ナウゼリン座薬(ドンペリドン)の効能効果 子供の嘔吐に使う間隔は?

吐き気のある子供 胃薬
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子供が嘔吐しているときは、何か口に入れることが胃を刺激して嘔吐する原因になります。

それが薬であってもです。

 

そんなときに重宝するのがナウゼリン座薬です。

ナウゼリンには錠剤、OD錠、ドライシロップ、細粒、座薬(坐剤)の5種類があります。

錠剤・OD錠は主に大人に、
ドライシロップ・細粒・座薬は子供に使用されています。
(ただしナウゼリン座薬60mgは大人用)

 

※ナウゼリン座薬の正式名称はナウゼリン坐剤です。

アセチルコリンとドパミン受容体

ナウゼリンの効果を引き出す作用機序の解説前に、アセチルコリン(ACh)とドパミン受容体の解説をします。

アセチルコリン(副交感神経を支配する神経伝達物質)が胃のムスカリンM受容体に結合すると、胃の運動が活発化します。

嘔吐が治る仕組み

 

胃にはドパミンD2と呼ばれる受容体があります。

ドパミンD2受容体にドーパミン(ドパミン)が結合すると、アセチルコリンの放出が抑えられ胃の運動が制限されます。

そして吐き気を感じ、ひどいと嘔吐します。

嘔吐が起こる仕組み

 

ドパミンD2受容体を介してアセチルコリンの量を調整する薬がナウゼリンです。

ナウゼリン(ドンペリドン)の作用機序

嘔吐には中枢性嘔吐末梢性嘔吐(まっしょうせいおうと)の2種類があります。

詳細はこちらの記事で解説しています。

吐き気止め薬ナウゼリン錠・OD錠(ドンペリドン)の効能効果、副作用、市販
ナウゼリン(ドンペリドン)は、ドパミンD2受容体を介してアセチルコリンの量を調整する吐き気止め薬で、吐き気、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、胸焼けの症状に効果があります。

 

ナウゼリンはどちらかというと、日常生活の吐き気(抹消性嘔吐)を抑える吐き気止めです。

ナウゼリン(ドンペリドン)は末梢性嘔吐に効果あり

 

ナウゼリンの主成分はドンペリドンです。

ナウゼリン(ドンペリドン)は胃腸のドパミンD2受容体をブロックして吐き気を抑えます。【抗ドパミン作用】

ナウゼリン(ドンペリドン)の作用機序

これがナウゼリン(ドンペリドン)の主な作用機序です。

ナウゼリン座薬

ナウゼリン坐薬10mg.30mg.60mg

ナウゼリン座薬は10mg・30mg・60mgの3種類があり、子供の嘔吐には10mgと30mgを使用します。

ナウゼリン座薬60mgは大人用ですが、胃・十二指腸手術後や抗ガン剤を服用で起こる吐き気に使用される特殊な座薬です。

ナウゼリン座薬の効能効果

子供のロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルスなどの感染などで起こる乳幼児下痢症(感染性胃腸炎)に対するナウゼリン座薬の有効率(効果)は74.6%です。

 

ナウゼリン座薬は乳幼児下痢症に効果がありますが、ナウゼリン座薬には直接下痢を抑える効果はありません

ナウゼリン座薬は乳幼児下痢症で起こる子供の嘔吐・吐き気などに効果があり、嘔吐による脱水症状の改善・予防を目的として使用します。

 

子供の症状を改善する効能効果(改善率)

子供の症状 効能効果(改善率%)
嘔吐 77.6
悪心(吐き気) 69.5
食欲不振 54.7
腹痛 52.3
腹部膨満感 48.9

ナウゼリン座薬の効果

 

ナウゼリン座薬の用法と間隔

  • 3歳未満の場合、通常ドンペリドンとして1回10mgを1日2~3回直腸内に投与する
  • 3歳以上の場合、通常ドンペリドンとして1回30mgを1日2~3回直腸内に投与する。

小児において錐体外路症状、意識障害、痙攣が発現することがあるため、特に1歳以下の乳児には用量に注意し、3歳以下の乳幼児には7日以上の連用を避けること

ナウゼリン坐剤添付文書より

ナウゼリン座薬は、3歳を境に10mgから30mg、3倍に用量が増えます。

ナウゼリンドライシロップと細粒は体重で用量を調整しますが、ナウゼリン座薬はホクナリンテープのように年齢で用量を調整します。

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ナウゼリン座薬を1回入れると、嘔吐していた子供の吐き気は少し落ち着きます。

