吐き気止め薬プリンペラン(メトクロプラミド)の効果と副作用

吐き気のある女性 胃薬
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吐き気、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、腹痛、胸焼け・・・。

このような胃の症状は、日常生活で絶えず起こります。

プリンペラン(メトクロプラミド)は古典的な吐き気止め薬ですが、幅広い吐き気(中枢性嘔吐・末梢性嘔吐:まっしょうせいおうと)を抑える効果があり頼りになります。

2種類の吐き気

吐き気には、中枢性嘔吐末梢性嘔吐の2種類があります。

中枢性嘔吐は脳にある嘔吐中枢の刺激が原因で起こり、末梢性嘔吐は胃などの消化器官が直接刺激されることが原因で起こります。

中枢性嘔吐(脳の吐き気)

脳には吐き気を起こさせる嘔吐中枢があります。

嘔吐中枢が刺激を受けると、刺激は神経を通って胃に伝わります。
そして、吐き気が起こりひどいと嘔吐します。

中枢性嘔吐の疑われる吐き気の種類は次のとおりです。

  • 偏頭痛(片頭痛)
  • めまい
  • つわり
  • うつ・不安・不眠
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末梢性嘔吐(日常の吐き気)

末梢性嘔吐は、胃などの消化器官が直接刺激されて吐き気がおこります。

日常生活の中で起こる吐き気のほとんどは末梢性嘔吐で、吐き気と一緒に食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、腹痛、胸焼け・・・の症状が併発する場合多いです。

末梢性嘔吐が起こる原因

  • ストレス
  • 食べ過ぎ飲み過ぎ
  • 乗り物酔い

胃のアセチルコリンとドパミン受容体

プリンペランの作用機序の解説の前に、アセチルコリン(ACh)とドパミン受容体の解説をします。

アセチルコリンは、副交感神経が支配している神経伝達物質です。

アセチルコリンが胃のムスカリンM受容体に結合すると、胃の運動が促進されます。

胃の運動の仕組み

 

胃にはドパミンD2と呼ばれる受容体があります。

ドパミンD2受容体にドーパミン(ドパミン)が結合すると、アセチルコリンの放出が抑えられ、胃の運動が制限され吐き気を感じるようになります。

吐き気が起こる機序

プリンペラン(メトクロプラミド)

プリンペランの主成分はメトクロプラミドです。

プリンペラン(メトクロプラミド)の作用機序

プリンペラン(メトクロプラミド)は胃や脳のドパミンD2受容体をブロックして吐き気を抑えます。【抗ドパミン作用】

プリンペラン(メトクロプラミド)の作用機序

 

プリンペランとナウゼリンの効果の違い

プリンペランとよく比較されるナウゼリンは、どちらかというと末梢性嘔吐により効果があります。

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一方、プリンペランは中枢性嘔吐と末梢性嘔吐の両方に効果があります。

プリンペラン(メトクロプラミド)とナウゼリン(ドンペリドン)の作用機序の違い

ただ、中枢性嘔吐に選択的に効果を示すノバミンにはおよびません。

 

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プリンペランの種類

プリンペラン錠

プリンペランは錠剤、シロップ、細粒、注射の4種類があります。

錠剤・注射は大人に、細粒・シロップは子供に使用します。

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プリンペラン(メトクロプラミド)の効果

プリンペラン(メトクロプラミド)は、次の疾患における悪心(吐き気)・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感などの消化器系症状に効果を示します。

ナウゼリンと比較するとプリンペラン(メトクロプラミド)は守備範囲が広いです。

疾患名 効果
胃炎 84.8%
胃・十二指腸潰瘍 91.7%
胆道系 66.9%
腎炎 85.0%
尿毒症 78.8%
小児習慣性嘔吐
神経性嘔吐など
82.6%
小児胃腸炎 96.3%
小児神経性食思不振 65.9%

プリンペラン(メトクロプラミド)は食前(食後×) 【プリンペランの効果時間】

塩酸メトクロプラミドとして10~30mg、2~6錠を2~3回に分割し、食前に経口投与する。

プリンペラン錠添付文書より

食前、食直前の用法で飲む薬は、それなりに理由があります。

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プリンペラン(メトクロプラミド)は服用30分くらいから効果が現れ、1時間前後で効果のピークを迎えます。

健康成人5例にメトクロプラミド20mgを経口投与した場合、消化管より速やかに吸収され約1時間後に最高血漿中濃度に達し、消失半減期4.7±1.2時間

 

プリンペラン(メトクロプラミド)は食前(食事30分前)に飲むことで、食事中に効果のピークが表れるように設計された吐き気止め薬です。

プリンペラン(メトクロプラミド)を食後に飲んでいたら、効果が表れる時間を逃し、食事によって起こる吐き気に対して十分な効果を得られません。

プリンペラン(メトクロプラミド)を飲む理由は、吐き気、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、胸焼け・・・。でしたね。

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プリンペラン(メトクロプラミド)の副作用

プリンペラン(メトクロプラミド)は、ナウゼリンと比較すると脳に入りやすい吐き気止め薬であるため、中枢神経系の副作用(錐体外路症状:パーキンソン病のような症状)にも気をつける必要があります。

ただ、プリンペラン(メトクロプラミド)が発売年は1965年で、使用成績調査などの副作用発現頻度が明確となる調査が実地されていないため不明です。

<参考:ナウゼリンの副作用頻度>

  • 副作用発現率は0.9%
  • 錐体外路症状0.3%
副作用 副作用頻度
胃腸系副作用
(下痢、便秘、胸焼け、嘔吐など)
0.4%
内分泌系副作用
(乳汁分泌、女性化乳房など)
0.2%

(副作用頻度は再審査終了時)

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まとめ

  1. 吐き気には中枢性嘔吐と末梢性嘔吐の2種類があり、プリンペラン(メトクロプラミド)はその両方に効果がある
  2. プリンペラン(メトクロプラミド)は、吐き気、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、腹痛、胸焼けなどの胃の症状を抑える
  3. プリンペラン(メトクロプラミド)は、ドパミンD2受容体を介してアセチルコリンの量を調整する吐き気止め薬
  4. プリンペラン(メトクロプラミド)を食前に飲むと、食事中に効果のピークが表れる

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