【睡眠薬の種類】睡眠薬は効果(強さ)と副作用のバランスが大事

パソコンに向かう男性 睡眠薬
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睡眠薬は大きく分けると3種類でしたが、2010年と2014年に新しい種類の睡眠薬(下記4と5)が発売され5種類に増えました。

  1. バルビツール酸系
  2. ベンゾジアゼピン系
  3. 非ベンゾジアゼピン系
  4. メラトニン受容体作動系
  5. オレキシン受容体拮抗系

 

【睡眠薬の種類1】

バルビツール酸系は1900年前半からある古典的な睡眠薬です。

睡眠に対する効果(強さ)は抜群ですが、主成分が脳全体に作用するため、睡眠中に呼吸が弱くなるなどの副作用を起こす可能性があります。

ラボナが代表的なバルビツール酸系ですが、現在ではあまり使用されていません。

バルビツール酸系は強すぎて使いにくいです。

 

今回は、従来の睡眠薬であるベンゾジアゼピン系~オレキシン受容体拮抗系の効果(強さ)と副作用のバランスについて解説します。

睡眠薬の種類2 ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ハルシオン、レンドルミン、サイレース…。

聞いたことのある睡眠薬は、たいていベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬で、多くの種類があります。

バルビツール酸系とベンゾジアゼピン系の違い

バルビツール酸系睡眠薬は脳全体に強く作用するのに対して、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、脳の一部(GABA受容体)に作用するイメージです。

脳とGABA(ベンゾジアゼピン系睡眠薬の作用部位)

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果(強さ)は、バルビツール酸系睡眠薬と比較すると弱いですが、呼吸抑制などの重大な副作用が抑えられています。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は1960年に誕生して以来、現在でも使用頻度が高くと種類が多いです。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、比較的効果が強い、副作用とのバランスの取れた薬です。

ただし、特有の副作用などがあり高齢者には使いにくいです。

最近では、新しい種類のベンゾジアゼピン系睡眠薬は発売されていません。

 

睡眠薬は消失半減期(血中濃度が半分になる時間)によってさらに4種類に分類されています。

眠れない?夜中に目が覚める?睡眠薬を見直そう【入眠障害と中途覚醒】
睡眠薬の効果には「強い、弱い」がありますが、効果の持続時間が「長い、短い」もあります。睡眠薬は持続時間の長さで4種類に分類され、おもに3種類の不眠症タイプに使い分けられます。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の主な副作用など

副作用の種類 説明
筋弛緩作用 ふらつき(骨折、転倒の原因になる)
一過性前向性健忘 薬を飲んだ直前のことを忘れる
(特に超短時間型)
反跳性不眠
(はんちょうせいふみん)
長期服用後、中止で一時的に眠れなくなる(依存性)
持ち越し効果 消失半減期の長い睡眠薬は、翌朝眠気が残りやすい
ふらつきが起こりやすい
耐性 効果が弱まる(眠れない、夜中に目が覚める)
【不眠症改善】睡眠薬をやめたい!離脱症状、反跳性不眠に注意
睡眠薬は理由なく長期服⽤する薬ではありません。不眠症が改善したら、減量もしくは中止するべきです。睡眠薬をやめたい方向けの内容です。

 

代表的なベンゾジアゼピン系睡眠薬のであるレンドルミン(ブロチゾラム)の副作用を確認してみましょう。

副作用の種類 副作用の頻度
残眠感、眠気 2.20%
ふらつき 1.01%
頭重感 0.76%
だるさ 0.73%
副作用合計 3.91%

(臨床試験、再審査終了時の調査症例数6548例中)

 

レンドルミンは短時間型睡眠薬ですが、意外と持ち越し効果(早朝のふらつき、眠気など)があるようです。

睡眠薬の種類3 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の違い(強さの違い)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬がGABA受容体全体に作用するのに対して、

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、GABA受容体のω1(オメガ1)受容体への選択性を高めた睡眠薬です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の作用の違い

ω1:睡眠に関係
ω2:筋弛緩、けいれん、不安、記憶などに関係

 

非ベンゾジアゼピン系の効果(強さ)は、ベンゾジアゼピン系と比較するとやや弱い~同等です。

筋弛緩作用の副作用がおさえられています。

夜に目が覚めてトイレに行くときなどにふらついて転倒するリスクが軽減されています。

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、安全性を重視したほどよい強さの睡眠薬で、高齢者にはおすすめです。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は現在3種類発売されており、すべて超短時間型です。

