鉄欠乏性貧血薬は内服薬と注射薬がありますが、メインは内服用鉄剤です。
現在使われている内服薬鉄剤は6種類あり、子供や赤ちゃんでも飲みやすいシロップ剤がインクレミンシロップです。
鉄欠乏性貧血薬 | 成分名 |
---|---|
フェロミア | クエン酸第一鉄 |
フェログラデュメット | 硫酸鉄 |
スローフィー | |
テツクールS | |
フェルム | フマル酸第一鉄 |
インクレミン | ピロリン酸第二鉄 |
小児用シロップといえば、甘~いシロップを想像するかもしれませんが、このインクレミンシロップには臭いと味にクセがあり、飲ませるのに苦戦する赤ちゃんや子供がいるのも事実です。
インクレミンシロップの味と臭い
インクレミンシロップはピロリン酸第一鉄を主成分とする鉄欠乏性貧血薬です。
インクレミンシロップは臭うと鉄の臭いがします。そして、その臭いから想像できる鉄味のシロップです。
しかし、インクレミンシロップを飲むと、少し鉄臭い味と粘っこさが口の中に残りますが、意外と甘く飲みやすいです。
(アルコールの抜けた梅酒ロックのような臭いがしますが、メーカーいわくサクランボ風味)
インクレミンシロップの鉄味が濃くて飲めない場合は、飲む直前に水で薄めると飲みやすくなります。
インクレミンシロップの飲ませ方
小児用シロップの混合はよく行われますが、インクレミンシロップと他の小児用シロップとの混合は避けます。
なぜなら、インクレミンシロップと他の小児用シロップを混合すると、変色することが多いからです。
- アスベリンシロップ(咳止め)
- メジコンシロップ(咳止め)
- プリンペランシロップ(吐き気止め)
通常のシロップはジュースなどに混ぜる飲み方もあります。
しかし、インクレミンシロップの場合は余計に鉄味と混ざってスゴく飲みにくい味になるため、ジュースと混合する飲ませ方はおすすめしません。
鉄味が濃くて飲みにくい場合は、やはり水で薄めて飲ませる方法が一番です。
インクレミンシロップの飲み方
インクレミンシロップは小児用鉄欠乏性貧血治療薬として開発されましたが、大人に使われるケースもあります。
インクレミンシロップの小児量
インクレミンシロップは、1mL中に溶性ピロリン酸第二鉄50mg(鉄として6mg)を含みます。
赤ちゃんから子供のインクレミンシロップの飲み方は次の表の通りです。
年齢 | 用量(mL) | 鉄量(mg) |
---|---|---|
1歳未満 | 2~4 | 12~24 |
1歳~5歳 | 3~10 | 18~60 |
6歳~15歳 | 10~15 | 60~90 |
この量を1日3~4回に分けて飲む。
インクレミンシロップの成人量
インクレミンシロップは小児用シロップですが、フェロミアやフェログラデュメットで吐き気などの副作用が出る大人にも使われています。
『フェログラデュメットとフェロミアの違い 鉄剤の使い分けはこれでOK!』
鉄欠乏性貧血薬でオエッとなる妊婦さんが飲んでいる印象が強いです。
『インクレミンシロップで便が真っ黒!副作用じゃないから止めないで』
インクレミンシロップの成人量の決まりはありませんが、15mL~20mLが標準的です。
インクレミンシロップの保存
通常混合しないインクレミンシロップは室温保存でも大丈夫ですが、鉄味を隠すためには冷蔵庫に保存が適しています。
室温保存とは、直射日光の当らない風通しの良い場所(1~30℃)での保存をいいます。
<参考>
- 常温保存
15~25℃ - 冷所保存
15℃以下(主に冷蔵庫) - 遮光保存
光が通らない真っ暗な場所や容器に入れて保存
また、インクレミンシロップは一度飲み始めると長期服用する場合が多い薬です。
なぜなら、血清鉄と貯蔵鉄の両方を正常化する必要があるからです。
鉄分の一時的な鉄不足を補うために、余った鉄分は肝臓などに貯蔵鉄として一定量ストックしています。
鉄分が不足してくると、貯蔵鉄が減っていき貧血ではない鉄欠乏状態となります。くわしくはコチラの記事で解説しています。
『インクレミンシロップは赤ちゃんと子供の鉄欠乏性貧血に大活躍!』
まとめ
- インクレミンシロップはピロリン酸第一鉄を主成分とする鉄欠乏性貧血薬
- インクレミンシロップは鉄臭と鉄味が特徴的であるが、意外と飲みやすい
- 鉄味が濃くて飲みにくい場合は水で薄めて飲ませる
- インクレミンシロップと他の小児用シロップとの混合はしない
- インクレミンシロップは室温保存でOKだが、鉄味を隠すためには冷蔵庫に保存が最適
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