アリセプト(ドネペジル)、レミニール、イクセロンパッチ、リバスタッチの効果、用法、副作用の違い

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認知症の治療薬として4種類が販売されており、作用別に2種に分類されます。

①脳内のアセチルコリンの濃度を増やす薬

  1. アリセプト(ドネペジル)
  2. レミニール(ガランタミン)
  3. イクセロンパッチとリバスタッチ(リバスチグミン)

イクセロンパッチとリバスタッチは商品名が異なるだけで、リバスチグミンを有効成分とする同じ薬です

②過剰なグルタミン酸を抑えて、脳神経が傷つくのを抑える薬

  1. メマリー

今回は「①脳内のアセチルコリンの濃度を増やす薬」の特徴を見ていきましょう。

今回の記事の特記事項

特に、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症等と記載がない「認知症」は、アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症のことを指します。

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アリセプト(ドネペジル)、レミニール、イクセロンパッチ、リバスタッチの共通事項

認知症薬としての作用の仕方

認知症の薬の作用

認知症では、アセチルコリンと呼ばれる、脳内の神経と神経で連絡を取り合う物質(神経伝達物質)の濃度が低下しています。

アリセプト(ドネペジル)、レミニール、イクセロンパッチとリバスタッチは、そのアセチルコリンを分解する酵素をブロックします(アセチルコリンエステラーゼ阻害作用)。

そうすることで、脳内のアセチルコリンを増やし、神経の連絡網が途切れないようにするのです。

認知症薬の用量

薬は少量から開始し、治療域と呼ばれる効果を現す用量まで、ステップアップしていくのが標準的な使い方です。

ただし、増量すると攻撃、暴力、胃の不快感などの症状が出る場合は、少量で認知症の薬を使い続けることのもあります。

初回 2週間後 4週間後 8週間後 12週間後 最大容量
アリセプト 3mg 5mg 10mg
レミニール 8mg 16mg 24mg
リバスタッチ 4.5mg 9mg 13.5mg 18mg 18mg
リクセロン 4.5mg 9mg 13.5mg 18mg 18mg

認知症薬の副作用

薬の用量をステップアップしていく理由は、副作用の消化器症状(吐き気、食欲低下)等を抑えるためです。

これらの副作用は、薬を飲み始めた初期や、薬を増量したときに起こりやすいです。

そのため、ナウゼリン、プリンペラン等の吐き気止めや、ビオフェルミン、ラックビー等の整腸剤を併用することがあります。

アリセプト(ドネペジル)の特徴

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アリセプト5mg

左から、アリセプト錠剤、アリセプトD剤、アリセプト内服ゼリー、アリセプト細粒、アリセプトドライシロップ

左から、アリセプト錠剤、アリセプトD剤、アリセプト内服ゼリー、アリセプト細粒、アリセプトドライシロップ

アリセプト(ドネペジル)の作用と効果

アリセプト(ドネペジル)の有効成分ドネペジルは、脳内のアセチルコリンの濃度を高めて、神経の連絡網の低下を抑える作用以外に、
神経を保護する作用(グルタミン酸神経毒性に対する神経保護作用)が確認されています。

グルタミン酸神経毒性
甘みなどの調味料で知られるアミノ酸のひとつであるグルタミン酸は、脳内では記憶、学習に関わる重要なアミノ酸です。しかし、過剰なグルタミン酸は、神経を傷つけ、興奮や異常行動を引き起こすことがあります

アリセプト(ドネペジル)は、アルツハイマー型認知症の中核症状の進行を抑制する効果は認められていますが、行動症状、心理症状に対する有効性は、確認されていません。

アリセプト(ドネペジル)は、「レビー小体型認知症の症状の進行を抑制する効果」が認められた、唯一保険適応がある薬です。

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アリセプト(ドネペジル)の剤形

初期の認知症の場合は、自分で薬を管理したり、服用することはできますが、認知症の症状が進行していくにつれ、認知症薬やその他の薬の管理や服用を自ら行うことが困難になってきます。

また、認知症薬を拒否してしまう方も少なくありません。

アリセプト(ドネペジル)は、錠剤、D錠(口腔内崩壊錠)、内服ゼリー、細粒、ドライシロップ剤の5剤形が用意されていて、あらゆる服用ニーズに対応できます。

どの剤形を使っても、用量が同じであれば、効果は同等であることが臨床試験で確認されています。

アリセプトの成分ドネペジルには、苦味がありますが、次のような工夫で苦みを軽減しています。

  • アリセプト錠:フィルムコーティング
  • アリセプトD錠、アリセプト内服ゼリー:添加物を工夫

アリセプトドライシロップと液体を混合して服用するときは、ほとんどの液体との混合が可能です。

用時懸濁製剤であるドライシロップ剤との配合試験結果においてラコールNF、エンシュア、リキッド、水、服薬ゼリー、とろみ剤、スポーツドリンク、みそ汁、ヨーグルト、コーヒーでは外観の変化も認められず、含量にもほとんど変化は認められませんでした。緑茶、紅茶では沈殿や濁りが認められ、含量も低値でした。

