【薬と食事と効果】ビスホスホネートが起床時、ロトリガ、エパデールが食直後の理由

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食前、食間に服用する薬は、食後に服用しても問題ない場合もあります。

しかし、理由があり用法を守らないと、薬の効果が上がったり下がったりする薬もあります。

代表的な用法を3例紹介します。

  • 高脂血症治療薬エパデール、ロトリガの食直後
  • 骨粗鬆症治療薬の起床時
  • 糖尿病治療薬の食直前
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薬の用法の復習

意外と知られてなかったり、勘違いされていることがありますので、一般的に使用される用法をおさらいしましょう。

食事と薬の用法

食直前 食事の10分前以内に服用(理想は5分以内)
食前 食事の約30分前に服用
食直後 食事の10分後以内に服用(理想は5分以内)
食後 食事の約30分後に服用
食間 食事の約2時間後に服用
寝る前 寝る直前に服用
起床時 起きてすぐ服用
頓服 食事とは関係なく、必要時服用

食間を「食事中」と思っている方が多いです。
頓服も「熱があるとき、痛いとき」と思っている方がいます。

高脂血症治療薬エパデール、ロトリガの食直後

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上からエパデールカプセル300、エパデールS300、エパデールS600、エパデールS900

出典:http://apital.asahi.com

たいていの薬は食後に服用しますが、理由があり「食直後」の用法で服用する薬があります。

その「食直後」の用法の例をひとつを紹介します。

エパデールの食事、用法、効果の関係

エパデールは、イコサペント酸エチルを有効成分とする、次のような治療に用いられる薬です。

  1. 閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
  2. 高脂血症

エパデールの吸収には、胆汁酸の分泌や食事の成分を必要とするため、胃の中に何かある状態(食直後)でないと有効成分はほとんど吸収されません。

食事を摂らずにエパデールを服用した場合の、有効成分EPAの血中濃度は、次のグラフの通りです。

エパデールを摂食時・絶食時で服用したときの血中EPA濃度の推移

エパデールを摂食時・絶食時に服用したときの血中EPA濃度の線グラフ

エパデールの添付文書にも「本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるので食直後に服用させること」と記載されています。

同様の理由で、ロトリガ(オメガ‐3脂肪酸エチル)も食直後の服用です。

EPA、DHAの薬は食事の影響を受けるため、食直後に服用します。

DHA、EPA、オメガ‐3のサプリや特定保険用食品などがあります。

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食直後に服用すべき薬の例

薬剤名 一般名 分類 理由
エパデール イコサペント酸エチル 高脂血症 効果減弱
ロトリガ オメガ‐3脂肪酸エチル 高脂血症 効果減弱
イトリゾール イトラコナゾール 抗真菌薬 効果減弱
カルタン 沈降炭酸カルシウム 高リン血症治療剤 効果減弱
ホスレノール ランタン 慢性腎臓病の高リン血症の改善 効果減弱
クリノリル スリンダク 非ステロイド性消炎・鎮痛剤 消化性潰瘍防止
エクセラーゼ 消化酵素製剤 効果減弱
パーロデル ブロモクリプチン
メシル酸塩
パーキンソン病 悪心・嘔吐防止

骨粗鬆症治療薬ビスホスホネートの起床時

骨粗鬆症の治療で使われる「ビスホスホネート」という分類の薬は、起床時の用法で服用することで知られています。

その理由は、ビスホスホネートは、食事の影響を受けやすいからです。

ビスホスホネートは食事に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分と反応してキレートを作ります。キレートは体内で吸収されません。

また、骨粗鬆症治療薬「ビスホスホネート」は、ミネラル分(カルシウム・マグネシウム等)を多く含む硬度の高いミネラルウォーターで飲んではいけません。

ベネット(ビスホスホネート)の食事と効果の関係

左からベネット2.5mg錠、ベネット17.5mg錠、ベネット75mg錠

ベネット2.5mg錠  :毎日服用
ベネット17.5mg錠:週1回服用
ベネット75mg錠   :月1回服用

リセドロン酸ナトリウム(ベネットの有効成分)5mgを絶食時、食前30分、食後30分、食後3 時間に服用した時の血中濃度の推移

リセドロン酸ナトリウム5mを絶食時、食前30 分、食後30 分、食後3 時間に服用したときの血中濃度の推移

Cmax(最高血中濃度)、AUC0-24(24時間で利用された総薬物量)は

絶食時 >食前30分
  >食後3時間 >食後30分

となります。

ベネットは食事による影響を、かなり受けることがわかります。

ベネットの添付文書の用法の項目に
「服用後少なくとも30分は横にならず、水以外の飲食並びに他の薬剤の経口摂取も避けること」

とありますが、ベネットを服用して30分後に食事をした場合でも、効果の減弱がみられます。

ビスホスホネートで一番最初に発売された、ダイドロネル(エチドロン酸二ナトリウム)は、「本剤の吸収をよくするため、服薬前後2時間は食物の摂取を避けること」と用法の項目に記載がありました。

