車、バス、電車、飛行機、船。
あの揺れによる乗り物酔い。
- 吐き気
- フラフラするめまい
- ズキズキする頭痛
乗り物酔いはせっかくの旅行を台無しにしてしまいます。
乗り物酔いを予防する方法のひとつが、酔い止め薬の服用です。
医療用・市販薬問わず酔い止め薬は多くの種類がありますが、病院でも酔い止め薬として使用されるトラベルミンは1番有名ではないでしょうか?
トラベルミンの効果、副作用、効果発現時間、効果持続時間について解説します。
乗り物酔いの原因と症状
乗り物の揺れが強いと、目から入ってくる情報と体で感じる動きのズレが脳に伝わります。
感覚のズレが長時間続くと脳は混乱し、吐き気、めまい、頭痛という乗り物酔いの症状が現れます。
乗り物酔いは、正確には動揺病と呼ばれる症状です。
酔い止め薬トラベルミンとは
長年トラベルミンはアルミのヒートシートでしたが、2015年後半にPTPシートに包装変更されました。
医療用のトラベルミンは、主成分ジフェンヒドラミンサリチル酸塩(以下ジフェンヒドラミン)とジプロフィリンの配合錠で、正式名称はトラベルミン配合錠です。
トラベルミンは乗り物に乗る前に服用することで、乗り物酔いを予防できます。
トラベルミンの成分
主成分1:ジフェンヒドラミン
- 乗り物酔いの吐き気の症状は、脳(嘔吐中枢)のヒスタミン刺激で起こります。
- めまいの症状は、脳の平衡感覚に関係する三半規管のヒスタミン刺激で起こります。
トラベルミンの主成分ジフェンヒドラミンは第1世代抗ヒスタミン薬で、自律神経に働き、乗り物酔い症状を予防・緩和します。
抗ヒスタミン薬は、花粉症の症状や皮膚のかゆみを抑える抗アレルギー成分として有名ですね。
第1世代抗ヒスタミン薬は、第2世代抗ヒスタミン薬(アレロック、ザイザル、アレグラなど)とは違い、脳内に成分が届きやすいです。
ジフェンヒドラミンは、嘔吐中枢や三半規管のヒスタミンをブロックして、乗り物酔いの吐き気やめまいの症状を予防します。
→ 集中力、活動、記憶力の低下
→ 眠気(副作用)
主成分2:ジプロフィリン
トラベルミンの主成分ジプロフィリンは、コーヒーの成分であるカフェインや、咳止め成分テオフィリンの仲間です。(キサンチン誘導体)
ジプロフィリンは、乗り物の揺れで起こる感覚の混乱を抑制して、乗り物酔いの症状を予防する(ジフェンヒドラミンの効果を補う)とともに、中枢神経を興奮させてトラベルミンの副作用(眠気)を抑える作用があります。
トラベルミンの乗り物酔い予防効果
トラベルミンの船酔い・車酔いなどの動揺病に対する効果(有効率)は91.55%です。
乗り物に乗る前に10人がトラベルミンを服用すれば、9人は乗り物酔いを起こさないで済むだろう。予防できるだろうということです。
下記の疾患又は状態に伴う悪心・嘔吐・めまい
動揺病、メニエール症候群
トラベルミン配合錠添付文書より
トラベルミンの副作用 (眠気・だるさ)
トラベルミンは乗り物酔いの症状を抑えられますが、眠気・だるさなどの副作用が出やすいです。
トラベルミンが眠くなる理由
眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように十分注意すること。
トラベルミン配合錠添付文書より
トラベルミンの副作用は、ジフェンヒドラミンの抗ヒスタミン作用が脳に作用するため起こります。
トラベルミンは、トラベル眠(ダジャレか?)という名前のとおり、眠気やだるさの副作用頻度が高いです。
トラベルミンの主な副作用 | 副作用頻度 |
---|---|
眠気 | 3.35% |
倦怠感(だるさ) | 1.79% |
頭重感(頭が重苦しい) | 1.12% |
あくび | 1.1% |
トラベルミン配合錠添付文書より
眠くならないトラベルミン市販薬
酔い止め薬で眠気やだるさの副作用を起こしたくない場合は、トラベルミン市販薬トラベルミンRがおすすめです。
(トラベルミン市販薬のまとめは記事の最後)
トラベルミンRは、眠気を起こす原因成分ジフェンヒドラミンを含んでいません。
その代わりに、眠気の出にくいでジフェニドール(めまい薬セファドールの主成分)が使用されています。
トラベルミンR眠気防止成分カフェインも入っているため、眠くならない(なりにくい)頼りになる酔い止め薬です。
トラベルミンが飲めない方 (服用禁忌)
第1世代抗ヒスタミン薬は、抗コリン作用も合わせ持っています。
(ポララミン、ペリアクチン、ニポラジンなども)