アリセプトのインタビューフォームより

アリセプト(ドネペジル)の用法と用量

アリセプト(ドネペジル)は、アルツハイマー型認知症と、レビー小体型認知症のどちらの認知症に使うかで微妙に用量が異なります。

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症のどちらも、アリセプト(ドネペジル)は、1日1回3mgからスタートします。

1~2週間後、症状や副作用(消化器症状等)を診ながら、アリセプト(ドネペジル)5mgに増量します。

高度アルツハイマー型認知症、もしくはレビー小体型認知症は、アリセプト(ドネペジル)5mgで4週間以上経過後、アリセプト(ドネペジル)10mgに増量します。

アリセプト(ドネペジル)の基本的な用法と用量

アリセプトの基本的な用法用量

  • 軽度~中程度のアルツハイマー型認知症に効果がある薬の用量は、アリセプト(ドネペジル)5mg
  • 高度のアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に効果がある薬の用量は、アリセプト(ドネペジル)10mg

アリセプトを増量すると、消化器症状の副作用が出て、治療を続けられない場合や、興奮などの精神症状が悪化することがあります(一時的な症状の悪化の場合は、少し様子をみれば回復することがあります)。

そのときは、アリセプト(ドネペジル)5mg、10mg以下の用量で継続服用することがあります。

アリセプト(ドネペジル)と食事と飲み忘れ

アリセプト(ドネペジル)は、食事による吸収の影響はありません。

1日1回どのタイミングで飲んでもいいのですが、消化器系の副作用である吐き気を軽減させるため、食後に服用することが多いです。

アリセプト(ドネペジル)を飲み忘れたときは、思い出したときに服用してください。
ただし、次回との服用時間が近いときは、1回分はスキップします。

アリセプト(ドネペジル)と他の認知症の薬との併用

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メマリー(メマンチン)は、アリセプト(ドネペジル)等の神経の連絡網を保つ作用とは異なる作用を持っています。そのため、一般的な認知症薬とは異なる副作用を持っています。

他のアセチルコリンエステラーゼ阻害作用がある薬(レミニール、イクセロンパッチとリバスタッチ)とは併用できませんが、
アリセプトは、メマリーとは併用することが可能です。

アリセプト(ドネペジル)の効果の判定

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認知症の薬は作用別に分類すると2種類あります。1)脳内のアセチルコリンを増やすタイプ 2)過剰なグルタミン酸の生成を抑制するタイプ。効果・副作用・剤形取り上げて解説します。

こちらの記事で説明した通り、効果の判定が非常に難しいです。

アルツハイマー型認知症は、放置すればゆっくりと症状が進行していきます。

アリセプト(ドネペジル)を服用していて、認知機能、表情などを主観的に見て症状の進行がなく(または少なく)今までどおりの生活が維持できているならば、効果があるといえるのかもしれません。

軽度、中等度のアルツハイマー型認知症の方を対象としたアリセプト(ドネペジル)の臨床試験では、12週後から認知機能の改善が認められています。
ただし、アリセプト(ドネペジル)を含めて、認知症の治療薬の効果発現にかかる時間や効果には個人差があります。

レミニールの特徴

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レミニール錠とレミニール内服液

レミニールはガランタミンを有効成分とする薬です。

レミニールの作用

アリセプトとレミニールの作用の違い

アリセプト(ドネペジル)とレミニールの作用の違いは、レミニールにはアセチルコリンエステラーゼ阻害作用の他に、アセチルコリン受容体の働きを高める作用があることです。

