インフルエンザワクチンを接種をしたとしても、かなり多く方が毎年インフルエンザを発症します。
その度に「ああ、やっぱり予防接種は効果なし。お金の無駄だった」と落胆して、「どうせ効かないから来年はやめておこう」という結果になります。
本当にインフルエンザワクチンは効果なし。予防接種は意味がないのでしょうか?
インフルエンザワクチンは効果なし?
ウイルス性の病気は、感染したとしても(病気を)発症しないことが多々あります。
感染、発症、わかりにくいワクチンの効果について解説します。
ワクチンはインフルエンザの感染には効果なし
えっ?…。
- インフルエンザワクチンはやっぱり効かない!
- 予防接種意味なし決定!
(閉じないで先に進んでくださいね。理由はその先にあります)
インフルエンザワクチンの効果とは一体何なのでしょうか?
インフルエンザワクチンの効果とは
インフルエンザを発症したとしても、1週間もすれば多くの方が自然に治ります。
しかし、中には肺炎などの重い合併症が表れ、入院治療を必要とする方や死亡する方が一定数出てきます。
これをインフルエンザの重症化といいます。
これがインフルエンザワクチンの効果です。
「インフルエンザワクチンの効果」○%の意味とは
インフルエンザワクチンの効果が80%であるならば、インフルエンザワクチンを接種した100人のうち80人はインフルエンザにかからない(80%効果あり)と考えると思います。(下図)
ワクチンの場合は、この考え方は間違いです。
インフルエンザワクチンも含め、ワクチンの効果の○%は少し変わった考え方をします。
「インフルエンザクチンの効果80%」の意味は、「インフルエンザワクチンの予防接種を受けずに発症したが100人いたならば、そのうち80人は予防接種を受けていれば発症しなかった」です。
イメージするとこうです。
インフルエンザワクチンの効果
WHOは、インフルエンザ予防に関してはインフルエンザワクチンが最も有効で、妊婦・高齢者には強く推奨しています。
『妊婦必見!妊娠中の薬服用不安と心配を解くヒント その薬飲んで大丈夫?』
日本で考えられているインフルエンザワクチンの効果
対象者 | インフルエンザワクチンの効果 |
---|---|
1歳以上6歳未満 | 約30%の発病を阻止 |
高齢者 (65歳以上) |
約45%の発病を阻止 約80%の死亡を阻止 |
全体 | 約70%の発病を阻止 |
インフルエンザワクチンを接種をすると、発症する確率は下がりますが、他の予防接種と比べると発病する頻度は高いです。
参考までに、水疱瘡ワクチンの予防率はほぼ100%で、2017年から水疱瘡ワクチンは帯状疱疹の予防にも使われています。
『水疱瘡ワクチンと四種混合、MR、おたふく予防接種の同時接種』
『帯状疱疹ワクチンの予防接種が大人に解禁!費用VS効果&副反応は?』
インフルエンザワクチンの効果の低さは、流行を予測してワクチンは製造されるためであることが原因でしょう。
さらに、インフルエンザワクチンは、大人と比べると子供(特に幼児)のインフルエンザ予防効果は低いです。
『妊婦、授乳中、赤ちゃん インフルエンザ予防接種(ワクチン)NGは誰?』
インフルエンザワクチンの効果がなくなる理由
インフルエンザワクチンは効かないという人が多いのは「ワクチンで免疫が付くと2度とその感染症に感染しない」という大きな期待があり、現実とのギャップが大きいからでしょう。
そう思う方が多ければ多いほど、インフルエンザワクチンは接種されません。
インフルエンザワクチンを接種しない方が多ければ、社会的にワクチンの効果が出てきません。
インフルエンザワクチンを接種する理由は、自分を守るためだけではなく、家族、職場の方、周囲の方にインフルエンザを感染させない、流行させないためでもあります。
『インフルエンザ予防接種の副作用(副反応)とワクチン接種後の注意』
インフルエンザワクチンの効果期間
インフルエンザワクチンは接種してすぐに効果が出てくるわけではありません。
2回接種した成績によりますと、接種1~2週間後に抗体上昇し始め、2回目の接種1カ月後までにはピークに達し、3~4カ月後には徐々に低下傾向を示します。
したがって、ワクチンの効果が期待できるのは接種後2週から3~6カ月までと考えられています
「北里第一三共株式会社」HPより引用
毎年、年末から正月頃からインフルエンザの流行が始まります。
インフルエンザワクチンの効果期間を考えると、11月中にインフルエンザワクチンの接種を完了していることが望ましいです。
そうすれば、12月から3月までの期間はインフルエンザワクチンの効果期間に入ります。
つまり、あまり早くインフルエンザワクチンを接種すると、流行期間中に効かなるということです。
インフルエンザ予防接種の料金
インフルエンザ予防接種は、健康保険が使えない自費の料金です。
インフルエンザワクチンは、2015年から3価から4価に対応ウイルス数が増えていますので、全国的に500円~1000円程度、予防接種料金が上がっています。
『インフルエンザワクチン3価4価の違い フルミスト(鼻ワクチン)はどう?』
地域差がありますが、予防接種料金はだいたい次のとおりです。
- 大人1回 3,000円~4,000円
- 子供1回 2,000円~3,000円
子供の料金が低いのは、13歳未満の子供はインフルエンザワクチンは2回接種する必要があるため、家計の負担を考え、こうしているのでしょう。
『インフルエンザワクチンの種類(メーカー、バイアル、シリンジ、チロメサールの違い)』
まとめ
- インフルエンザワクチンはインフルエンザの感染を抑える効果はない
- インフルエンザの発症を抑え、合併症や死亡などの重症化を防ぐ効果がある
- ワクチンの効果の考え方は、特殊でわかりにくい(そのため効果なしと判断される場合がある)
- 子供はワクチンで免疫を獲得する力が弱い。それが「インフルエンザワクチンは効果なし」につながっている
- インフルエンザワクチンの予防接種料金は2000円~4000円程度で地域差がある
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