日本人の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳です。(2014年)
多くの薬が開発され、長生きできる時代がやってきました。
しかし、長生きできるありがたさとは裏腹に、長生きするリスクも問題になってきています。
例えば認知症です。
60歳代の認知症の方の割合は1~2%程度ですが、80歳を超えると20%以上に跳ね上がります。
歳を取ると一般的に記憶力や判断力がに鈍くなるため、違いが分かりにくいです。
- 物忘れが激しい人
加齢による物忘れ - アルツハイマー型認知症
認知症の初期症状の物忘れ
アルツハイマー型認知症であった場合、治療を行わないとお迎えが来る日までゆっくりと症状が悪化していきます。
軽い物忘れから始まり、社会生活や日常生活に支障が出る程度にです。
アルツハイマー型認知症の初期症状を例に挙げて、物忘れが激しい人とアルツハイマー型認知症の人との違いを解説します。
アルツハイマー型認知症の初期症状1 記憶力の低下(物忘れ)
ご飯の物忘れの違い
物忘れは健康な方でも日常的に起こり、加齢とともに頻度が増えてきます。
しかし、アルツハイマー型認知症の方と物忘れが激しい人では、物の忘れ方に違いがあります。
「昨日の夕ご飯は、何を食べましたか?」
物忘れが激しい人でも次のように答えられるでしょう。
「肉・野菜・ご飯と味噌汁です」
その中から1つくらい忘れるときもあるでしょう。いわゆる度忘れです。
しかし、アルツハイマー型認知症の方や初期症状が出ている方は、次のように答えるのではないでしょうか。
「ご飯と、おかずです」
食事内容が具体的に思い出せないので取り合えず抽象的にごまそうとします。
さらに、具体的な食事内容を問われると
「・・・」
反応に時間がかかったり反応しなかったり、思い出せる様子がありません。
物忘れが激しい人の物忘れは、断片的に記憶から物事が消えていきますが、
アルツハイマー型認知症の初期症状がある方は、記憶の内容そのものがすっかり抜けおちています。
物忘れが激しい人と認知症の初期症状が出ている方の記憶の違い
アルツハイマー型認知症の初期症状が出ている場合は、記憶そのものがないため記憶から必要な情報を取り出せません。思い出せません。
薬の物忘れの違い
健康な方でも昼食後や食間の飲み忘れは多いです。
それでも何の薬を何種類飲んでいるかは答えられます。
(ただし、理解力には違いがある)
アルツハイマー型認知症の初期症状の場合は、
- なぜ薬を飲むのかを忘れる
- 飲んだかどうか思い出せず何度も飲む
- 飲んだと思いこむ
といった違いがあります。
「何の種類の薬を飲んでいますか?」
物忘れが激しい人の物忘れは、
「血圧の薬と胃薬です。あと何だったかな?」
アルツハイマー型認知症の方や初期症状が出ている方は、薬の種類の質問は抽象的なあいまいな回答が多いようです。
「白い飲み薬」
会話内容の物忘れの違い
高齢の方と話していると、何度も同じ話を繰り返し聞かされた経験があると思います。
しかし、1日の間に何度も同じ内容を繰り返し話すようであれば、ただの物忘れの激しい人ではないかもしれません。
話したことすら忘れている可能性があるからです。
「朝も同じことをいっていましたよ」
物忘れが激しい人であれば、
- 「ああ、そうそう」
- 「ごめんごめん」
前に話したと思い出すでしょう。
- 「いったかな?どうだったかな?」
- 「そんなことない!」
などの反応があれば、その物忘れはアルツハイマー型認知症の初期症状かもしれません。
後片づけの物忘れの違い
昨日しまった場所などを度忘れしてしまうときもよくありますよね。
しかし、今しまった場所がわからない。
しまったことすら忘れている場合は、記憶に残っていない可能性があり、アルツハイマー型認知症の初期症状かもしれません。
思い出せず「隠した」など、人を疑うときも注意が必要です。
この症状は物取られ妄想といわれる症状で、アルツハイマー型認知症が進行している可能性があります。
アルツハイマー型認知症の初期症状2 失語
「あれ、それ、これ」の使用の間違い
「あれ、それ、これ」も、会話の中で頻発する言葉です。
「あれ、それ、これ」の言葉はたまに意味不明なときもありますが、たいていは会話内容からは理解できるように使用されます。
アルツハイマー型認知症の初期症状の場合は、
突然、会話内容から理解できない言葉が「あれ、それ、これ」に置き換わるため会話が成立しません。
例えば
「アルツハイマー型認知症の初期症状の場合は、これが起こってきているのです」
アルツハイマー型認知症の初期症状から少し進行してくると「失語」が起こります。
失語とは、言葉を忘れたり、間違えて使ったり、言えなくなることです。
失語が起こると、自分の言いたいことを他人にうまく伝えられず、他人の言っている内容の理解力も下がってきます。
アルツハイマー型認知症は長期入院する病気のひとつです
アルツハイマー型認知症の初期症状3 見当識の低下
見当識(けんとうしき)とは、現在の年月や時刻、自分が居る場所(空間)など、今の状況を把握する能力のことです。
時間の間違い
- 待ち合わせに少し遅刻する
- 早めに到着する
このときは、遅刻した・早く到着したという認識があると思います。
しかし、アルツハイマー型認知症の初期症状の場合は、時間が流れる感覚が鈍っているため、予定に合わせて準備する・到着できなくなります。
例えば、明日(4/1)の15:00に待ち合わせをしています。
認知症の初期症状の場合は
- 今日の15:00に来てしまう
- 時間になっても来ない
(明日とは4/2のことだと思っていた)
場所の間違い
物忘れが激しい人でも、場所の感覚の間違いはありません。
アルツハイマー型認知症の初期症状では、場所に対する感覚が鈍くなってきます。
例えば、いつも通いなれている病院で診察を受けて処方箋を受け取り、近くの薬局で薬をもらって帰るという日常生活があるとします。
アルツハイマー型認知症の初期症状の場合は、先に薬局に行き(本人は病院に到着したと思っているため)診察を待っている。
ウソのような話ですが、私は何度も経験しています。
アルツハイマー型認知症の初期症状4 判断力の低下(失敗)
アルツハイマー型認知症で、記憶力が低下してきたり言葉の理解が不十分になると、判断力が衰えてささいな作業でも失敗するようになります。
2つ以上の作業が重なると失敗する
判断力が衰えるてくると、どちらか一方もしくは両方失敗するようになります。
お茶を沸かしながら料理を作る。
難なくこなせる同時作業です。
アルツハイマー型認知症の初期症状の場合は、料理作りに没頭してしまいます(またはその逆)。
お茶を沸かしていることは忘れているので、吹き出した熱湯に驚いたり不思議に思って見ています。
まとめ
- 認知症の最大の原因は加齢
- アルツハイマー型認知症の方と物忘れが激しい人では、物の忘れ方に違いがある
- アルツハイマー型認知症の初期症状1:記憶力の低下
- アルツハイマー型認知症の初期症状2:失語
- アルツハイマー型認知症の初期症状3:見当識の低下
- アルツハイマー型認知症の初期症状4:判断力の低下
第2の認知症
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