ビオフェルミンは有名な整腸剤です。飲んだり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?
一方、ビオスリーはどうでしょう。
こちらはビオフェルミンと比べると、マイナーな整腸剤かもしれません。
しかし、ビオスリー(bio-three)は名前のごとく3種類の細菌で作られた整腸剤で、3つの細菌がお互いの欠点を克服して効果的に腸に効きます。
ビオスリーとビオフェルミンの使い分け
結論からいうとこうです。
- 普通の下痢・便秘に使うなら
ビオスリー、ビオフェルミン錠/配合散のどちらか - 抗生物質と併用するなら
ビオスリー、ビオフェルミンRのどちらか - どんな状況でも使える整腸剤はビオスリー
整腸剤 | 細菌 | 効果 | 抗生物質併用 |
---|---|---|---|
ビオスリー | 乳酸菌 酪酸菌 糖化菌 |
便秘 下痢 おなら お腹の張り |
OK |
ビオフェルミン錠 | ビフィズス菌 | NG | |
ビオフェルミン配合散 | 乳酸菌 糖化菌 |
NG | |
ビオフェルミンR | 耐性乳酸菌 | OK |
なぜ、こうなるのでしょうか?
それは、ビオスリーとビオフェルミンの違いを知ることで解決できます。
下痢・便秘が起こる理由
数百兆個の腸内細菌は、腸内でグループごとにかたまりをつくって共存しています。
その腸内細菌のかたまりは、花畑に似ていることから腸内フローラと呼ばれています。
腸内フローラの細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌(ひよりみきん)の3種類に分類されています。
下痢・便秘のない健康な腸内は善玉菌、悪玉菌、日和見菌がちょうどいいバランスを保っています。
しかし、腸内に住める菌の数は決まっていて、善玉菌と悪玉菌はお互いに勢力を拡大しようと様子をうかがっています。
腸内フローラのバランスが崩れたとき(善玉菌↓悪玉菌↑)、便秘・下痢が起こるというわけです。
ビオスリーとビオフェルミンの違い1 細菌の違い
ビオスリー
先に解説したとおり、ビオスリーは3種類の細菌で作られた整腸剤です。
- 乳酸菌(ラクトミン)
- 酪酸菌
- 糖化菌
(各細菌の特徴は後で解説)
ビオフェルミン
ビオフェルミン錠(左)とビオフェルミン配合散(右)は同じような名前ですが、細菌の違いがあります。
(ビオフェルミンRは後で解説)
- ビオフェルミン錠
→ビフィズス菌 - ビオフェルミン配合散
→乳酸菌(ラクトミン)と糖化菌
ビフィズス菌、乳酸菌、糖化菌はどれも腸内環境を整える成分です。
ビオフェルミン錠とビオフェルミン配合散は同じように下痢・便秘などに使われています。
特に使い分ける必要はありません。
『ビオフェルミン錠/散/Rの違い、下痢・便秘改善効果と副作用【赤ちゃん、幼児対応】』
ビオスリーとビオフェルミンの細菌の特徴
ビオスリー・ビオフェルミン共通
細菌は酸素の有無で生死が決まります。
小腸には酸素がありますが、大腸にはほとんど酸素はありません。
つまり、小腸で活躍する細菌と大腸で活躍する細菌は違います。
乳酸菌 (ラクトミン)
乳酸菌は酸素があってもなくても生きられる通性嫌気性菌です。小腸・大腸の両方で活躍できます。
乳酸菌は糖を分解して乳酸を作ります。
乳酸菌が作る乳酸には殺菌作用があり、悪玉菌の増殖を抑える効果があります。
さらに乳酸菌は酪酸菌の増殖を助けます。
糖化菌の働き
糖化菌は酸素がないと生きられない好気性菌です。酸素の存在する小腸で活躍します。
糖化菌は乳酸菌、ビフィズス菌の増殖を助け、間接的に下痢・便秘に効きます。
→乳酸菌・ビフィズス菌↑
ビオスリーの細菌(酪酸菌)
酪酸菌は酸素があると生きられない偏性嫌気性菌です。酪酸菌はほとんど酸素が届かない大腸で活躍します。
酪酸菌は乳酸菌と一緒にいることで、お互いの増殖を促進します。
そして、乳酸菌は糖を分解して乳酸を作ります。
酪酸菌は芽胞(がほう:防御膜のようなもの)された状態ですので、胃酸、胆汁酸、腸液、消化酵素、抗生物質などの影響を受けずに腸に到達できます。
ビオスリーの下痢・便秘改善効果は、こちらでくわしく解説中!
『ビオスリーは下痢便秘にジワーッと効く!すぐに効かないけど飲み続けよう』
ビオフェルミンの細菌(ビフィズス菌)
ビフィズス菌は酸素があると生きていけない偏性嫌気性菌です。
大腸にはほとんど酸素がありませんので、ビフィズス菌は大腸で活躍します。
ビフィズス菌は糖を分解して乳酸・酢酸(さくさん)を作ります。
ビフィズス菌が作る乳酸・酢酸には殺菌作用があり、悪玉菌の増殖を抑える効果があります。
(特に酢酸には強い殺菌効果!)
『ミヤBMは抗生物質と併用OK!下痢・便秘改善効果 ビオフェルミンとの違いは?』
ビオスリーとビオフェルミンの違い2 抗生物質との併用
整腸剤と抗生物質
抗生物質は細菌が増えるのを抑える薬ですが、ターゲット以外の細菌(腸の善玉菌など)も攻撃します。
そのため、腸内フローラのバランスが崩れ、下痢・便秘・ガスがたまるという症状が起こります。
抗生物質と整腸剤の併用は理にかなっているのです。
ビオスリーは抗生物質と併用OK
ビオスリーの酪酸菌は先に解説したとおり芽胞状態で配合されています。
そのため、ビオスリーは抗生物質に対して耐性があり、抗生物質が原因で起こる下痢・便秘にも効果があります。
くわしくはこちら!
『ビオスリーが抗生物質と併用OKな理由 他の整腸剤はどうなの?』
ビオフェルミンは抗生物質と併用NG
ビオフェルミンのビフィズス菌・乳酸菌・糖化菌は抗生物質に耐性がありません。
そのため、ビオフェルミンは抗生物質と併用しても整腸効果は得られません。
抗生物質と併用しても整腸効果を得られるようにした乳酸菌製剤がビオフェルミンRです。
ビオフェルミンRと抗生物質の併用はOK
抗生物質に耐性を持たせた乳酸菌製剤がビオフェルミンRです。
左:ビオフェルミンR錠
右:ビオフェルミンR散
ビオフェルミンRには錠剤と散剤がありますが、錠剤・散剤の違いがあるだけで、成分の違いはありません。
(ビオフェルミン錠剤とビオフェルミン配合散は違う細菌を使ってましたね)
ビオフェルミンに違いはこちらでくわしく解説中!
『ラックビーとビオフェルミンの違い 併用したら効果はどうなる?』
まとめ
- ビオスリーとビオフェルミンは使っている細菌に違いがある
- ビオスリーは芽胞状態で配合されているので、抗生物質と併用OK
- ビオフェルミンは抗生物質と併用すると効果がなくなる
- ビオフェルミンRは耐性乳酸菌を使っているため、抗生物質と併用OK
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