つまり、
レミニールは脳内のアセチルコリンの濃度を高めて、神経の連絡網の低下を抑えるとともに、連絡をキャッチする機能も高めることができます

アリセプト(ドネペジル)と同様に、神経細胞保護作用も認められています。

レミニールの用法と用量

アリセプト(ドネペジル)、イクセロンパッチとリバスタッチは1日1回ですが、
レミニールは効果の持続時間が短いため1日2回服用する必要があります。

レミニールの用法用量

レミニールは1日8mg(1回4mgを1日2回)からスタートして、4週間後に1日16mg(1回8mgを1日2回)に増量します。

また、レミニールは症状に応じて1日24mg(1回12mgを1日2回)まで再増量できますが、1日16mgを4週間以上服用した後に増量します。

レミニールも、アリセプトと同様に食事の影響を受けませんが、消化器症状の副作用を軽減するため、食後に飲むことが多いです。

レミニールの剤形

レミニールは、錠剤、OD錠以外に、認知症の薬としては唯一、内服液という剤形があります。

内服液は、水やジュースなどにも簡単に混ざり、固形物が飲み込みにくい方でも、服用しやすいです。

イクセロンパッチとリバスタッチの特徴

イクセロンとリバスタッチ

イクセロンパッチとリバスタッチは商品名が異なるだけで、リバスチグミンを有効成分とする薬です。

イクセロンパッチとリバスタッチの作用

イクセロンパッチとリバスタッチは、アリセプト(ドネペジル)と同様に、脳内のアセチルコリンの濃度を高めて、神経の連絡網の低下を抑える作用があります。

アリセプト(ドネペジル)は、脳内のアセチルコリンの濃度を高める仕組みは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用ですが、
イクセロンパッチとリバスタッチは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用とブチルコリンエステラーゼ阻害作用の、2つの阻害作用を持ちます。

イクセロンパッチとリバスタッチの剤形

イクセロンパッチとリバスタッチは、認知症の薬としては、唯一「貼り薬」という剤形を採用しています。貼っておくことで、他の認知症内服薬と同等の効果があります。

そのため、イクセロンパッチとリバスタッチは、薬を飲むことを拒否している場合でも、家族や介護者が目立たないところに貼っておくことができます。

イクセロンパッチとリバスタッチの用法と用量

イクセロンパッチとリバスタッチは、傷等のない上半身(主に背、腕、胸)に貼り、24時間毎に貼り替えます。

イクセロンパッチとリバスタッチには、貼った日等を書くことができます。貼った日と時間を書くと薬の管理がしやすいです。

貼る直前に他の軟膏、クリーム等を貼る場所に塗ると、粘着力が弱くなったり、皮膚の副作用が出る原因になるため避けます。

リバスタッチ・イクセロンの用量ステップアップ

イクセロンパッチとリバスタッチは、1日1回4.5mgからスタートして、4週毎に4.5mgずつ増量し、治療に効果を現す量とされる18mgまで増量する(3ステップ漸増法)。

ただ、この方法では、18mgまでに12週間もかかってしまうため、状態に応じて、1日1回9mgからスタートして、4週後に18mgに増量することもできます(1ステップ漸増法)。

日本人のアルツハイマー型認知症の方を対象にした、イクセロンパッチとリバスタッチの1ステップ漸増法と3ステップ漸増法の比較試験では、何らかの理由で薬が中止になった割合の差はわずかでした。

増量方法 中止率
1ステップ漸増法群 15.0%
3ステップ漸増法群 18.5%

イクセロンパッチとリバスタッチの副作用 

イクセロンパッチとリバスタッチは貼り薬ですが、吐き気や食欲低下などの消化器症状の副作用があります。
ただし、内服薬と比べると消化器症状の副作用の頻度は低いです。

消化器系の副作用率(臨床試験結果より)

  イクセロンパッチ
リバスタッチ
レミニール
嘔吐 7.8% 12.6%
悪心 7.6% 14.9%
食欲減退 5.2% 8.3%

消化器症状の副作用にプラスして、貼り薬独特の副作用として、皮膚の赤み、痒み等のかぶれが起こることがあります。

イクセロンパッチとリバスタッチのかぶれの副作用対策

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イクセロンパッチとリバスタッチを使う方は、高齢者がほとんどです。

高齢者の皮膚は、健常者に比べるとバリア機能が落ちているため、湿布かぶれやパッチかぶれの副作用の頻度が高いです。

次のような3つの対策で、かぶれの副作用を軽減させることができます。

  1. 貼る場所を毎回変更することで、パッチかぶれは軽減します
  2. イクセロンパッチとリバスタッチをはがすときは、入浴後など、パッチの粘着力が弱まってからはがすことで、パッチかぶれは軽減します
  3. イクセロンパッチとリバスタッチを貼ってから、貼った場所以外のところにワセリンやヒルドイド等の保湿剤でスキンケアしておくことで、パッチかぶれは軽減します。次に貼る予定のところは、特に入念にスキンケアします

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アリセプト(ドネペジル)、レミニール、イクセロンパッチとリバスタッチの違い

  アリセプト レミニール イクセロンパッチ
リバスタッチ
有効成分 ドネペジル ガランタミン リバスチグミン
保険適応 AD 軽度~中等度AD
LBD
作用1 アセチルコリンエステラーゼ阻害作用
作用2 BchE阻害作用 AchRe活性化作用
用法 1日1回 1日2回 1日1回
効果 同等
副作用 吐き気、下痢等の消化器症状
かぶれ
最小用量 3mg 8mg 4.5mg
最大容量 10mg 24mg 18mg
剤形 錠剤 錠剤 貼り薬
OD錠 OD錠
DS 内用液
細粒
ゼリー
ジェネリック × ×

AD:アルツハイマー型認知症
LBD:レビー小体型認知症
BchE:ブチリルコリンエステラーゼ
AchRe:アセチルコリン受容体
DS:ドライシロップ