マイコプラズマ肺炎
とても怖そうな名前ですが、マイコプラズマ肺炎をイメージすると、風邪と肺炎の中間くらいに位置する病気です。
マイコプラズマに感染しても、すべての子供が肺炎になるわけではありません。
多くの子供は風邪のような軽い症状(気管支炎の咳など)が続きますが、マイコプラズマ肺炎は、重症化しない限りただの風邪だったかな?といった具合に自然治癒している場合も多い病気です。
子供のマイコプラズマ肺炎の原因菌
マイコプラズマ肺炎の原因菌は肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニア)です。
肺炎マイコプラズマは細菌に分類されていますが、細胞壁(植物・細菌などの細胞保護する働きを持つ外側の壁)を持たないウイルスに近い細菌です。
そのため、肺炎マイコプラズマに効果のある薬(抗生物質)は限られています。
マイコプラズマ肺炎は定期的に流行することで知られ、最近では2011年・2012年・2016年に流行しました。
子供の肺炎マイコプラズマの感染
肺炎マイコプラズマの感染は1年中を通して起こりますが、風邪と同じように秋から冬にかけて流行しやすいです。
そして、マイコプラズマ肺炎は子供の肺炎原因のひとつです。
子供の肺炎マイコプラズマの感染経路
子供の肺炎マイコプラズマの感染経路は、飛沫感染と接触感染が多くを占めます。
- 飛沫感染
肺炎マイコプラズマ患者の咳を吸い込む - 接触感染
肺炎マイコプラズマが付着した何かに触れ、それが口の中へ入り込む(経口感染)
肺炎マイコプラズマの地域全体の感染の拡大はゆっくりですが、幼稚園・保育園・小学校など子供が多い施設内、子供-子供の友人間など、小規模での流行が起こりやすいです。
子供のマイコプラズマ肺炎の潜伏期間
肺炎マイコプラズマに感染してからマイコプラズマ肺炎を発症するまでの潜伏期間は2~3週間と比較的長いです。
しかし、肺炎マイコプラズマに感染しても、すべての子供がマイコプラズマ肺炎になるわけではありません。
風邪のような症状(詳細は「子供のマイコプラズマ肺炎の症状」)を起こして自然治癒している場合も意外と多いです。
ただし、肺炎マイコプラズマに感染して多少なりとも咳が出ている場合は、他の子供にうつす可能性があり注意が必要です。
子供のマイコプラズマ肺炎の症状
子供のマイコプラズマ肺炎の3大症状は、乾いた咳、発熱、全身倦怠感(だるさ)ですが、風邪のような症状(喉の痛み・頭痛・鼻水・筋肉痛・関節痛・耳の痛み・吐き気・下痢など)も併発しやすいです。
子供のマイコプラズマ肺炎の症状1 乾いた咳
マイコプラズマ肺炎の咳は、他の症状(主に発熱)が出てから3~5日で表れる場合が多いです。
子供のマイコプラズマ肺炎の咳の特徴は、痰の出ない乾いた繰り返す咳(乾性咳嗽:かんせいがいそう)です。
夜の猛烈な咳のため繰り返して起きてしまい、眠れなくなるときもあります。
子供のマイコプラズマ肺炎に効果のある抗生物質(クラリス、ジスロマック、オゼックスなど)を飲んでも咳だけは続き、解熱後も咳だけ1カ月程度続く場合もあります。
『マイコプラズマ肺炎薬(子供) 抗生物質クラリス、ジスロマック、オゼックス』
マイコプラズマ肺炎の咳は、乾性の咳から湿性の咳へ変化していく場合が多いです。
あまりにも長く乾性の咳が続くようであれば、マイコプラズマ肺炎ではなく喘息も疑う必要があります。
『ホクナリンテープは風邪の咳止めシールではない!元々は喘息の貼り薬だ』
子供のマイコプラズマ肺炎の症状2 発熱
肺炎マイコプラズマは熱に弱いです。そのため39度以上の高熱がでる場合もあります。
マイコプラズマ肺炎の熱は、夕方から寝る前にかけて上り、朝になると下がる。もしくは微熱がだらだら続く傾向があります。
(子供の熱は上ったり下がったりするものですが・・・)
小児科では、繰り返す熱or長びく熱+咳があるとき、マイコプラズマ肺炎も疑います。
レントゲンを撮ってマイコプラズマ肺炎の疑いが濃厚であるときは、抗生物質を使うことが多いです。
抗生物質が効けば2.3日で熱は下がります。
子供のマイコプラズマ肺炎の症状3 全身倦怠感(だるさ)
子供のマイコプラズマ肺炎は、普通の風邪と同じような症状全身倦怠感(だるさ)が起こります。
子供のマイコプラズマ肺炎は乾いた激しい咳や熱が続き、その結果しんどくなるからです。
肺炎マイコプラズマはいつまでうつる?
