花粉症の鼻の3大症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみです。
鼻花粉症の診療は耳鼻咽喉科の医師が得意とする分野で、点鼻薬の適正使用に長けています。
最初はなかなか効きませんが、長期的にみるとメリットのあるステロイド点鼻薬を中心に使います。
しかし、一般の方は鼻水、くしゃみ、特に鼻づまりを、とにかく抑えようとします。
そのため、花粉シーズン中に使い続けるには問題のある血管収縮剤入りの点鼻薬(鼻づまり点鼻薬)の市販を選ぶ方が多いです。(ダメな点鼻薬と知らずに使っている方も多い)
しかしながら、この鼻づまり点鼻薬は花粉症を治すどころか、使い方を誤ると悪いと後でひどい目に合うことすらあります。
花粉症の鼻づまりに市販点鼻薬がよく効く理由
花粉症の鼻づまりに市販点鼻薬がよく効くのは、血管収縮剤が入っているからです。
血管収縮剤の成分はトラマゾリン・ナファゾリン・テトラヒドロゾリンなどがあり、医療用点鼻薬ではトラマゾリン、プリビナ、コールタイジンという名前で処方されています。
鼻は細い血管(毛細血管)が多いです。
血管収縮剤の入った市販点鼻薬はこの毛細血管を収縮させます。毛細血管を収縮することで、鼻の腫れが小さくなってウソのように鼻づまりが楽になるのです。
花粉症点鼻薬の市販をおすすめしない理由
1.花粉症点鼻薬の市販は血管収縮剤入りが多い
ドラッグストアで花粉症点鼻薬の薬コーナーへ行き、点鼻薬のパッケージの裏をみて下さい。
ほとんどの点鼻薬にトラマゾリン・ナファゾリン・テトラヒドロゾリン(血管収縮剤)のどれかが入っていることに気付くことでしょう。
血管収縮剤が入っていない花粉症点鼻薬の市販を探す方が難しいくらいです。
2.鼻づまり点鼻薬は一時しのぎに過ぎない
血管収縮剤の入った花粉症点鼻薬は鼻づまりに速効しますが、一時的に鼻粘膜の腫れをとっているにすぎません。
血管収縮剤の効果は短く、効果がなくなるとまた鼻づまりを起こします。つまるからさらに点鼻薬を使います。
このように、鼻づまり点鼻薬は点鼻薬依存を起こしやすく、使い続けると鼻の粘膜が分厚く腫れあがったような状態になります。最終的には点鼻薬が効かなくなります。
この症状を薬剤性鼻炎といいます。
『トラマゾリン、プリビナ、コールタイジン点鼻薬の使いすぎはダメ!』
血管収縮剤の入った花粉症目薬も、同様の理由で使いすぎはいけません。
『花粉症目薬の市販おすすめ 充血をとらない血管収縮剤フリー3選』
3.鼻づまりの原因がわからなくなる
「1.花粉症点鼻薬の市販は血管収縮剤入りが多い」「2.鼻づまり点鼻薬は一時しのぎに過ぎない」で解説したことをまとめると、
- ほとんどの花粉症点鼻薬の市販には血管収縮剤が入っています。
- それを使っている間に、鼻づまりに効かなくなります。
- その鼻づまりの原因は「花粉症」なのか「薬剤性鼻炎」なのかわからなくなります。
- この状態から抜け出すには、鼻づまりの原因がどちらであれ、花粉症点鼻薬の市販を止める必要があります。
花粉症点鼻薬の市販の使い方
(血管収縮剤の入った)花粉症点鼻薬の市販は最小限にとどめるべきです。
「ナザールスプレー」を例にして花粉症点鼻薬の市販の使い方を解説します。
花粉症は鼻づまりがツライ
花粉症シーズン中は鼻づまりがひどくて眠れない夜があると思います。
花粉症にはステロイド点鼻薬の市販がおすすめですが、ステロイド点鼻薬の市販は効果の実感には1~2週間程度かかります。
『ナゾネックス・アラミストの市販はない!ステロイド点鼻薬の市販はコレ!』
1日1~2回程度を限度に血管収縮剤入り花粉症点鼻薬(市販)を点鼻すると、鼻づまりは緩和されます。
ナザールスプレーの使い方
ナザールスプレーは「医療用点鼻薬プリビナ」と同じナファゾリンを使った市販点鼻薬です。
さらにナザールスプレーにはクロルフェニラミン(鼻水を抑える成分)も添加されています。
ナザールスプレーの薬の説明書にはこのような記載がありますが、使いすぎてはいけません。ナザールスプレーは、つらいときのみ1日1~2回を限度に使います。
大人(15才以上)及び7~14才1回に1~2度ずつ、1日6回を限度として鼻腔内に噴霧してください。なお、適用間隔は、3時間以上おいてください
『トラマゾリン、プリビナ、コールタイジン点鼻薬の使い方 鼻づまりにはこう使おう!』
まとめ
- 市販点鼻薬が花粉症の鼻づまりによく効くのは、血管収縮剤が入っているからである
- 血管収縮剤の入った花粉症点鼻薬は鼻づまりに即効するが、一時的に鼻粘膜の腫れをとっているにすぎない
- 血管収縮剤の効果は短く、効果がなくなるとまた鼻づまりを起こす
- 血管収縮剤の入った花粉症点鼻薬は、使い続ける間に薬剤性鼻炎を起こすリスクがある
- (血管収縮剤の入った)花粉症点鼻薬の市販は最小限にとどめるべきである
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