと呼ばれる炎症物質を抑えるからです。
しかし、プラスタグランジンは胃にもあります。
このプロスタグランジンは、傷ついた胃の粘膜を修復する働きもあります。
プロスタグランジンが抑えられると、胃酸などからの攻撃を受けやすくなり、副作用として胃痛などの症状が表れるのです。
そのため、ロキソニンはムコスタやセルベックスなどの胃薬と併用して飲むのが一般的で、飲み薬に匹敵する効果のある湿布薬の登場が待ち望まれていたのです。
ロコアテープは腰痛・肩こりに使えない
腰痛・肩こりは多くの人が悩んでいる現代病です。
『肩こりに効く湿布はどの種類?温湿布、冷湿布、テープ、パップの違い』
そのため、モーラステープやロキソニンテープなどの湿布を使って、痛みに耐えている方は大勢います。
『ロキソニンテープは肩こり腰痛に効かない 貼りすぎるとかぶれるだけ』
もちろん、ロコアテープを腰痛・肩こりに使えるならば、けっこうな効果も期待できるでしょう。
ただ、腰痛・肩こりに使えるならばです。
残念なことに、ロコアテープは原則腰痛・肩こりには使えないのです。
※「原則」と書いた理由は後で解説しています。
ロコアテープの病名(保険適用)
ロコアテープが腰痛・肩こりに使えないのは、使える病名が決まっているからです。
ロコアテープの使える病名は「変形性関節症における鎮痛・消炎」であるため、関節に関わる痛みにしか使えません。
変形性関節症とは
関節軟骨がすり減って痛みや腫れが起こり、関節の変形などを起こす病気のことです。
首、肩、肘などすべての関節で起こる可能性がありますが、特に体を支えている、膝、股に起こりやすいです。
やみくもに、腰が痛い(腰痛)からや肩周辺が重い痛い(肩こり)からロコアテープを使おう!というのは、保険適用上NGになるのです。
腰痛に使えるレアなケース
ロコアテープは腰痛・肩こりに使えないと散々言ってきましたが、腰の痛みに使えるレアなケースがあります。
関節(広い意味で骨と骨の間)はいたるところにあり、腰にも腰椎(ようつい)があります。
腰関節の変形に関わる病名に変形性腰椎症があり、ロコアテープを腰に使ってもOKとしている地域があるようです。
(大阪府は使えると聞いていますが、保険請求不可の地域もあるらしい)
変形性腰椎症とは
主な原因は加齢です。
上半身の体重を支え続けてきた腰椎が疲労して、関節の変形などを起こす病気のことです。
腰に痛みをともなうことから、広い意味で腰痛と言ったりもします。
首の痛みには頸椎症(けいついしょう)があるじゃないか!と聞こえてきます。
しかし、頸椎症は首関節が変形しているわけではないため、ロコアテープは使えません。
ロコアテープは使い方に厳しい
ロコアテープは次のように使い方に厳しい湿布です。
- 同時に使える最大枚数は2枚まで
- 変形性関節症のみ使える
- 子供は使えない
- 妊婦(妊娠後期)も使えない
- 鎮痛剤との併用は消極的
『湿布貼りすぎ!?ボルタレンテープ市販と病院用は1日何枚まで?』
このように、何かと使い方の制限を受ける理由は、安全性に対する実績が少ないからです。
それでは、なぜロコアテープが安全性を重視しなくてはならないのでしょうか?
それは、ロコアテープが飲み薬の鎮痛剤に匹敵する禁忌があるニュータイプの湿布だからです。
実際に使ってみたレビューはこちら
『ロコアテープを使ったら最強だった!でも副作用と使い方に気を付けて』
最後に、ロコアテープとロキソニン、普通の湿布の禁忌を比較してみましょう。
ロコアテープ、ロキソニン、他の湿布の禁忌の違い
禁忌(きんき)とは、「使ってはいけない」という意味です。
普通の湿布薬の禁忌は、このようにそんなに多くはありません。
アドフィードパップの禁忌(添付文書)
ロキソニンテープの禁忌(添付文書)
しかし、ロコアテープの禁忌は10項目もあり、飲み薬であるロキソニンの8項目を超えています。
禁忌に関してはロキソニン以上です。
ロコアテープの禁忌(添付文書)
ロキソニンの禁忌(添付文書)
なぜ、こんなに禁忌が多くなってしまったのでしょうか?
ロコアテープを1日2枚・7日間貼ったときの全身吸収量は、フルルビプロフェン飲み薬40mgを1日3回・7日間飲んだときの全身吸収量と同じくらいです。
そのため、消炎鎮痛剤の飲み薬に匹敵する(ロキソニンと比べるとそれ以上)禁忌を設定する必要があったのです。
『モーラス・ロキソニン・ボルタレン・ミルタックス一番効く湿布はどれ?』
まとめ
- ロコアテープが腰痛や肩こりに使えないのは、使える病名が「変形性関節症における鎮痛・消炎」と決まっているから。
- 使い方の制限を受ける理由は、安全性に対する実績が少ないから。
- 実績が増えれば、いつの日か腰痛や肩こりなどに使える日がくるだろう。
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