吐き気がひどく嘔吐が続くと脱水症状を起こす場合があり、嘔吐、脱水症状の防止のためナウゼリン座薬は間隔をあけて1日に2回.3回と入れる場合もあります。

 

ナウゼリン座薬を入れる間隔にルールはありませんが、8時間の間隔あけることが望ましいです。

ただ、嘔吐が激しいときは4時間間隔をあければ何とか使えるかと考えます。

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ナウゼリン座薬は用量が多い

大人の場合、食前にナウゼリン錠(OD錠)10mgを飲みます。

ナウゼリン錠10mgとナウゼリンOD10mg

 

子供が嘔吐したときに使うナウゼリン座薬の1回量は3歳未満で10mg、3歳以上で30mgで、大人のナウゼリン内服用量10mgを上回ります。

 

ドパミンD2受容体は胃に多くあり、ナウゼリンのドンペリドンという成分は胃でも吸収されて胃でも直接効果があります。

そのため、ナウゼリン錠・OD錠は少量でも十分な効果が期待できます。

 

一方、ナウゼリン座薬は胃を通りません。

ナウゼリン錠・OD錠と同じだけ効果を引き出そうとすると用量は増え、大人(錠剤)と子供(座薬)の薬の用量が逆転します。

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ナウゼリン座薬は効果発現時間が遅い

ナウゼリン座薬の最高血中濃度到達時間(T-max)は約2時間で、ナウゼリン錠(OD錠)は約1時間です。

最高血中濃度到達時間、消失半減期の解説

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座薬は速く効くイメージがあると思いますが、ナウゼリン坐剤はそのイメージが当てはまらずなかなか効かないです。

 

座薬といえば解熱鎮痛座薬を思い出すでしょう。

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  • ボルタレン座薬
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カロナール座薬やアンヒバ座薬は油脂性基剤でできています。

油脂性基剤は肛門に入れると、体温で急速に溶けるため即効性があります。

 

一方、ナウゼリン座薬や子供のけいれんなどに使うダイアップ座薬は水溶性基剤でできています。

水溶性基剤は直腸分泌液でゆっくりと溶けるため効果はゆっくりです。

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カロナール座薬とナウゼリン座薬を併用する場合は、先にナウゼリン座薬を入れてから30分以上経った後カロナール座薬を入れます。
(入れる順番をまちがえると、座薬は効かない)

ナウゼリン座薬の副作用

ナウゼリン座薬のドンペリドンは脳に入りにくい成分あるため、中枢神経系の副作用(錐体外路症状:パーキンソン病のような症状)は起こりにくいです。

  • 副作用発現率は0.8%(子供)
  • 錐体外路症状0.3%(大人子供共通)
副作用 副作用頻度
下痢 0.5%
腹痛 0.2%

 

ナウゼリン座薬は腹痛を治す効果(52.3%)がありますが、腹痛を起こす副作用もあります。

このあたりは薬であるため仕方ありません。

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ナウゼリン座薬は室温保存

ナウゼリン座薬の溶融温度は50~57℃です。冷蔵庫保存ではなく室温保存(1~30℃)で問題ありません。

カロナール座薬やアンヒバ座薬のように冷蔵庫に保存しても問題がありませんが、使用前には室温に戻すことをおすすめします。

冷たい座薬が腸を刺激して、排便してしまう場合があるからです。

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まとめ

  1. ナウゼリン(ドンペリドン)は抹消性嘔吐に特に効果があり、吐き気、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、胸焼けの症状に効果がある
  2. ナウゼリン(ドンペリドン)は、ドパミンD2受容体を介してアセチルコリンの量を調整する吐き気止め薬
  3. ナウゼリン座薬は子供のノロウイルスなどの感染起こる嘔吐・吐き気などに効果があり、嘔吐による脱水症状の改善・予防を目的として使用する
  4. 子供が嘔吐したときに使うナウゼリン座薬の1回量は3歳未満で10mg、3歳以上で30mgで、大人のナウゼリン内服用量10mgを上回る
  5. ナウゼリン座薬は8時間の間隔あけることが望ましい
  6. 水溶性基剤で出きているナウゼリン座薬は溶けるのに時間がかかる。
    効果発現時間が遅く、なかなか効かない

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