頭痛の原因は様々です。
眼精疲労、緑内障、中耳炎、副鼻腔炎による頭痛など、何らかの病気があり、それが原因で起こる頭痛を二次性頭痛と言い、
病気があるわけではなく、繰り返し起こる頭痛を一次性頭痛と言います。
いわゆる頭痛持ちの頭痛とは、一時性頭痛を言います。
一次性頭痛は主に3種類+αが知られています。
頭痛の種類 | 有病率 |
---|---|
偏頭痛 | 8.4% |
緊張型頭痛 | 20~25% |
群発性頭痛 | 不明 (0.1%~0.4%?) |
薬物乱用頭痛 | 不明 |
有病率※だけを見ると緊張型頭痛がトップですが、
頭痛の頻度が高く、日常生活に支障がでるため病院に受診する方は、偏頭痛が多いです。
その理由は、偏頭痛は緊張型頭痛と比較すると、頭痛が強いため日常生活に支障がでやすいためです。
※有病率とは、一時点における単位人口に対する患者の割合です。有病率が高い病気は、発病する頻度が高い病気です。
※偏頭痛の正式名称は「片頭痛」です。
頭痛持ちの割合
頭痛は、明確な病気があるわけではないにもかかわらず、繰り返し起こる頭痛(=一次性頭痛)と、原因がある頭痛(=二次性頭痛)に分けられています。
一次性頭痛がいわゆる「頭痛持ち」の頭痛で、首や頭部周辺の筋肉の緊張や、頭部の血管の拡張などが原因で起こると考えられています。
偏頭痛持ちと性差
4万人(日本全国15歳以上の方が対象)にアンケートをとり、国勢調査に基づき標準化して抽出した4029名に大規模調査が行われました。
その結果から計算された偏頭痛の有病率は8.4%です。
日本人を1億2600万人で換算すると1058万人です。
厚生労働省の「2014年患者調査の概況」によると
病名 | およその患者数 |
---|---|
高血圧 | 1010万人 |
糖尿病 | 317万人 |
高脂血症 | 206万人 |
心疾患 | 172万人 |
がん | 163万人 |
脳血管疾患 | 118万人 |
偏頭痛持ちの方は、相当な数であることがわかります。
性別による偏頭痛の有病率は、女性(30代がピーク)が男性の約3.5倍です。
女性は、生理前や生理中に毎月のように偏頭痛を起こす頻度が高いためだと考えられます。
偏頭痛の頻度と持続時間
1カ月あたりの偏頭痛の頻度は、平均2.1〜3.1回です。
1回の偏頭痛の持続時間は、7.6時間~9.3時間です。
偏頭痛は、偏頭痛持ちの74%の方の日常生活に影響を与えているようです。
偏頭痛の日常生活への影響 | 頻度 |
---|---|
いつも寝込む | 4% |
ときどき寝込む | 30% |
寝込まないが日常生活に支障がある | 40% |
偏頭痛の受診状況
偏頭痛で病院を受診している方の割合がかなり低く、偏頭痛持ちの69.4%の方は、偏頭痛で病院を受診していません。
偏頭痛持ちの受診状況 | 割合 |
---|---|
定期的に受診 | 2.7% |
ときどき受診 | 12.3% |
1年以上前に受診したことがある | 15.6% |
では、偏頭痛の対処はどうのようにしているのでしょうか?
偏頭痛の対処の仕方(頭痛薬の服用状況)
頭痛薬の服用状況 | 割合 |
---|---|
市販薬のみ服用 | 56.8% |
処方せん薬のみ服用 | 5.4% |
処方せん薬と市販薬の併用 | 18.6% |
19.2%の方は、何も対処せず偏頭痛に耐えているという状況です。
次は、偏頭痛の原因をさぐってみましょう。
偏頭痛の原因と仮説(三叉神経血管説)
偏頭痛の原因は、まだ解明されてはいません。
血管説、神経節、三叉神経血管説などの仮説があり、現在では、三叉神経血管説が最も有力な仮説といわれています。
三叉神経血管説とは
なんらかの刺激で頭蓋内血管に分布する神経終末が刺激され、血管作動性物質が放出され、血管が拡張し、無菌性の炎症が引き起こされます。このような反応が次々に血管を広がっていきます。
この刺激による興奮が脳に伝えられて悪心・嘔吐などの反応や頭痛を起こすという説マインズガイドラインセンターHPより抜粋引用
何らかの原因で頭の中の太い血管が拡がると、頭の中で一番大きな神経である三叉神経が圧迫されます。
圧迫刺激を受けた三叉神経からは、痛みの原因物質(神経ペプチド)が放出され、血管の周りに炎症を起こし、さまざまな偏頭痛の症状が出てきます。
これが偏頭痛が起こるメカニズム(原因)です。
何らかの原因でということですが、
血管を拡張させる原因のひとつにセロトニンの過剰な放出が考えられています。
セロトニンが過剰に放出されると、いったんは脳内の太い血管は収縮します。
しかし、過剰に放出されたセロトニンは不足状態となり、今度は脳内の太い血管はリバウンドを受けたかのように拡張して、偏頭痛が起こるのです。
つまり、セロトニンのコントロールが崩れたときに偏頭痛が起こるのです。
日常生活における偏頭痛の原因
日常生活で偏頭痛を起こす原因は、天候、気候、気圧(低気圧)があり、明るさや音も偏頭痛を起こす原因であると考えられています。
明るく日差しの強い春〜秋には、偏頭痛を起こす頻度が高い傾向にあります。
夏の外出時は、サングラスをして日光による刺激を受けにくくするなどの対策が有効です。
女性は、生理前から生理中にかけて、偏頭痛が起こす頻度が高いです。
これは、生理前から生理中にかけて、女性ホルモン(エストロゲン)の血中濃度の低下が原因と考えられています。
偏頭痛の原因となる日常生活の例
- ストレス(外出、季節・温度・天気の変化)
- 光・音
- 台風(低気圧)
- 目・体・心の疲れ
- 熱い風呂(急に血管が拡張するため?)
