個人賠償責任保険は原則単独加入ができず、何かにセットして加入します。
- 火災保険の個人賠償責任保険
- 自動車保険の個人賠償責任保険
- クレジットカードの会員プラン
- JAFの個人賠償責任補償プラン
どの方法で加入するかで、保険料、保険金、示談交渉の有無などの違いがあります。
さっそく比較してみましょう。
個人賠償責任保険とは
- 飼い犬が噛み付いて、怪我をさせた
- 洗濯機や風呂水などが原因で、下階へ水漏れさせた
- 子供が、幼稚園でケンカをして怪我を負わせてしまった
- 他人の車に傷をつけてしまった(自動車事故以外)
- 自転車で他人に追突して怪我をさせた
個人賠償責任保険は、日常生活で起こりそうな他人の生命や所有物に対する賠償責任を保証する保険です。
自分の事故は自己責任ですが、他人への事故は賠償が必要です。
民法 第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
法律上の損害賠償責任だけではなく、慰謝料まで請求されるようなこともあります。
裁判になった場合、弁護士費用も発生します。
これらの費用が、個人賠償責任保険の支払い対象です。
個人賠償責任保険は、他人への名誉毀損やプライバシー侵害は補償の対象外です。
個人賠償責任保険の保険料は格安
個人賠償責任保険の保険料は、支払い方法や保険会社によって多少違いますが、年間実質1000円~6000円で、賠償額は1億円~が多いです。
保険料の安さも、個人賠償責任保険をおすすめする理由のひとつです。
保険に頼らない私ですら、前述の自転車事故や子供の事故でいつ賠償責任を問われるかわからないため、個人賠償責任保険には入っています。
個人賠償責任保険は保険料が安いわりに、必要性が高い保険です。
火災保険で加入して、個人賠償責任保険の保険料は(35年一括払いで)年間約600円でした。
(2015年10月から火災保険の一括払いの上限は10年です)
個人賠償責任保険の対象者
- 契約者本人
- 配偶者(妻・夫)
- 同居の親族(子供・祖父母・義父母など)
- 生計を一にする別居の子供(仕送り中の大学生など)
世帯主が個人賠償責任保険に加入すれば、子供を含めてほとんどの家族が個人賠償責任保険の対象です。
また、認知症列車事故訴訟(愛知県)の影響を受け、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、個人賠償責任保険の対象者を拡大しています。
新特約では、従来特約の補償内容に加えて、誤って線路に立ち入るなどして電車を止めてしまった場合に生じる賠償責任 (鉄道会社から請求される振替輸送費用など)を補償します。
【業界初】新型「個人賠償特約」の販売開始について 抜粋
認知症の方が線路内に入り列車にはねられ死亡するという事故がありました。
JR東海は運行遅延の損害賠償金約720万円を遺族に求める裁判を起こした。
2016年3月、最高裁はJR東海の請求を棄却した。
個人賠償責任保険の加入方法
個人賠償責任保険は原則単独では加入できません。何かにセットして加入します。
- 火災保険の個人賠償責任保険
- 自動車保険の個人賠償責任保険
- クレジットカードの会員プラン
- JAFの個人賠償責任補償プラン
それぞれの保険料、保険金、示談交渉の有無などの違いを比較してみましょう。
比較1: 火災保険の個人賠償責任保険
火災保険にセットして入る保険は家財保険や地震保険が有名ですが、個人賠償責任保険もセット可能です。
例えば、セゾン自動車火災保険「自分で選べる火災保険」に個人賠償責任特約(1事故につき1億円、示談交渉なし)をセットして、個人賠償責任保険の実質年間支払額を計算すると
- 月払い:960円
- 年払い:890円
- 10年一括払い:850円
(大阪府、建物価格1000万円、2017年3月調べ)
個人賠償責任保険を火災保険で加入すると、最大10年分まで一括支払いができるため長期割引が効きます。
比較2: 自動車保険の個人賠償責任保険
火災保険の個人賠償責任保険は「1事故につき1億円、示談交渉なし」の条件が多いです。
自動車保険の個人賠償責任保険は守備範囲が広いです。
- 1事故につき3000万円~無制限
- 示談交渉の有無
自動車保険の個人賠償責任保険は実質年間支払額もさまざまで、1200円~2000円程度です。
比較3: クレジットカードの個人賠償責任保険
クレジットカードの個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の個人賠償責任保険以上にプランの種類が豊富で、手厚いサービスを受けられるのが特徴です。
(ただし、比較対象が多すぎるデメリットがある)
- 1事故につき1億円~3億円
- 示談交渉の有無
- 死亡保険、傷害保険の有無
- 弁護士相談の有無
- 受託者賠償責任保険の有無
他人から預かった物を傷つけたり、紛失して返せなくなったりした場合など、持ち主に対する賠償責任に備えるための保険
その分、クレジットカードの個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の個人賠償責任保険より、保険料が高いです。
さらにクレジットカードの個人賠償責任保険の保険料は、クレジットカード決済の毎月払いです。これも保険料が割高になる理由のひとつです。
保険料の年間支払額の目安は、1400円~6000円程度です。
クレジットカードの中には、個人賠償責任保険が自動付帯するタイプもありますが、1事故あたりの賠償金額が少なめです。
いざというときに頼りないかもしれません。
個人賠償責任保険は火災保険の特約がおすすめ
火災保険の特約がおすすめな理由1
火災保険の特約がおすすめなのは、何といっても保険料が割安だからです。
(火災保険の個人賠償責任特約は最大10年分の一括支払いがおすすめ)
自動車保険やクレジットカードは変更も多いですが、1度火災保険の保険料を支払ってしまえば、変更もほとんどないでしょう。
火災保険の特約がおすすめな理由2
個人賠償責任保険は火災保険の特約がおすすめなのは、1事故につき1億円の補償で十分だからです。
車同士の交通事故であれば1億円を超える賠償を命じられる判例もありますが、
個人の日常生活における賠償責任を追及するとき、一個人の資産背景から考えて1億円を超える賠償責任を負う可能性は極めて低いです。
高額賠償の判例がある自転車事故ですら、1億円を超えた話を聞いたことがありません。
当時、小学校5年生だった子供が乗った自転車と歩行者が衝突。
少年の母親に約9500万円の賠償を命じた。
まとめ
- 個人賠償責任保険は保険料が安い割には頼りになり、世帯主が契約すれば家族も対象
- 個人賠償責任保険は原則単独では加入できず、火災保険、自動車保険、クレジットカードなどと一緒に加入する
- 火災保険の個人賠償責任特約は、1事故1億円、示談交渉なしの条件が多く、保険料は年額800円~1500円程度
- 自動車の個人賠償責任特約は、1事故3000万円~無制限、示談交渉ありなしの条件があり、保険料は年額1200円~2000円程度
- クレジットカードのの個人賠償責任保険のプランは多彩で、サービスが充実している。
その分、保険料は年額1400円~6000円程度でやや高い - 個人賠償責任保険は火災保険の特約がおすすめ。
その理由は、1事故1億円の補償で十分で保険料が割安だから - 火災保険と個人賠償責任保険は全く別の保険です。途中加入も可能です。
- 個人賠償責任保険は保険料が安いわりに、必要性が高い保険
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