認知症薬メマリーとアリセプトの効果、副作用、作用機序の違い 併用は?

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アルツハイマー型認知症の中核症状(記憶の低下等)は、メマリー、アリセプト等の認知症の薬によって進行を遅らせることができます。

しかし、薬で治療をしていても、認知症の症状はゆっくりと進んでしまい、歯がゆい思いをすることも少なくはありません。

現在アルツハイマー型認知症の薬は4種類あります。

  1. アリセプト(ドネペジル)
  2. レミニール(ガランタミン)
  3. イクセロンとリバスタッチ(リバスチグミン)
  4. メマリー(メマンチン)

1~3番の3種類は、脳内のアセチルコリンの濃度を高めて、神経の連絡網の低下を抑える作用があり、認知症の進行を抑制する効果があります。

メマリーは、アリセプト等とは異なる作用機序を持っていて、認知症の進行を抑制する効果があります。

メマリーの効果、副作用、作用機序を、アリセプトと比較しながら解説します。
さらに、メマリーとアリセプトの併用についても、効果のデータを示したいと思います。

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メマリーの作用機序:
グルタミン酸の過剰な刺激から守る

メマリー錠とメマリーOD錠

左:メマリー錠20mg
右:メマリーOD錠20mg

こちらの記事を先に読むと理解が深まります

認知症薬が効かない原因と認知症薬の種類、効果、副作用
認知症の薬は作用別に分類すると2種類あります。1)脳内のアセチルコリンを増やすタイプ 2)過剰なグルタミン酸の生成を抑制するタイプ。効果・副作用・剤形取り上げて解説します。

アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸が神経を過剰に刺激するため、継続的にノイズが発生していると考えられています。

そのノイズが記憶の邪魔をし、記憶力が低下すると考えられています。

メマリーの有効成分であるメマンチンは、グルタミン酸の過剰な刺激から守る作用があり、記憶力を抑制する効果が期待できます。

メマリーの作用機序をイメージすると、このような感じです

メマリーの作用と効果

グルタミン酸神経毒性
甘みなどの調味料で知られるアミノ酸のひとつであるグルタミン酸は、脳内では記憶・学習に関わる重要なアミノ酸です。しかし、過剰なグルタミン酸は、神経を傷つけ、興奮や異常行動を起こすことがあります

メマリーの効果

アルツハイマー型認知症の原因と特徴的な症状(暴力・物盗られ妄想)
すべての認知症の半分がアルツハイマー型認知症と言われています。記憶力の低下から始まり、中核症状が原因で、行動・心理症状を引き起こすことがあります。行動・心理症状こそが、家族と介護者を悩ます原因です。

メマリーは、アリセプト等の脳内のアセチルコリンの濃度を高めて、神経の連絡網の低下を抑える作用機序を持つ認知症の薬と同様に、認知機能が低下するのを遅らせる効果が認められています。

さらに
メマリーは、攻撃(暴力)の進行を抑制する効果と、攻撃(暴力)の発現を抑制する効果が認められています。

メマリーの保険適応と使用のタイミング

脳トレ、運動、食事(DHA、EPA)で認知症を予防する方法
認知症の予防効果が期待できると考えられていることは3つです。1.認知症で落ちる能力を鍛える 「脳トレ」2.認知症になりにくい生活習慣を行う「食事と運動」。

メマリーの保険の適応は
中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」です。

メマリーは、最初に処方されるというよりは、アリセプト等からの変更や、アリセプトとの併用で使用されることが多いです(診断時に、アルツハイマー型認知症が、中程度以上まで進行していた場合は除く)。

メマリーの用法用量(使い方)

アリセプト(ドネペジル)、レミニール、イクセロンパッチ、リバスタッチの効果、用法、副作用の違い
どの脳内のアセチルコリンの濃度を増やして、認知症の進行を抑制する薬です。効果は同等と言われていますが、保険の適応・付加作用・用法・用量・ジェネリック医薬品の有無に違いがあります。

メマリーは、アリセプト等と同様に、少量からステップアップしていきます。

メマリーのステップアップの仕方

メマリーは、1日1回5mgから開始し、1週間ごとに5mgずつステップアップし、1日1回20mgまで増量するのがアルツハイマー型認知症に対する標準的な治療法です。

その理由は、メマリー10mgからスタートした場合、めまい、不眠、落ち着きのなさ等の副作用の発現率が高くなるからです。

メマリーは、食事の影響を受けないため、食事に関係なく都合のいい時間を決めて服用できます。

2016年6月1日付で、厚生労働省が認知症の薬の用量について医師の裁量権を認めると発表しました。

認知症の薬(アリセプトなど)を増量すると、攻撃が悪化したり、興奮が起こる場合、またはその他の副作用が起こる場合は、低用量での治療を続けられるようになりました。

メマリーの副作用

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アリセプト等の他の3種類の認知症の薬は、吐気、下痢などの消化器系の副作用が主でしたが、メマリーは、めまいの副作用が起こりやすいです。

