ケロイドに効果がある塗り薬は主に2種類です
しかし、塗り薬は効果が出るのに時間がかかり、効果も十分とはいいがたいです。
(特に傷痕、ケロイドには効きがよくない)
そこで開発された薬がステロイドテープで、その代表がドレニゾンテープです。
(その次がエクラープラスターかな?)
テープ剤は皮膚に密着し、効率良く成分を患部にとどけられるため、傷痕・ケロイド・あかぎれに抜群の効果を発揮します。
従来のステロイド軟膏で満足できないとき、ドレニゾンテープを検討する価値は十分にあります。
ケロイドとは
もり上がった傷痕をケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)といいますが、ケロイドと肥厚性瘢痕は専門的には違う傷痕です。
- 肥厚性瘢痕は傷が膨らんで赤く盛り上がった傷痕
- ケロイドはもとの傷の範囲を超えて盛り上がる傷痕
ケロイドのできやすさは体質が関係していて、ケロイドになりやすい体質のことをケロイド体質といいます。
※以下、ケロイド・肥厚性瘢痕をまとめてケロイドと記載します。
ドレニゾンテープのステロイドの強さ
先に解説したとおり、ドレニゾンテープはステロイドの貼り薬です。
ステロイドには5段階の強さがあります。
強さ | ステロイドの例 |
---|---|
ストロンゲスト(最強) | デルモベート |
ベリーストロング(とても強い) | マイザー |
ストロング(強い) | リンデロンVG |
マイルド(普通) | ロコイド |
ウィーク(弱い) | オイラックスH |
ドレニゾンテープのステロイドはフルドロキシコルチドですが、フルドロキシコルチドはステロイドのランク表にありません。
そのため、強さの詳細は不明ですが、添付文書の解説からマイルド~ウィークの強さと推測できます。
健康成人についてテトラヒドロフルフリルアルコール誘発性紅斑に対する効果をパッチテストにより検討したところ、0.05%フルドロキシコルチドは1%ヒドロコルチゾンよりも紅斑の阻止に効果があった。
ドレニゾンテープ添付文書より
※ヒドロコルチゾン:マイルド~ウィークの強さ
<補足>
冒頭に登場したエクラープラスターの強さはストロングです。
ドレニゾンテープを超える効果が期待できるでしょう。
(ただ、知名度ではドレニゾンテープ>>エクラープラスターです)
ドレニゾンテープの強さの秘密
密封療法は薬の効果を強くしたいときに使う治療法です。
密封療法のやり方は簡単です。
塗り薬を塗った後にラップなどで患部をおおって密封します。
そうすることで、薬の皮膚浸透力が高まって強い効果が得られるのです。
(自己判断で密封療法を行ってはいけません。思わぬトラブルにあう可能性があります)
テープにステロイドを含ませて皮膚をテープ(貼り薬)でおおうドレニゾンテープは密封療法の一種です。
おなじみの湿布も同じ理屈で、皮膚への浸透力は塗り薬以上です。
<例>
ドレニゾンテープの効果はベリーストロングクラス?
マイルド~ウィークあたりのステロイドの強さと推測したフルドロキシコルチドは、貼り薬に応用すればベリーストロングの軟膏に近い強さを得られるかもしれません。
その理由はこうです。
ドレニゾンテープのケロイド、あかぎれ、手あれへの効果(有効率)は次のとおりです。
ドレニゾンテープ | 有効率 (有効以上) |
---|---|
肥厚性瘢痕・ケロイド | 61% |
湿疹・皮膚炎群 | 82% |
あかぎれ、手あれ → 湿疹・皮膚炎群
そして、ストロンゲストの強さのデルモベートの効果(有効率)、ベリーストロングの強さのマイザーの効果(有効率)は次の通りです。
デルモベート軟膏 | 有効率 (有効以上) |
---|---|
肥厚性瘢痕・ケロイド | 65.3% |
湿疹・皮膚炎群 | 95.4% |
マイザー軟膏 | 有効率 (かなり軽快以上) |
---|---|
肥厚性瘢痕・ケロイド | 62.8% |
湿疹・皮膚炎群 | 96.8% |
あかぎれ、手あれ → 湿疹・皮膚炎群
条件は違うため、比較して効果の優越を競うことはできませんが、効果は近郊すると考えられます。
『アットノン(ヒルドイド市販)はケロイド・肥厚性瘢痕に効く塗り薬?』
ドレニゾンテープの副作用
ドレニゾンテープはステロイドとテープの両方の副作用があります。
主な副作用 | 副作用頻度 | 原因 |
---|---|---|
接触皮膚炎 | 16.7% | テープ |
毛のう炎等 | 1.8% | ステロイド |
皮膚萎縮 | 0.7% | |
毛細血管拡張 | 0.3% |
(添付文書より:効能追加承認時)
ステロイド(ドレニゾンテープ)には免疫抑制作用があります。
(免疫抑制作用は使い方次第で、主作用・副作用のどちらにもなります)
免疫を抑制すると、細菌・ウイルスなどの感染を受けやすくなります。
ドレニゾンテープは肌に密着するため、皮膚が汚れていると細菌感染などの副作用が出る場合があり注意が必要です。
ドレニゾンテープの使い方
ドレニゾンテープは、ケロイドやあかぎれ・手あれの大きさに切って使います。
関係のない皮膚には貼らないのがポイントです。
(→副作用の原因になる)
原則は1日1回~2回(12時間毎~24時間毎)に貼り替えますが、よくなってきたら2日に1回の貼り替えでも問題ないでしょう。
ドレニゾンテープの使い方の詳細はこちら!
『ドレニゾンテープ(ステロイド貼り薬)の効果的な使い方はこうだ!』
ドレニゾンテープの市販
ステロイド軟膏の市販は、テラコートリル軟膏やベトネベートN軟膏など、数種類発売されています。
『とびひにステロイド軟膏はOK?リンデロンVG、テラコートリルの違い』
しかし、ステロイドの貼り薬には市販はありません。
ステロイドの貼り薬ではありませんが、あかぎれには新タイプの絆創膏キズパワーパット(市販)がおすすめです。
仕組みはこちらで解説中!
『キズパワーパッドの仕組みがすごい!だから傷が早くキレイに治るのだ!』
使い方はこちらで解説中!
『キズパワーパッドの使い方(貼り方、剥がし方、やめどき) 傷・やけどはいつ治る?』
ケロイドに効く飲み薬
最後に、ケロイドに効く飲み薬を紹介します。
それはリザベンカプセルです。
リザベンは気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎に効果のある抗アレルギー薬の仲間ですが、他の抗アレルギー薬にない特別な作用があり、それがケロイドに効くのです。
くわしくはこちらで解説しています。
『リザベンの効果と副作用 飲み薬でケロイドは消える?』
まとめ
- ケロイドはもとの傷の範囲を超えて盛り上がる傷痕。
- ドレニゾンテープは、テープにステロイドをしみこませた貼り薬。
- ドレニゾンテープの主成分フルドロキシコルチドは、マイルド~ウィークの強さと推測できるが、貼り薬に応用すれば、ベリーストロングに近い強さを得られる可能性がある。
- ドレニゾンテープ(ステロイド貼り薬)の使い方は、ケロイドやあかぎれ・手湿疹の大きさに切って1日1回~2回貼り替える。
- ドレニゾンテープ(ステロイド貼り薬)の市販はない。
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