添付文書には記載がありませんが、同様にベネットも2時間食事を摂らない方がよいのかもしれません。

起床時に服用:骨粗鬆症治療薬ビスホスホネート(内服)

ビスホスホネート 一般名 規格 ジェネリック
医薬品の有無
ダイドロネル エチドロン酸
二ナトリウム
200mg ×
フォサマック アレンドロン酸
ナトリウム
5mg
35mg
ボナロン
アクトネル リセドロン酸
ナトリウム
2.5mg
17.5mg
75mg
ベネット
ボノテオ ミノドロン酸
ナトリウム
1mg
50mg
×
リカルボン

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糖尿病治療薬の食直前の用法

糖尿病の方の中には、常時の血糖値は高くないが、食事をとると異常に血糖値が上昇するというパターン(食後過血糖といいます)があります。

そのような方には、「即効型インスリン分泌薬」や「αーグルコシダーゼ阻害薬」と呼ばれる糖尿病治療薬が処方されることがあります。

「即効型インスリン分泌薬」や「αーグルコシダーゼ阻害薬」は毎食前に服用します。この用法で服用することで、はじめて食後の異常な血糖の上昇を抑えることができます。

治療イメージはこのような感じです。

即効性インスリン分泌薬(グリニド薬)を服用したときの血糖値の推移

しかし、この即効型インスリン分泌薬は、食後服用した場合は、薬の効果はほとんど期待できません。

その理由を説明します。

即効型インスリン分泌薬の食事、用法、効果の関係

左:シュアポスト0.25mg錠、右:シュアポスト0.5mg錠

シュアポストは2011年に発売された、レバグリニドを有効成分とする、現在最も新しい即効型インスリン分泌薬という分類の糖尿病治療薬です。

このタイプの糖尿病治療薬を、食事を開始してから20分後に服用した場合

  1. 最高血中濃度到達時間が延長し、食直後の血糖上昇を抑制することができません
  2. 最高血中濃度も低下し、食後の血糖値を下げる効果も期待できません

グラフで示すとこのような感じです。

シュアポスト1mgを食直前と食後(食事開始20分後)に服用したときの血中レバグリニド濃度の推移

シュアポスト(即効性インスリン分泌薬)の食事の影響を示す線グラフ

Cmax:最高血中濃度
Tmax:最高血中濃度到達時間
t1/2:消失半減期

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糖尿病治療薬:即効型インスリン分泌薬

薬剤名 一般名 ジェネリック医薬品の有無
スターシス ナテグリニド
ファスティック
グルファスト ミチグリニド ×
シュアポスト レバグリニド ×

同様の理由で、αーグルコシダーゼ阻害薬と言われる食後の血糖値を改善する糖尿病治療薬も、食直前に服用しないと効果はありません。

糖尿病治療薬:αーグルコシダーゼ阻害薬

薬剤名 一般名 ジェネリック医薬品の有無
グルコバイ アカルボース  ○
 ベイスン ボグリボース  ○
 セイブル ミグリトール  ×

その他の食前の用法の薬

食欲を抑える薬であるサノレックス(マジンドール)は昼食前に服用して、日中の食欲を抑えます。食後に服用すると、サノレックスの効果が出る前に満腹になってしまいます。

インスリンの基礎知識

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まとめ

特に食直後・食食前・起床時の用法は遵守しないと薬は効きません。

その代表的な薬は

  1. 糖尿病治療薬「即効型インスリン分泌薬」「αーグルコシダーゼ阻害薬」
  2. 高脂血症等の治療薬「エパデール」「ロトリガ」
  3. 骨粗鬆症治療薬「ビスホスホネート」

薬は食後に服用することが基本ですが、それ以外の用法で服用するように言われた場合は、何らかの意味があります。

そのほとんどは、効果を最大限にするためであったり、副作用を軽減するためです。

薬のことでなぜ?と思ったら、薬剤師にご確認ください。