副作用は、メマリーを服用開始してから、1ヶ月以内に起こることが多いです。

アリセプト等の認知症の薬と副作用の頻度を比較すると、やや副作用は起こりやすいようです。

メマリーを中止すれば、めまい等の副作用は消失していきます。

メマリーの主な副作用(臨床試験より)

副作用 確率
めまい 4.7%
便秘 3.1%
体重減少 2.2%
頭痛 2.1%

アリセプトの主な副作用(添付文書より)

副作用 確率
食欲不振 1~3%未満
吐気
下痢

メマリーとアリセプトの併用

中程度以上のアルツハイマー型認知症では、アリセプトとメマリーの併用が標準的な治療法になりつつあります。

アリセプトとメマリーの併用により、アリセプト単独よりも有意に認知症の進行を抑制したという海外の報告があります。

アリセプトにメマリーを追加併用したときの効果

アリセプトにメマリーを追加併用したときの、効果の報告事例を1例紹介します。

アリセプトを6カ月以上服用している、中等度から高度のアルツハイマー型認知症の方を対象にした併用試験です。

メマリー5mgからスタートして1週間おきに5mgずつステップアップして、最終的にメマリー20mgを、21週間アリセプトと併用したときのスコアの平均値です。

アリセプト単独とメマリー併用の効果比較1
認知機能を評価(SIB)

認知機能を評価(メマリー単独とアリセプト併用の効果の差のグラフ)

アリセプト単独とメマリー併用の効果比較2
日常生活の動作を評価(ADCS-ADL19)

日常の生活で評価(メマリー単独とアリセプト併用の効果の差のグラフ)

  アリセプト
メマリー併用
アリセプト
単独
認知機能を評価 0.9 -2.5
日常生活動作を評価 -2.0 -3.4

上の表とグラフは、メマリー併用開始直前のスコアを0として、そこからの変化を見た結果です。

アリセプト単独よりも、メマリーを併用した方が、「認知機能を評価(SIB)」「日常生活動作を評価(ADCS-ADL19)」のスコアの減少が少ないです。

アリセプトを単独服用するよりは、メマリー、アリセプトを併用した方が、認知症の症状の進行を抑制する効果が認められます。

メマリーと併用して効果があるのはアリセプトだけか?

メマリーとアリセプトの併用効果を試験したデータはありましたが、メマリーと他の認知症の薬との併用効果のデータは見当たりませんでした。

しかし、理論上は次のパターンの場合、作用機序が異なるため、併用により効果が期待できると考えられます。

認知症の薬 アリセプト レミニール イクセロン
リバスタッチ
メマリー
アリセプト × × × 併用効果あり
レミニール × × × 併用効果あり
イクセロン
リバスタッチ
× × × 併用効果あり
メマリー 併用効果あり 併用効果あり 併用効果あり ×

×:併用効果なし

アリセプトとメマリーの違い(まとめ)

商品名 アリセプト メマリー
有効成分 ドネペジル メマンチン
保険適応 AD 軽度~中等度AD
LBD
作用機序 AchE阻害作用 GA-Re阻害作用
用法 1日1回
副作用 吐き気、下痢 めまい、便秘
最小用量 3mg 5mg
最大容量 10mg 20mg
剤形 錠剤 錠剤
OD錠 OD錠
ドライシロップ
細粒
ゼリー
ジェネリック ×
併用効果 単独服用よりも併用した方が効果がある

AD:アルツハイマー型認知症
LBD:レビー小体型認知症
AchE:アセチルコリンエステラーゼ
GA-Re:グルタミン酸受容体阻害作用

  1. メマリーは、グルタミン酸が神経を過剰に刺激するために起こるノイズを抑える、唯一の認知症の薬
  2. メマリーはアリセプト等からの変更や、併用で使用することが多い
  3. メマリーも、アリセプトと同様に少量からステップアップして治療域の用量まで増量するのが標準的な使い方
  4. 中程度以上のアルツハイマー型認知症では、アリセプトとメマリーの併用が標準的な治療法になりつつある