ロキソニンに胃薬ムコスタ、セルべックスを併用する理由

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肩、膝、腰、頭・・・。どこであっても痛みがあるのはつらいことです。

痛いときはロキソニン(ロキソプロフェン)を代表とする鎮痛薬を飲みますが、たいていムコスタ、セルベックスといった胃薬との併用が多いです。

【併用例1】

  • ロキソニン 3錠
  • ムコスタorセルベックス 3錠

毎食後 28日分

【併用例2】

  • ロキソニン 1錠
  • ムコスタorセルベックス 1錠

頭痛時 10回分

【併用例2】のように頓服でロキソニンを飲む場合、あまりムコスタ、セルベックスの必要性を感じませんが、

【併用例1】のように毎日ロキソニンを飲む場合はムコスタ、セルベックスは必須です。

なぜならば、ロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)を飲み続けると胃潰瘍、十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)に着実に近づいていくからです。

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胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因

  1. ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の感染
  2. 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の服用

これらは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍(以下、まとめて胃潰瘍)の2大原因です。

非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)

  • ロキソニン(ロキソプロフェン)
  • ボルタレン(ジクロフェナク)
  • セレコックス(セレコキシブ)
  • インダシン(インドメタシン)など

そのため、胃潰瘍の疑いがあればピロリ菌の感染を確認して、感染しているならば積極的にピロリ菌の除菌薬(ランサップ、ランピオンなど)を使ってピロリ菌を除菌を行います。

ランサップで下痢(副作用)発生! ピロリ菌除菌に失敗する原因は?
ピロリ菌が感染すると、自然に除菌されることはほとんどありません。ピロリ菌除菌薬を使って除菌する必要があります。除菌薬の費用は安く、除菌成功率も70%以上あります。
ピロリ菌二次除菌薬ランピオンパックの費用と副作用 また失敗したら? 
初めてのピロリ菌の除菌に失敗した場合でも、2回目(二次除菌)も健康保険が使用できます。でも3回目、4回目は…。

胃潰瘍になるリスクは、NSAIDsの用量服用期間に依存します。

海外のメタアナリシス(複数の研究の結果を統合した統計解析)では、ピロリ菌感染・NSAIDs服用でリスクは数十倍になることがわかっています。

ピロリ菌感染なし・NSAIDs服用なしの胃潰瘍リスクを1とする

状況 胃潰瘍リスク
ピロリ菌感染・NSAIDs服用 61.1倍
NSAIDs服用 19.4倍
ピロリ菌感染 18.1倍

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ロキソニンが胃潰瘍リスクを上げる理由

ロキソニンなどのNSAIDsは、痛みが起こっている場所のプラスタグランジンと呼ばれる炎症物質の生成を抑えて、痛みや炎症を抑えます。

このプロスタグランジンは胃粘膜の血流を良くしたり、傷ついた胃粘膜を修復したりする働きがあり、胃にも多く存在します。

プロスタグランジンの生成が抑えられると胃酸などからの攻撃を受けやすくなり、胃が傷つきやすい状態になります。
(胃の防御力が下がる)

ロキソニンが胃潰瘍リスクを上げる理由

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湿布でも胃の副作用はある

モーラステープ、ロキソニンテープ、ボルタレンテープなどの通常の湿布は、貼った場所で主に効果を示すため、胃腸障害の副作用を起こすことはほとんどありません。

あのロキソニンの湿布薬 ロキソニンテープの効果と副作用 市販も発売!
国民的解熱鎮痛剤ロキソニンには湿布もあります。2016年には市販薬も発売されています。

2016年に皮膚への吸収を良くし、より深い場所へ効く湿布ロコアテープが発売されました。

ロコアテープの袋と本体

ロコアテープは他の湿布とは吸収力が違い、有効成分エスフルビノプロフェンは胃でも作用し、プラスタグランジンの生成を抑え、副作用として表れやすいです。

ロコアテープ ロキソニンパップ ロキソニン錠
副作用1 皮膚炎
8.0%
そう痒
2.1%
消化器障害
5.12%
副作用2 紅斑
3.2%
紅斑
1.5%
皮膚症状
1.18%
副作用3 胃腸障害
1.4%
胃不快感
0.6%

湿布薬ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)は最強!? 副作用、併用禁忌に注意
2016年1月に発売されたロコアテープは、アドフィード・ゼポラスなどの成分フルルビプロフェンから、さらに鎮痛効果の高い成分を抽出して作らています。今までの湿布の概念をくつがえすかもしれません。

ムコスタとセルベックスは防御系胃薬

ムコスタ錠、ムコスタ顆粒 セルべックスカプセル、セルべックス細粒

胃薬は大きく分けると3種類です。

  1. 胃酸分泌抑制系胃薬
    胃粘膜を攻撃する胃酸の分泌を抑制する
    ネキシウム、パリエット、タケプロン、ガスター、プロテカジンなど

  2. 防御系胃薬
    胃酸などから胃粘膜を守る
    ムコスタ、セルベックスなど

  3. 機能改善系胃薬
    胃の運動を調節して、吐き気・食欲不振などの症状を改善する
    プリンペラン、ドグマチール、ナウゼリン、ガスモチンなど

なぜドグマチール(スルピリド)は胃薬、うつ・統合失調症薬として効果を示すのか?
ドグマチール(スルピリド)には、2つの作用(交感神経を抑制する作用とドパミンD2受容体をブロックする作用)と3つの顔が(胃薬、抗うつ薬、統合失調症薬)があります。

