ヒルドイドは処方制限から保険適応外へ?美容目的ダメ!(問題)

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ヒルドイドは有名な保湿剤ですが、

ネットの世界では、なぜか「アンチエンジングクリーム」「美容クリーム」「化粧水」「乳液」…と堂々と紹介されています。

さらに、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSでは、ヒルドイドの写真が大量にアップされ、化粧水・乳液代わりに使っている方は相当数いるとわかります。

  • 化粧水や乳液の代わりに顔に使っている
  • 化粧水(乳液)よりも顔に効果がある(うるおう)
  • 化粧水(乳液)より安いので、たっぷり顔に使える
  • 美容クリームよりも効果がある
  • 肌が若返る効果がある
  • 美容効果がある
  • ニキビ跡やシミにも効果がある

ヒルドイドを「化粧水や乳液の代わりに」という発想は昔からあり、ヒルドイドは処方量の上限(制限)がありました。

ヒルドイドの化粧水や乳液の代わりに使用は衰えを知らず、ネット・SNSを通じて急激にヒルドイドの美容目的使用が拡散しています。

健康保険連合会(医療費適正化、医療保険制度などの充実をはかる組織)はそれを問題視しています。

近い将来、ヒルドイドは使い方によって保険適応外(健康保険が使えない)になるかもしれません。

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ヒルドイドの処方量上限(制限)

先述のとおり、ヒルドイドやヒルドイドのジェネリックであるビーソフテン(ヘパリン類似物質)を美容クリームや乳液・化粧水代わりに使用している方は確実にいます。

ヒルドイドとジェネリック ビーソフテン(ヘパリン類似物質)の違いは添加物成分
ヒルドイドとジェネリック ビーソフテンは、ヘパリン類似物質を有効成分とする有名な保湿剤です。効果は同等ですが、添加物成分が違うため塗り心地に違いがあります。

ヒルドイドには処方量の上限が健康保険にはあります。

ヒルドイドとプロペト(白色ワセリン)の混合処方は、処方量の上限対策では有名です。
(混合する目的は上限対策だけではありません)

乾燥肌にヒルドイド、白色ワセリン(プロペト)、混合薬 どれを選ぶ?併用と順番は?
皮膚科で使用される乾燥肌対策の薬、ヒルドイドと白色ワセリン(プロペト)。同じように使っている方が多いと思いますが、違う性質を持つ保湿剤です。混合と塗る順番についても触れます。

  • ヒルドイドとビーソフテン(ヘパリン類似物質)の同時処方
  • ヒルドイドソフト軟膏、ローション、クリームの多種類併用

これらは都道府県によって規制があるようです

ヒルドイドソフト軟膏、ローション、クリーム、ゲルの違いと使いわけ
ヒルドイドソフト軟膏、ローション、クリーム、ゲルは効能効果と基剤の違いがあります。

例えば、大阪府では次の同時処方がヒルドイドのみ返戻を受けました。

処方箋発行機関:北区有名病院小児科
ヒルドイドソフト軟膏 150g 体
ビーソフテンローション 300g 体

同時処方が毎回返戻を受けるわけではなく、検査員、処方内容、診療科目、処方量で違うようです。
(多くの同時処方はスルーされている)

※返戻(へんれい)とは
健康保険に請求後、審査で落ちて医療機関に請求が差し戻されること
(健康保険から保険分の薬代が支払われないことは、何らかの理由で保険適応外を意味する)

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ヒルドイド処方の実態と問題

健康保険組合連合会はヒルドイドなどの保湿剤処方の実態と問題を整理し、2017年10月に政策提言を行いました。

実態と問題の詳細は「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究3」の保湿剤処方のあり方(P76~)です。

(本記事はこれらの調査研究結果のデータを引用します)

ヒルドイド処方の問題1
美容目的によるヒルドイド処方の流行

美容に関心の高い女性の間で、皮膚科等に受診し「乾燥肌(皮脂欠乏症)」等の訴えにより「ヒルドイド」(各種タイプ、後発品含む)を化粧品代わりに処方してもらうことが流行している可能性が高い

ヒルドイドの美容効果(誤った知識)がSNSなどで拡散し、ヒルドイド処方が若い女性を中心に流行を裏付けるデータがあります。

保湿剤のみ処方における性・年齢階級別の構成割合

ヒルドイドの年齢別処方割合

(20歳~49歳までの処方金額ベースでは、女性は男性の約5倍

通常、皮膚スキンケアは加齢とともに必要になってきます。

男性の場合、それが顕著に表れています。

一方、女性の場合、20代から急増して50代以降になると減っています。

これは美容に関心の高い年代の女性が、ヒルドイドを保険適応外で使っている可能性が高いということです。

ヒルドイド処方の問題2
アトピーではなく乾燥肌に使用

本来、ヒルドイドなどの保湿剤は、アトピーなどスキンケアが必須となる病気に使用されるべきです。

アトピーと脱ステロイド(脱ステ・脱保湿) リバウンドしないステロイドの止め方は?
脱ステロイド(脱ステ)でアトピーが治る方がいるのも事実です。ただし、脱ステロイドでアトピーが治る方というのはほんの一握りで、脱ステロイドをしたほとんどの方は、リバウンドで脱ステロイド組から早期離脱します。

しかし、ヒルドイドの使用目的の半分以上は皮脂欠乏症です。
(皮脂欠乏症とは、皮膚の油分が失われて皮膚内(角質内)の水分量が減った乾燥肌状態

ヒルドイドの使われ方

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ヒルドイドと健康保険

ヒルドイドが美容目的で使われる理由のひとつは、

医師にうまいこと言えば健康保険が使えるため、負担が抑えられるからです。
(ヒルドイド処方を指定する困ったちゃんもいるらしい)