抗コリン作用とは、アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを防ぐ作用のことです。
抗コリン作用がはたらくと、眼圧上昇、尿のキレが悪くなる、便秘、口の渇きなどの副作用が起こる場合があります。
そのため、トラベルミンは緑内障や前立腺肥大などの治療中の方は服用できません。
トラベルミンの併用
トラベルミンは抗ヒスタミン薬を含んでいます。
抗ヒスタミン薬は、花粉症・風邪の鼻症状・皮膚のかゆみに使用される場合が多いです。
アレロック、ザイザル、アレグラとトラベルミンを併用した場合、抗ヒスタミン作用が効きすぎて、眠気・だるさなどの副作用が強く出る場合があります。
他の乗物酔い薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静剤、鎮咳去痰薬、睡眠改善薬、抗ヒスタミン剤(鼻炎内服薬、アレルギー用薬)との併用は避けてください
トラベルミン市販薬添付文書より
トラベルミンの飲み方
トラベルミンは約30分で効果が表れるため、飲み物に乗る30分以上前に服用するのがベストタイミングです。
大人の飲み方(量)
15歳以上の方はトラベルミン1回1錠が適量です。
子供の飲み方(量)
医療用トラベルミンの子供の用量は決まっていません。
トラベルミン子供用市販薬を参考にすると、
5歳以上の子供は1回0.5錠。
11歳以上の子供は1回1錠が適量です。
医療用トラベルミンの半分量の成分が含まれる、市販薬トラベルミンジュニア(トラベルミン子供用市販薬)の飲み方
- 11歳以上15歳未満 1回2錠
- 5歳以上11歳未満 1回1錠
- 5歳未満 服用しない
4時間以上の間隔をおいて1日3回まで
トラベルミンの効果持続時間
トラベルミンの効果持続時間は明らかにされていませんが、
トラベルミンと同成分を含むレスタミン錠のインタビューフォームを参考にして推測すると、効果持続時間は4時間~6時間です。
ジフェンヒドラミン塩酸塩50mgを健康成人10名に単回経口投与した試験によれば、投与後2.3±0.2hrでジフェンヒドラミン最高血中濃度66.3±6.9ng/mLに達したと報告されている。
レスタミンインタビューフォームより
効果発現時間と効果持続時間を推測する方法
トラベルミン市販薬の種類
トラベルミン市販薬は6種類あります。
トラベルミン(市販薬)は医療用トラベルミンと同じ酔い止め薬です。
– | トラベルミン | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
– | 市販薬 | ジュニア | 1 | ファミリー | R | チュロップ |
酔い止め成分 | ジフェンヒドラミン | メクリジン | ジフェニドール | クロルフェニラミン | ||
ジプロフィリン | スコポラミン | スコポラミン | スコポラミン | |||
眠気成分 | ジフェンヒドラミン | メクリジン | – | クロルフェニラミン | ||
眠気防止成分 | ジプロフィリン | – | – | カフェイン | – | |
対象年齢 (○以上) |
15歳 | 5歳 | 15歳 | 5歳 | 11歳 | 5歳 |
- トラベルミンジュニアはトラベルミン(市販薬)の半量
- トラベルミン1は1日1回持続タイプ
- トラベルミンファミリーはトラベルミン1の約半量
- トラベルミンRは眠くならない(なりにくい)
- トラベルミンチュロップは子供でも飲みやすいアメタイプ(ブドウ味、レモン味)
長時間飛行機に乗る場合は1日1回持続タイプのトラベルミン1がおすすめです。
まとめ
- 乗り物酔いの原因は、目から入ってくる情報と体で感じる動きのズレ
- 乗り物酔いの3大症状は、吐き気、めまい、頭痛
- トラベルミンの効果発現時間は30分~1時間で、持続時間は4~6時間
- トラベルミンの主成分ジフェンヒドラミンは、第1世代抗ヒスタミン薬であるため、脳内に成分が届きやすく眠気を起こしやすい
- トラベルミンの主成分ジプロフィリンは、トラベルミンの副作用(眠気など)を抑える作用がある
- 眠気やだるさの副作用を起こしたくない場合は、トラベルミン市販薬トラベルミンRがおすすめ
- トラベルミンの副作用は、眼圧上昇、尿のキレが悪くなる、便秘、口の渇きなど。
そのため、緑内障や前立腺肥大などの治療中の方は服用できない - トラベルミンは風邪薬や花粉症薬との併用に注意
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