水疱瘡の治療 飲み薬バルトレックス、塗り薬カチリ、抗生物質

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水疱瘡は「水痘・帯状疱疹ウイルス」の感染が原因で発症する病気で、重症化しない限り、ほっておいても自然治癒する病気です。

しかし、抗ヘルペスウイルス薬等の治療薬を使うことで、水疱瘡の皮膚症状である水ぶくれの広がりを抑えたり、かゆみを抑えられます。

主に水疱瘡の治療に使用される薬は主に4種類です

  1. 抗ヘルペスウイルス薬(飲み薬)
     →ウイルスの感染増殖抑制と治療
  2. カチリ(塗り薬)
     →かゆみの治療
  3. 抗性物質(塗り薬)
     →とびひ等の感染予防と治療
  4. 解熱鎮痛剤(飲み薬)
     →熱の治療

各カテゴリーの薬をひとつずつ解説します。

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水疱瘡治療:抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬
(バルトレックス、ゾビラックス)

こちらの記事を先に読むと、スムーズに本記事が進みます

水疱瘡の感染原因 症状が出るまでの潜伏期間と治療後の恐怖
水疱瘡は子供の間に感染することが多い病気です。感染から潜伏期間を経て発症しますが、ほっておいても自然に治ります。しかし、治った後もウイルスは除去しきれず一生付きまとってきます。

水疱瘡治療で最も使用される薬は、ゾビラックス顆粒やバルトレックス顆粒という2種類の抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬です。

ゾビラックス顆粒、バルトレックス顆粒は服用が速ければ、水疱瘡の水ぶくれ症状が広がるのを抑えてくれます。
赤いブツブツができてから2日~3日以内にゾビラックス顆粒、バルトレックス顆粒などの飲み薬を開始するのが望ましいです。

バルトレックスは、ゾビラックスのプロドラッグ(体内で代謝され効果を表す薬のこと)です。1日の服用回数が違うだけで、薬の効果は同等です。

処方されたゾビラックス顆粒、バルトレックス顆粒の飲み薬は、水ぶくれがかさぶたになってきても、途中で止めないで、しっかり飲みきってください。そこが重要です。

 抗ヘルペス薬 ゾビラックス顆粒40% バルトレックス顆粒50%
成分名 アシクロビル バラシクロビル
1日服用回数 4回 3回
1kg体重当たりの
1回用量
0.05g
1回最高用量 2g
服用日数の目安 5日間

ゾビラックス、バルトレックスで、全てのウイルスを死滅できるか?

残念ながら、ゾビラックス顆粒、バルトレックス顆粒で、全てのヘルペスウイルスを死滅できません。

ゾビラックス顆粒、バルトレックス顆粒はウイルスの増殖を抑えるだけで、神経の中のウイルスまで届かないのです。
そのため、水疱瘡の治療後も、水痘・帯状疱疹ウイルスの一部は知覚神経の奥にこっそり潜(ひそ)んだ状態となります。

その知覚神経に潜んだ水疱瘡ウイルスが、再活動で起こる病気が、帯状疱疹です。

水疱瘡が原因で帯状疱疹を発症するまでのフローチャート

水疱瘡と帯状疱疹の原因ウイルスは同じですので、帯状疱疹にもバルトレックス等の抗ヘルペスウイルス薬を使用します。

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水疱瘡と塗り薬カチリの微妙な関係

カチリとは、フェノール亜鉛華リニメントを有効成分とするの塗り薬のことです。

カチリは、カチリ「ホエイ」、カチリ「ヨシダ」、フェノール亜鉛華リニメントという名前で商品化されています。

昔、あせもなどで塗ると、体中が真っ白になる薬がありませんでしたか?あれが「カチリ」です。

カチリは、もともと虫さされや蕁麻疹の治療薬として使われていました。虫さされや蕁麻疹には、他にいい薬がありますので、カチリは水疱瘡くらいにしか使われなくなっています。

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カチリには水疱瘡の保険適応がないため、水疱瘡の治療の塗り薬として使わない医師も増えています。
カチリを使用するときは、かゆみを抑える作用、消毒作用、皮膚を保護する作用を期待して使用します。

本来の水疱瘡の塗り薬としての趣旨からはそれますが、水ぶくれの上にカチリを塗ると固まるため、カチリは水ぶくれを、やぶれにくくする薬として使えないことはないです。

虫さされや蕁麻疹の、他のいい薬(ステロイド軟膏)