しかし、

本来ならば、美容目的の薬は保険適応外で自費が原則です。

美容皮膚科のシナールトランサミン美白使用(保険適応外)のようにです。

シナール(ビタミンC)の美白効果でシミ、紫外線(日焼け)対策
シナール(ビタミンC)には、メラニン色素の過剰生成を抑え、シミをうすめたり予防したりする美白効果があります。肝斑薬トランサミン(トラネキサム酸)との併用も多いです。
肝斑薬トランサミン(トラネキサム酸)の美白効果 市販薬も解説
トランサミン(トラネキサム酸)は、プラスミンの働きをブロックして肝斑を引き起こす原因を取り除きます。シナール(ビタミンC)との併用も多いです。

美容目的での健康保険の使用はルール違反で、健康保険詐欺です。

ヒルドイドと値段

ヒルドイドは、ソフト軟膏、ローション、クリーム、ゲルの4種類が発売されています。

ヒルドイドゲル、クリーム、ソフト軟膏、ローション

※ヒルドイドクリームは20g→25gチューブに変更(2017年10月)

ヒルドイドの中でも、ヒルドイドソフト軟膏とヒルドイドローションは「美容クリーム」「乳液」「化粧水」の代わりとして保険適応外使用が後を絶ちません。

ヒルドイドローションは顔保湿に効果抜群!化粧水、乳液代わりには?
少しテカリがあるため好き嫌いが分かれますが、ヒルドイドローションを顔に塗ると保湿効果で顔がうるおいます。

ヒルドイドソフト軟膏(ローション)の薬価は23.7円/gですので、1本(25g)で約600円です。

ヒルドイドソフト軟膏(ローション)は健康保険が使えますので、3割負担で1本約180円です。

美容クリーム・化粧水と比較すると、ヒルドイドソフト軟膏(ローション)は格安です。
(そもそも比較するのがまちがい)

ネットであれだけニセの美容効果について書かれてあれば、グラっと来ませんか?

保湿剤ヒルドイドの効果をひきだそう! 使い方と副作用(塗り方、順番、量)
ネットではアンチエイジングクリームや化粧水として話題のヒルドイド。ヒルドイドは保湿効果にすぐれ、顔、首、全身に使えます。塗り方、量、回数を守ればもっと効果を引き出せます。

ルール違反の美容使用がチリも積もれば山となり、

ヒルドイドを含むヘパリン類似物質の単独処方が、皮膚乾燥症に使用されている金額は、年間約93億円と分析されています。

ヒルドイドソフト軟膏は顔より体の保湿におすすめ!効果と使い方
ヒルドイドソフト軟膏は強力な保湿効果とリーズナブルな価格のため、ネットでは美容クリームとして紹介されています。気持ちは分からなくもありませんが、ヒルドイドソフト軟膏は保湿剤です。

 ヒルドイドは保険適応外?いつから?

西暦の偶数月の4月は診療報酬の算定ルールが改定される年です。

2016年4月は湿布の大量処方が問題視され、湿布の処方は1回につき原則70枚までという処方量制限が設けられました。

麻薬、向精神薬、新薬、湿布には処方日数制限(投与制限)がある 薬局規制事項
新薬・麻薬・向精神薬は、体調の変化に気付かず飲み続けると、病状が悪化することが多いです。14日・30日・90日の処方日数制限(投与制限)があります。

診療報酬改定とヒルドイドの保険適応外使用を一緒にするのはナンセンスですが、区切りのいいところでバサっと改革は行わてきました。

2018年4月から、ヒルドイドは使い方によっては健康保険適応から除外され、大量の返戻を受ける可能性があります。

  1. 皮膚乾燥症に対して保湿剤(ヘパリン類似物質または白色ワセリン)が他の外皮用薬または抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合には当該保湿剤を保険適用から除外する。

  2. 中長期的には、海外の保険収載の状況や一般用医薬品の流通の状況等を踏まえ、保湿剤の処方そのものを保険適用外とすることも検討すべきである

健康保険組合連合会の政策提言より

まとめると、

ヒルドイドなどの保湿剤の美容目的使用はけしからん。
ヒルドイドの単独処方はあやしいから保険適応外にすべきだ

ということです。

現在、ヒルドイドの「保険適応外化はいつから?」は明確にはなっておらず、「健康保険組合連合会の政策提言止まり」です。

しかし、保険適応外であるヒルドイドの使い方を続け、健康保険組合連合会にこのような提言をされるまでに発展したことは深刻な問題です。

美容志向もいいですが、健康保険のあり方と使い方を再考するときです。

さもないと、湿布のように本来必要とする方がヒルドイドを使えなくなってしまいます。

どうしてもヒルドイドを美容に使いたい方はヒルドイド市販薬をどうぞ。

ヒルドイド市販(ビーソフテン、ヘパリン類似物質)はHPローションがおすすめ
ヒルドイドの市販はドラッグストアなどで販売されています。ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の塗り心地に近いだろうと考えられる市販をおすすめとして紹介します。

ただし、ヒルドイド市販薬も「アンチエンジングクリーム」「美容クリーム」「化粧水」ではなく、保湿剤です。

まとめ

  1. ヒルドイドの「美容クリーム」「乳液」「化粧水」の代わりとして美容使用はダメ
  2. ヒルドイドには処方量制限(処方量の上限)がある
  3. ヒルドイドの美容目的使用が問題視され、ヒルドイドは使い方によっては健康保険適応から除外される可能性がある