発売年 睡眠薬名 主成分名
1989年 アモバン ゾピクロン
2000年 マイスリー ゾルピデム
2012年 ルネスタ エスゾピクロン
睡眠薬ルネスタ(エスゾピクロン)も苦い!効果、副作用、依存性
従来の睡眠薬からルネスタに変更することで、依存・ふらつき等から解放される可能性があります。超短期型睡眠薬の中では持続時間も長いため、途中で起きるタイプの不眠症にも効果が期待できます。

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は睡眠効果が短く、一度眠ったら夜中に目が覚めることはないけれど眠れない。など。

寝付きが悪い方に効果的です。

 

アモバン、マイスリー、ルネスタの血中濃度を消失半減期を使ってグラフ化するとこのような感じです。

アモバン、マイスリー、ルネスタの効果の持続時間

マイスリーとルネスタでは、効果の持続時間にかなりの差があります。

そのため、眠れないからマイスリーを飲んでいるが夜中に目が覚める方は、マイスリーからルネスタへの変更で、夜中に目が覚めなくなるかもしれません。

睡眠薬マイスリーの効果発現時間と持続時間(作用時間)はどれくらい?
睡眠薬が効いた、効かなくなったと感じる時間は個人差があります。しかし、メーカーが発表しているデータから「効果持続時間」や「効果発現時間」をある程度推測することが可能です。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用

アモバン マイスリー ルネスタ
副作用1 苦み(4.18%) ふらつき(4.0%) 味覚異常(21.0%)
副作用2 ふらつき(0.89%) 眠気(3.4%) 頭痛(10.7%)
副作用3 眠気(0.51%) 頭痛(2.8%) 傾眠(7.8%)
副作用4 口渇(0.48%) 倦怠感(2.8%) 浮動性めまい(5.1%)
副作用合計 831例(7.12%) 190 例(17.2%) 819 例(50.0%)

アモバン:再審査終了時(総症例11677例中)
マイスリー:承認時(総症例1102例中)
ルネスタ:外国並行群間比較試験(総症例1637例中)

 

レンドルミンよりふらつきの副作用頻度が高い睡眠薬もありますが、試験を行った時期や対象者が違うため、単純にデータを比較できません。

マイスリー以外の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、口の苦みで眠れないという方もいるくらいとにかく苦いです。

そのため、非ベンゾジアゼピン系睡眠はマイスリーが一番使われています。

睡眠薬マイスリー(ゾルピデム)VSルネスタVSアモバン(ゾピクロン) 効果(強さ)と副作用の違い
マイスリー(ゾルピデム)、アモバン(ゾピクロン)、ルネスタ(エスゾピクロン)は、ふらつきなどの副作用が起こりにくく、効き目もそこそこ良いため、睡眠薬の標準薬となりつつあります。

睡眠薬の種類4 メラトニン受容体作動系睡眠薬 ロゼレム

2010年、向精神薬、習慣性医薬品に指定されていない全く新しい種類「メラトニン受容体作動系睡眠薬ロゼレム」が発売されました。

2016年現在、メラトニン受容体作動系睡眠薬はロゼレム1種類のみです。

睡眠薬ロゼレムの作用

従来の睡眠薬はGABA受容体をターゲットにしていましたが、ロゼレム(ラメルテオン)はメラトニン受容体をターゲットにしています。

ロゼレムのメラトニン受容体刺激作用

 

ロゼレム(ラメルテオン)は、メラトニン受容体を刺激してメラトニンの分泌を促し、自然な睡眠を誘います。

メラトニンとは
メラトニンは、脳から分泌される体内時計の調整機能があるホルモンの一種で、メラトニンが多く分泌されると眠くなります。

睡眠薬ロゼレムの効果(強さ)

今までの睡眠薬と比較すると、ロゼレムはなかなか効果が表れません。

ロゼレムは効かない!弱い!と言い切る人すらいます。

 

ロゼレム(ラメルテオン)は、2週間くらいの連続服⽤で効果が実感できるようになります。

すぐに「睡眠時間を確保したい、改善したい」と考えている方には、ロゼレム(ラメルテオン)はあまり人気がないようです。

ロゼレムの睡眠効果期間

睡眠潜時:眠れるまでの時間

 