- 睡眠不足
- 睡眠過多
- 生理前から生理中
- 肩こり・首こり(緊張)
偏頭痛の原因となる食品
血管を拡張したり収縮したりする作用がある食品があります。この作用を持つ食品は偏頭痛の原因となります。
そして、意外とたくさん偏頭痛の原因食品はあります。
血管拡張作用がある食品の例
- 酒(アルコール)
- 赤ワイン、オリーブオイル(ポリフェノール)
- ハム、ベーコン、ソーセージ(亜硝酸)
- アスパルテーム(甘味料)
血管収縮作用がある食品の例
- チーズ、チョコレート、ナッツ、かんきつ類(チラミン)
- 多量のコーヒー、紅茶、緑茶など(カフェイン)
頭痛の原因薬
頭痛の原因となる薬で最も多いのは頭痛薬です。頭痛薬が新たな頭痛を生み出します。
それ以外の薬では、狭心症の治療で使用する血管拡張作用のある薬や、血圧を下げる目的で使用する降圧剤などが、頭痛を起こす原因薬である場合が多いです。
頭痛を起こす原因薬の例
薬の名前 | 主成分 |
---|---|
プレタール | シロスタゾール |
アダラート | ニフェジピン |
ニトロペン | ニトログリセリン |
テノーミン | アテノロール |
バイアグラ | シルデナフィル |
偏頭痛の症状
偏頭痛は、頭の片側(こめかみから目のあたりなど)に中等度から重度のズキズキと脈を打つような頭痛が起こり、それが4〜72時間持続します。
偏頭痛が起こる前に、偏頭痛の原因となりやすい日常的な動作があると、偏頭痛のズキズキ感が悪化する場合も多いです。
偏頭痛中は、何とも言えぬ吐き気の症状が出る場合があり(吐く場合もあります)、光や音に過敏になります。
偏頭痛中は、動くとズキズキ感が増すため、暗い静かな場所で安静にしていたいものです。
偏頭痛と吐き気、光、音は一見関係なさそうですが、
何らかの原因で脳の太い血管が拡張し、三叉神経が刺激されると、刺激が大脳に伝わります(下図)。
その刺激が大脳に伝わる途中で視覚中枢、聴覚中枢、嘔吐中枢にも刺激が伝わるのです。
そのため、光や音に敏感になったり、吐き気の症状が出てくるのです。
偏頭痛のズキズキ感がひどく、頻度も高く、社会生活に支障をきたすときは、積極的に予防すべきです。
偏頭痛持ちの30%くらいの方は、偏頭痛が始まる前に前兆と呼ばれる前触れ症状を10分~60分程度感じるときもあります。
典型的な前兆は、視覚性前兆、感覚性前兆、言語性前兆です。
偏頭痛の前触れ症状(前兆と予兆)
視覚性前兆
チカチカ・ピカピカとして一部が見えにくくなったり、視界にギザギザの線が入ったり、一部が暗くなったりするような症状です。
感覚性前兆
チクチク感が現れ、それが顔面全体などに広がっていく症状です。
言語性前兆
なぜか理由もなく、言葉につまる・つまりやすくなるような症状です。
さらに、前兆の前に予兆(偏頭痛が起こりそうな予感)を感じる方や、前兆はないが予兆のみ感じる方もいます。
偏頭痛の予兆
- 首や肩がこる
- 気分が落ち込む
- イライラする
- だるい
- 眠気を感じる
まとめ
- 偏頭痛持ちの方は、1058万人程度いると推定されている
- 偏頭痛の原因のひとつは、「セロトニンの過剰な放出」による血管拡張
- 偏頭痛を起こしやすいライフスタイルや、食物がある
- 偏頭痛の主な症状は、中程度~重度の片側のズキズキした頭痛、吐き気、光過敏、音過敏
- 偏頭痛持ちの方の中には、前触れ症状(前兆や予兆)を感じる人がいる
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