肺炎マイコプラズマは、風邪と同じようにいつまでうつるか?という明確なボーダーラインはありません。
ただ、咳が続く場合は肺炎マイコプラズマを他の子供にうつす可能性は否定できません。
マイコプラズマ肺炎で登園登校禁止?
学校保健安全法で子供の登校禁止期間などの目安を設けているには2つの理由があります。
- 子供に休養をとらせるため
- 感染症を流行させないため
学校保健安全法では、マイコプラズマ肺炎は「場合によっては第3種の感染症として扱われるその他の感染症」に分類されます。
学校感染症の例
感染症の種類 | 感染症の例 | 出席停止期間 |
---|---|---|
第一種 | エボラ出血熱など | 治癒するまで |
第二種 | インフルエンザ | 発症後5日を経過し、 解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで |
水痘(水疱瘡) | 全ての発疹がかさぶたになるまで | |
麻疹(はしか) | 解熱後3日を経過するまで | |
流行性耳下腺炎 (おたふくかぜ) |
腫れが発現した後5日を経過し、 かつ、全身状態が良好になるまで |
|
第三種 | 流行性角結膜炎 (ものもらい) |
医師が感染のおそれがないと認めるまで |
その他 | 伝染性膿痂疹(とびひ) | 必ずしも出勤停止を行うわけではない (症状による) |
ノロウイルス感染症 | ||
ロタウイルス感染症 | ||
マイコプラズマ感染症 | ||
手足口病 | ||
ヘルパンギーナ | ||
溶連菌感染症など |
『溶連菌薬(抗生物質)の種類と 大人も子供も飲まないといけない理由』
『とびひにステロイド軟膏はOK?リンデロンVG、テラコートリルの違い』
第三種の感染症に分類されている「その他の感染症」は、学校で通常見られないような重大な流行が起こった場合に、その感染拡大を防ぐために、必要があるときに限り、学校医の意見を聞き、校長が第三種の感染症として緊急的に措置をとることができるものとして定められているものであり、あらかじめ特定の疾患を定めてあるものではない。
「その他の感染症」として出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上で判断する必要がある。
そのため、上表に示した感染症は、子どものときに多くみられ、学校でしばしば流行するものの一部を例示したもので、必ず出席停止を行うべきというものではない。
文部科学省HPより
まとめ
- マイコプラズマ肺炎は、風邪のような症状を起こして、その後自然治癒している場合も多い
- マイコプラズマ肺炎の原因菌は肺炎マイコプラズマ
- 子供の肺炎マイコプラズマの感染経路は飛沫感染と接触感染が多く、小規模の流行が起こりやすい
- 肺炎マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間
- 子供のマイコプラズマ肺炎の3大症状は、乾いた咳、発熱、全身倦怠感(だるさ)
- マイコプラズマ肺炎の乾いた咳は、解熱後も1カ月程度続く場合がある
- マイコプラズマ肺炎の熱は微熱・高熱・上がったり下がったりと多様
- 咳が続く場合、肺炎マイコプラズマを他の子供にうつす可能性があるが、学校を休む必要はない(ただし風邪と同じで症状による)
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