ロゼレムの副作用

ロゼレムは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用の一種である、筋弛緩作用一過性前向性健忘反跳性不眠がほとんど起こりません。

 

ロゼレムの副作用(臨床試験より)

副作用の種類 副作用の頻度
傾眠 3.4%
頭痛 1.0%
倦怠感 0.5%
めまい 0.5%
副作用合計 10.4%

 

ロゼレムの臨床試験ではそれなり高い頻度で副作用が起こっていますが、これらの副作用は1日1回ロゼレム4mg、8mg、16mg、32mgを服用した1864例中の試験データです。

ロゼレムは1日1回8mgの服用ですので、ここまで副作用頻度が高くなるとは考えにくいです。

睡眠薬ロゼレム(ラメルテオン)の標的はメラトニン受容体!効果、副作用、禁忌
ロゼレムは従来の睡眠薬と違う作用を持つ、向精神薬・習慣性医薬品に分類されていない唯一の睡眠薬です。メーカーが公表しているデータからも最も安全な睡眠薬に分類されると考えられます。

睡眠薬の種類5 オレキシン受容体拮抗系睡眠薬 ベルソムラ

2014年、ロゼレムとは違う、また新しい種類の睡眠薬、オレキシン受容体拮抗系睡眠薬ベルソムラが発売されました。

2016年現在、オレキシン受容体拮抗系睡眠薬は、ベルソムラ1種類のみです。

ベルソムラの作用

オレキシン(覚醒維持に関わるホルモンの一種)がオレキシン受容体に結合する前に、ベルソムラの主成分スボレキサントが、オレキシン受容体に結合します。

そのため、オレキシンが作用が弱まり、覚醒力が下がり眠気を誘います。

ベルソムラの効果(強さ)

ベルソムラもロゼレムと同様に、あまり即効性は期待できず、2週間くらい服用したくらいから効果が出てくるようです。

3カ月服用したころから安定した効果が期待できます。

 

ベルソムラを1年間服用したときの睡眠潜時(眠れるまでの時間)の推移

ベルソムラの効果
ベルソムラインタビューフォームより作成

 

ベルソムラの副作用

睡眠薬を服用すると、悪夢(変な夢)をみたりする場合がありますが、ベルソムラは特に悪夢(変な夢)を見る頻度が高いです。

 

ベルソムラの副作用報告抜粋(市販後調査)

副作用 件数 副作用発現率
傾眠 201 14.1%
悪夢 148 10.4%
異常な夢 45 3.2%
頭痛 79 5.5%
めまい 50 3.5%

 

ベルソムラの市販直後調査(2015年7月発表)によると、ベルソムラの処方があった推定7.5万人に対して1427件の副作用が報告されています。

睡眠薬ベルソムラの7つの特徴 効かない・太る・悪夢は本当?
ベルソムラは新しい作用を持つ睡眠薬です。発売後のデータの蓄積がまだまだ不十分で、わからないことが多いですが、メーカーが公表しているデータに基づいて効果、副作用、依存性を中心に解説します。

睡眠薬の強さとは(種類別)

睡眠薬の種類別強さは次の通りです。

バルビツール酸系
>ベンゾジアゼピン系
非ベンゾジアゼピン系
>オレキシン受容体拮抗系
>メラトニン受容体刺激系

ただし、睡眠薬の強さは個人差が大きく、強さの比較自体が難しいです。

 

「効果の持続時間が長い睡眠薬」を強いという方がいますが、睡眠薬の持続時間と強さは無関係です。

睡眠薬の強さを決める要素は、種類、主成分、服用用量などです。

睡眠薬の安全性

睡眠薬で大切なことは、次の4つに集約されます。

  1. 眠れる
  2. 夜中に目が覚めない
  3. 朝、普通に目が覚める
    (眠気が持ち越さない)
  4. 安全に使用できる
睡眠薬の安全性
メラトニン受容体刺激系
>非ベンゾジアゼピン系
>オレキシン受容体拮抗系
≧ベンゾジアゼピン系
>>バルビツール酸系

 

今のところ、睡眠薬の安全性は上記のように私は考えています。

ただし、オレキシン受容体拮抗系睡眠薬は発売後のデータの蓄積がまだまだ不十分で、わからないことが多いです。

オレキシン受容体拮抗系睡眠薬は、一部のベンゾジアゼピン系に安全性で劣るかもしれません。

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