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塗り薬カチリの水疱瘡薬としての塗り方、使い方

カチリの塗る回数は1日2.3回で十分です。
カチリは塗ると固まって真っ白になりますが、お風呂以外では洗い流す必要はありません。

薬局では、カチリは軟膏つぼに入れて渡されます。
使っている間に少しずつ赤暗い色になる場合がありますが、そのまま使用できます。

カチリは置いておくと、透明の部分と白い部分が分離してきます
。カチリは水平にして容器を開けないと、分離した透明の液体がこぼれてしまうことがあります。

カチリが分離している場合は、使用前に綿棒等でかきまぜて、そのまま水疱瘡の部分だけにカチリを塗ります。カチリは傷ついたところには塗ってはいけません。

傷ついたところには、次に解説する抗生物質の塗り薬を塗ります。

カチリを塗った部分は白く固まり、何とも言えない変な臭い(フェノール亜鉛華リニメントのフェノール臭)がします。
カチリが固まる前に、服などに触れると白く汚れます。

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水疱瘡にカチリはいつまで使う?

水疱瘡にカチリをいつまで使うか?
よく受ける質問のひとつです。

明確な「いつまで?」の答えはありませんが、
私は、水疱瘡がかさぶたになるまでカチリを続けるべきだと考えています。

  1. カチリの水ぶくれを、やぶれにくくする効果を期待して処方?
  2. かさぶたができれば、たいていかゆみは治まる

水ぶくれ状態のところにカチリを塗るときは、つぶさないように注意して塗ります。水ぶくれの個数によっては気を使います。

水疱瘡は、全身にまんべんなく皮膚症状が出ますので、カチリを使いだすと、全身カチリだかけで真っ白になります。

水疱瘡治療と抗生物質の塗り薬
フシジンレオ、テラマイシン

とびひの塗り薬 抗生物質ゲンタシン軟膏VS抗菌剤アクアチム軟膏
子供のとびひには、ゲンタシン軟膏、アクアチム軟膏、フシジンレオ軟膏、テラマイシン軟膏などの抗生物質(抗菌剤)の塗り薬を使うことが多いです。

水疱瘡は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染が原因でしたね。

抗生物質は細菌にしか効果がないため、ウイルスには無効です。
それでも水疱瘡に抗生物質の塗り薬が使われる場合があります。

水疱瘡に抗生物質の塗り薬を使う理由

とびひは、おもに黄色ブドウ球菌の感染で原因で起こります。

黄色ブドウ球菌などの感染の予防や治療を目的として、抗生物質の塗り薬(フシジンレオ軟膏やテラマイシン軟膏等)が使われることがあります。

フシジンレオ軟膏は使用頻度が少ないため、耐性菌の心配は今のところありません。

水疱瘡のかゆみがひどい場合、爪を短く切っておきます。そうしないと、かきむしった傷口が「とびひ」になる場合があります。

抗生物質の塗り薬(フシジンレオ、テラマイシン)の使い方

抗生物質の塗り薬の使い方は簡単です。1日2.3回水疱瘡の部分や傷の部分だけにフシジンレオ軟膏やテラマイシン軟膏等を塗ります。

水疱瘡治療と解熱鎮痛薬

大人の水疱瘡は子供より症状と跡がツライ!合併症で入院?
大人が水疱瘡に感染した場合は、重症化しやすく、合併症に注意が必要です。自分の子供が水疱瘡になっていて、親が感染してしまうケースが増えてきているそうです。

水疱瘡は37度~38度程度の発熱ですので、あまり解熱鎮痛薬は使用されません。

ただし、それ以上の熱でつらい場合は、カロナール、コカールなどのアセトアミノフェン製剤が使用されます。

アスピリン系鎮痛解熱薬は、解熱鎮痛目的で使用されなくなりましたが、
アスピリン系鎮痛解熱薬は、水疱瘡に使用すると、脳症を引き起こすことがあるため、使用は避けます。

まとめ

  1. 水疱瘡は自然治癒する病気ではある、重症化をおさえるため、薬を使うことがある
  2. 水疱瘡の治療で使う薬は主に、
    ・抗ヘルペスウイルス薬(飲み薬)
    ・カチリ(塗り薬)
    ・抗生物質(塗り薬)
    ・解熱鎮痛薬(飲み薬)
  3. 抗ヘルペスウイルス薬は服用が早ければ、水ぶくれ症状が広がるの抑える効果がある
  4. かゆみがひどいときは、カチリを使うことがある。ただし、傷がある場所にはカチリは使っていはいけない
  5. 傷があるところや、かきむしったところには、抗生物質の塗り薬が使われることがある
  6. 水疱瘡の皮膚症状はパターン化していて、赤いブツブツ→みずぶくれ→かさぶたの順で治っていく
  7. 水疱瘡が治った後も、ウイルスは体に残り、ウイルスが再活動を始めると「帯状疱疹」を発症する