何種類も胃薬を飲んでいますが必要ですか?という質問を受けますが、

胃酸分泌抑制系胃薬、防御系胃薬、機能改善系胃薬は作用機序が違う胃薬です。問題ありません。

○:ネキシウム、ムコスタ、プリンペラン併用

×:セルベックス、ムコスタ併用
×:パリエット、ガスター併用

胃薬市販ガスター10(ファモチジン)の効果と副作用 胃痛、胸焼けにおすすめ!
胃薬ガスター10(ファモチジン)は、過剰な胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーです。胃痛、胸焼けなどのつらい症状におすすめの市販胃薬です。

胃薬ムコスタとセルベックスの違い

ムコスタとセルベックスは胃潰瘍にも使えますが、単独で胃潰瘍の治療には使いません。

ムコスタとセルベックスは、ロキソニンもしくは他の胃薬と併用して使う場合がほとんどです。

ただし、ムコスタとセルベックスは効果の優劣を比較した試験がなく、効果の差は不明です。

市販薬の有無の違い

ムコスタには市販薬がありませんが、セルベックスはセルベールという市販薬があります。
(ロキソニンもロキソニンSという市販薬があります)

セルベールは、セルベックスの成分テプレノン+胃の運動を活発にする生薬の配合剤です。

「ロキソニンで胃が痛いので市販の胃薬を飲んでもいいですか?」という質問も多いですが、

そのときの市販胃薬は、セルべールがベストチョイスでしょう。

食事の影響の違い

ムコスタは食事の影響を受けませんが、セルベックスは食事の影響を受けます。

濃度曲線下面積(AUC)は食後30分投与を100%とすると、食後1時間投与では変化なく、食後3時間投与では約23%低下した。

胃潰瘍患者に対してテプレノン100mg(←セルベックス)を食後30分以内に投与した時の方が空腹時投与に比べ、AUC(血清中濃度曲線下面積)は36~50倍と高く、食事の影響が確認された

セルべックスインタビューフォームより

AUC:血中濃度曲線の面積のこと。
AUCが大きい≒高い効果が得られる

最高血中濃度到達時間(T-max)、最高血中濃度(C-max)、AUC

【併用例1】のように毎食後に併用するのであれが、ムコスタ、セルベックスのどちらも同等の効果を得られるでしょう。

ロキソニン 3錠
ムコスタorセルベックス 3錠or3カプセル
毎食後 28日分

しかし、【併用例2】のように空腹時に飲む可能性がある場合は、

ロキソニン 1錠
ムコスタ 1錠
頭痛時 10回分

のほうが、より胃酸から胃を守れるでしょう。

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実際の医療現場では、ロキソニンをインフルエンザに使う医師もいれば、使わない医師もいます。しかし、子供に関しては、カロナール(アセトアミノフェン)がほとんどです。

ロキソニンとムコスタ・セルベックス併用の真実

ロキソニンとムコスタ・セルベックスの併用は利にかなっています。

しかし、ロキソニンによる胃潰瘍予防でムコスタ・セルべックスの併用は、本当は健康保険ではNGです。

保険適応がないからです。

  • 胃潰瘍
  • 下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

ムコスタ、セルベックス添付文書より

本来ならば、ロキソニン由来の胃潰瘍予防にはサイトテックネキシウムタケプロンなど、保険適用のある胃薬を使うべきです。

非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与時にみられる胃潰瘍及び十二指腸潰瘍

サイトテック添付文書より

非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制

ネキシウム・タケプロン添付文書より

ただ、ロキソニンとムコスタ・セルベックスの併用は、2つの理由により黙認されていると考えられます。

  1. ムコスタ、サイトテックのNSAIDs胃潰瘍予防効果比較試験では、効果は同等とのデータがある
    (対象:胃潰瘍になったことがない人)

  2. ムコスタ、セルベックスはサイトテック・ネキシウム・タケプロンの薬価より安価である

胃薬 薬価 評価
ムコスタ 14.6 安い
セルべックス 9.4
サイトテック200mg 34.3 高い
ネキシウム20mg 145.1
タケプロン30mg 140.3

まとめ

  1. 胃潰瘍の2大原因は、ピロリ菌の感染とNSAIDs(ロキソニンなど)の服用
  2. ロキソニンは、痛みが起こっている場所のプラスタグランジンを抑えて、痛みや炎症を抑える
  3. ロキソニンは胃のプロスタグランジンも抑えるため、胃腸障害が起こりやすい
  4. ムコスタ、セルべックスは防御系胃薬
  5. ムコスタは食事の影響を受けないが、セルベックスは食事の影響を受ける
  6. そのため、ロキソニンとの頓服併用は、セルべックスよりムコスタがおすすめ
  7. ただし、ロキソニン由来の胃潰瘍予防にはサイトテック・ネキシウム・タケプロンなど、保険適用のある胃薬を使うべき