- モーラステープ
- ケトプロフェンテープ
- モーラスパップ
- モーラスパップXR
- ケトプロフェンパップ
どれか使った経験はありませんか?
モーラス(ケトプロフェン)は日本で使用頻度の高い湿布です。
モーラス(ケトプロフェン)は、妊婦・紫外線などに気を付けなければならない湿布ですが、意外なことに市販も販売されています。
モーラステープは2種類の大きさ
モーラステープは主成分ケトプロフェンを含む湿布です。
モーラステープには2種類の大きさがあります。
- 肩、首、肘膝関節など、小さい場所に貼りやすいモーラステープ20mg
(以下、モーラステープ)
- 腰、背中など、大きい場所に貼りやすいモーラステープL40mg
(以下、モーラステープL)
モーラステープが効果を示す理由
モーラステープの主成分ケトプロフェンは膏体(基剤)に溶けた状態で安定しています。
モーラステープ20mgを例に挙げると、
モーラステープ20mg1枚(膏体質量1g)中に、ケトプロフェンが20mg溶け込んでいます。
出典:外用製剤協議会HP
モーラステープを貼ると、膏体(基剤)から主成分ケトプロフェンがはがれていき、皮膚の一番表面部分である角質に付着します。
モーラステープは経皮吸収が良好で、皮膚に浸透して高いケトプロフェン濃度を長時間維持します。
モーラステープの効果と効果時間
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
- 腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)
- 変形性関節症
- 肩関節周囲炎
- 腱・腱鞘炎
- 腱周囲炎
- 上腕骨上顆炎(テニス肘等)
- 筋肉痛
- 外傷後の腫脹・疼痛
関節リウマチにおける関節局所の鎮痛
モーラステープ添付文書より
出典:モーラステープインタビューフォーム(抜粋)
モーラステープの最高血中濃度到達時間(Tmax)は12~13時間で、消失半減期(T1/2)は4~5時間ですので、24時間程度は効果が持続します。
Tmax,T1/2の解説
24時間ごとにモーラステープを貼り替えると、血清中ケトプロフェン濃度は一定範囲内で安定し、効果・効果時間は安定します。
出典:モーラステープインタビューフォーム(抜粋)
モーラステープを1日1回、2週間貼った後の効果(中等度以上改善率)の結果では、60%以上の鎮痛効果が認められています。
モーラステープ(湿布)は腰痛・肩こりの治療薬ではない
モーラステープ(湿布)を貼ったり、ロキソニン(内服薬)を飲んだりすれば、腰痛・肩こりの痛みはおさまります。
しかし、モーラステープやロキソニンは痛みをとるだけで、腰痛・肩こりそのものの病気を治療しているわけではありません。
腰痛(肩こり)あれば、腰痛(肩こり)の原因探って、それを絶たなくては腰痛(肩こり)は治りません。
モーラステープやロキソニンで一時的に痛みを緩和できたとしても、腰痛(肩こり)の原因を何とかしない限り腰痛(肩こり)は再発します。
腰痛(肩こり)の奥の手
モーラステープの副作用
湿布かぶれ
モーラステープの副作用頻度は4.93%ですが、そのほとんどが湿布かぶれ(接触皮膚炎:4.67%)です。
湿布かぶれの内訳
- 発疹:0.95%
- 発赤:0.79%
- そう痒感:1.56%
- 刺激感:0.43%
光線過敏症
夏はモーラステープの光線過敏症(光接触皮膚炎)という副作用に気をつけなくてはなりません。
光線過敏症は、皮膚上で何らかの成分とアレルギー反応を起こした後に、紫外線(UVA)を浴びることが原因と考えられています。
夏の光線過敏症の原因となるアレルギー反応を起こす何らかの成分は、モーラステープの主成分ケトプロフェンが原因であることが多いです。
そのため、モーラステープの湿布袋には
「貼付部を紫外線に当てると光線過敏症を起こすことがあります」と注意喚起されています。
光線過敏症の副作用は、湿布を貼っていた場所に、かぶれ、かゆみ、痛みが出ます。
ひどい光線過敏症は、2倍くらいに皮膚がはれ上がるときもあります。
光線過敏症の副作用は、湿布を貼ったところに沿って赤く腫れあがるのが特徴です。
出典:久光製薬資料
モーラステープ(ケトプロフェン)と妊婦
モーラステープの主成分ケトプロフェンは、赤ちゃんに動脈管収縮が起きた症例の報告があります。
