病院で問診票は書いてきたのに、薬局でも書くの?
急いでるから、また今度にしてほしいんだけどね。
薬局に来局した100人に1人くらいは、このようなことをおっしゃいます。
薬局の問診票(初回アンケート)は面倒な作業ですが、
問診票(初回アンケート)に記入することで、薬剤師はあなたにとっての有益な薬の情報を提供できるのです。
医薬分業の原点
800年ほど昔の話です。
神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世が、自分の医師の処方した薬に疑問をいだき、毒殺されるのではないかと恐れました。そこで、第三者にその薬をチェックさせたです。
医師の薬をチェックする人として、薬剤師という仕事が生まれました。
薬局問診票確認事項1 連絡先
薬局の問診票には名前、住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先の記入欄があります。
住所は住民票の住所ではなく、連絡の取れる住所と電話番号を記入します。
薬局問診票確認事項2 お薬手帳の有無
お薬手帳の作成の有無や、シールの必要性を確認します。
薬局問診票確認事項3 ジェネリックの希望の有無
国策でジェネリックが推進されています。
そのため、薬局でも問診票などを使って、ジェネリックの希望を確認しなくてはなりません。
- 一般名で処方されているとき
- ジェネリックを処方されているとき
- 先発商品名で処方されているが、変更不可欄に×がないとき
この3パターンのいずれかの処方である場合は、次の変更が可能です。
- ジェネリックに変更
- ジェネリックから別のメーカーのジェネリックに変更
- 先発からジェネリックに変更
【般】ピオグリタゾン錠15mg
【般】+「一般的名称」+「剤形」+「含量」 で構成されています
ピオグリタゾン錠15mg「ファイザー」
「一般的名称」+「剤形」+「含量」+「メーカー名」で構成されています
アクトス錠15mg
「商品名」+「剤形」+「含量」で構成されています
処方箋の記載事項について
薬局問診票確認事項4 アレルギーの有無
アレルギーの主な原因は、花粉、動物、ハウスダスト、食物です。
薬との飲み合わせで注意しなくてはならないものは食物です。
食物アレルギーがある方は、薬局でも必ず問診票に記入します。
- 卵アレルギーの方NG
塩化リゾチーム
(アクディーム、ノイチームなど) - 牛乳アレルギーの方NG
タンニン酸アルブミン
(タンナルビン)
耐性乳酸菌
(エンテノロンR、ラックビーRなど)
カゼイン
(アミノレバン、エンシュアリキッド、ラコールなど)
※アクディーム、ノイチームなどの塩化リゾチームを主成分とする薬は、2016年3月に販売中止。
花粉症などのアレルギーは早めのケアが有効です
薬局問診票確認事項5 副作用歴
経験的に多いのが、ペニシリン系抗生物質による蕁麻疹です。
副作用歴のある薬は、再び副作用が出る可能性があるため服用には注意が必要です。
薬局問診票では、この項目の記入率がやや低いです。
問診票の記入がない場合、薬剤師は副作用のチェックができません。
薬の中止は必須ではないが、変更などを検討する薬
抗アレルギー薬と眠気
薬局問診票確認事項6 併用薬
問診票に記入する、もしくはお薬手帳の提示で併用薬を確認します。
併用薬の記載がない場合、次のサービスを受けられません。
- 重複投与(同成分の薬が重複して処方されること)の防止
- 飲み合わせのチェック
薬局問診票確認事項7 既往歴
問診票で既往歴(今までかかったことのある病気)がわかれば、併用薬がある程度推測できます。
その推測をもとに、薬局の薬剤師は、処方薬と併用薬の飲み合わせの可否を考えます。
併用薬で気をつける病気のひとつは緑内障です。
緑内障は併用できない薬が比較的多く、次にあげる種類の一部の薬が服用できません。
- 抗うつ薬
- トイレの切迫感を改善する薬
- アレルギーの薬
- パーキンソン病の薬
- 咳止め
- 胃の痛み止め
- (抗コリン作用を持つ薬)
抗コリン作用とは
副交感神経を刺激すると、リラックスした状態になります。
抗コリン作用は、アセチルコリンの生成を抑え副交感神経を抑制するため、リラックスとは逆の状態になります。
- 散瞳、眼圧の上昇(緑内障の悪化)
- 胃腸活動低下(消化機能低下)
- 尿や便の排泄機能低下(便秘、尿閉)
- 唾液分泌能低下(口渇:こうかつ)
薬局問診票確認事項8 嗜好品の有無
問診票でチェックされる嗜好品(好んで食べる食品)は、アルコール、タバコ、コーヒー、乳製品、グレープフルーツ、納豆などです。
アルコールと薬の相互作用
アルコールは、多くの薬が分解される場所(肝臓)と同じ所で分解されます。
薬とアルコールの分解が拮抗するため、薬の分解速度が遅くなります。
つまり、アルコールと薬を一緒に飲むと、通常であれば分解されるはずの量の薬が分解されず、余計に体の中に残ることがあります。
タバコと薬の相互作用
タバコは、シメチジン(胃薬)、テオフィリンを含むぜんそく薬、咳止めの効果を減弱します。
コーヒーと薬の相互作用
コーヒーはカフェインを含んでいます。
カフェインはテオフィリンを含む喘息薬、咳止めの効果を増強します。
牛乳、ヨーグルトなどの乳製品と薬の相互作用
乳製品は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)を多く含んでいます。
CaとMgはクラビット、オゼックス、ジェニナックなどのニューキノロン系抗菌剤の効果を著しく低下させます。
グレープフルーツと薬の相互作用
グレープフルーツは、高血圧や狭心症の薬(カルシウム拮抗薬)の効果を増強します。
納豆、クロレラなどと薬の相互作用
納豆、クロレラはビタミンKを多く含みます。
ビタミンKはワーファリンの効果を減弱するため、血が固まりやすくなってしまいます
薬局問診票確認事項9 運転と高所の作業の有無
眠気、ふらつきなどが起こりやすい薬を問診票でチェックします。
眠気、ふらつきなどの症状が出るかもしれない薬を服用して車、バイクを運転することは、危険な行為です。
- アレルギーの薬
- 精神安定剤(気持ちを落ち着かせる薬)
- 筋弛緩剤(筋肉の緊張をほぐす薬)
薬局問診票確認事項10 妊娠、授乳の有無
薬の中には胎児の成長に悪い影響を与える薬(妊婦禁忌薬)があります。
授乳も同様に、赤ちゃんの発育に悪い影響を与える薬(授乳禁忌薬)があります。
それらを問診票でチェックします
まとめ
初回問診票で特にチェックしたい項目
- 既往歴
- アレルギーの有無
- 併用薬の有無
- 嗜好品の有無
- 運転と高所の作業の有無
- 妊娠、授乳の有無
これらの項目を薬剤師が薬局問診票(初回アンケート)を使って短時間でチェックしています。
二度手間で面倒な問診票ですが、伝えるべきところは伝えて、薬剤師から多くの情報の提供を受けましょう。
問診票にはあまり記載がありませんが、アスリートはドーピングに気をつける必要があります。
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