そのため、モーラステープ(ケトプロフェン)は妊娠後期には使えません。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠後期の女性に使用した場合、胎児動脈管収縮が起きることがあるので、妊娠後期の女性には本剤を使用しない。
- 妊婦(妊娠後期以外)、産婦、授乳婦等に対する安全性は確立していないので、これらの患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する。
- ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠中期の女性に使用し、羊水過少症が起きたとの報告があるので、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に使用する。
妊婦の胎盤から流れる血液(酸素)を赤ちゃんの全身へ送るための心臓のくだのことです。
動脈管が収縮すると、血液(酸素が)全身にいきわたらなくなります。閉じてしまうと赤ちゃんの生命が危ぶまれます。
生まれてから動脈管は必要なくなりますので、生後3週程度で自然に閉じます。
モーラステープ、モーラスパップ、モーラスパップXRの違い
モーラスシリーズはテープ以外に、パップとパップXRがあります。
貼り心地の違い
モーラスパップはモーラステープと比較すると水分含有量が多く、貼ると水分の蒸発作用により冷たく感じるのが特徴です。
(冬は飛び上がるくらい冷たいが、夏は気持ちいい)
モーラスパップには冷却効果があるため、急性症状(まさに痛みが起こったその瞬間)で使うと効果的です。
効能効果の違い
モーラステープとモーラスパップXRには(保険適応上の)効果があるが、モーラスパップにはない効果があります。
【効果】モーラステープ、XR
- 腰痛症
- 関節リウマチ痛
(モーラステープの効果と持続時間参照)
さらに経皮吸収性を高めた湿布
効果時間(回数)の違い
次のグラフは、モーラステープは24時間貼付。
モーラスパップは12時間後に1回貼り替えたときの角層中ケトプロフェン量(μg)の推移です。
モーラステープに溶けたケトプロフェンは、ゆっくり皮膚に吸収され効果の持続時間が長く、1日1回で十分な効果が期待できます。
モーラスパップの効果を持続されるためには1日2回使う必要があります。
モーラステープ(ケトプロフェン)の市販
モーラステープの市販は?
先述の通りケトプロフェンを含むモーラステープは、他の湿布と比較すると、妊婦・紫外線などに気を使う湿布です。
しかし、意外にもケトプロフェンを含む湿布の市販はあります。
ただし、モーラステープの市販ではなくモーラスパップの市販です。
オムニードケトプロフェンパップ
ケトプロフェン市販であるオムニードケトプロフェンパップ(以下、ケトプロフェン市販)は、ケトプロフェンにさわやか成分メントールを加えた湿布です。
- ケトプロフェン:0.3%
- メントール:0.5%
ケトプロフェン市販には、ロキソニンテープ市販やボルタレンテープ市販のような使用枚数制限はありません。
ケトプロフェン市販とモーラスパップの違い
使用可能年齢の違い
モーラスパップには年齢制限がありませんが、ケトプロフェン市販には年齢制限があるため子供は使えません。
使用できるのは15歳以上です。
大きさの違い
ケトプロフェン市販は10cm×14cmの1種類の大きさのみですが、モーラスパップは14cm×20cmもあり2種類です。
価格(薬価)の違い
湿布 | 1枚価格(薬価) |
---|---|
モーラスパップ30mg | 21.1 |
ケトプロフェン市販 | 35.7 |
(ケトプロフェン市販の価格はアマゾン調べ)
モーラスパップは薬価(国の決めた薬の価格)があり、健康保険も使えます。
しかし、診察代なども考慮すると、差額が14円ほどありますが市販の購入も賢い選択かもしれません。
まとめ
- モーラステープは主成分ケトプロフェンを含む湿布
- モーラステープは、1日1回の貼り替えで血清中ケトプロフェン濃度は一定範囲内で安定し、効果・効果時間は安定する
- モーラステープで一時的に痛みを緩和できたとしても、腰痛(肩こり)の原因を何とかしない限り腰痛(肩こり)は再発する
- 夏はモーラステープの光線過敏症(光接触皮膚炎)という副作用に注意
- 後期妊婦はモーラステープ使用禁止
- モーラステープの市販はないが、モーラスパップの市販はある
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