ゲーベンクリームの褥瘡、やけどへの使い方 効果と副作用

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褥瘡(じょくそう)、熱傷(火傷:やけど)の治療においては、細菌感染の制御や除去を目的として次の塗り薬が使用されます。

  • ゲーベンクリーム
  • ブロメライン軟膏
  • イソジンシュガーパスタ
    (メイスパン配合軟膏)

ゲーベンクリームは、褥瘡・やけどに使われる塗り薬のひとつです。

ゲーベンクリームは褥瘡、やけどの滲出液が少ないとき、ブロメライン軟膏、イソジンシュガーパスタは滲出液が多いときに使う場合が多いです。

滲出液とは
傷を再生する成分(傷を治す成分)を含み、やけど・擦り傷・切り傷を自然治癒力で治す重要な液体
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褥瘡とは(床ずれ)

同じ場所に長い間圧力がかかると、圧力の分散させるため体位変換(体の位置を動かすこと)を自然に行います。

  • 長時間いすに座ったときはおしりの位置をずらす
  • 睡眠中は寝返りをうつ

しかし、糖尿病・加齢などで神経の伝わりが悪くなったり寝たきりになると、圧迫に気付かなかったり、自分で体位変換できなくなる場合があります。

体位変換できないと、

長時間同じ場所が圧迫され、酸素や栄養が行き渡らなくなり、皮膚の一部が赤くなったり、ただれたりしてきます。

その状態を褥瘡(床ずれ)といいます。

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低温やけどとは

ストーブなどの高温熱源に触れると、アチッとすぐにから手などを引っ込めます。

これが通常のやけどです。

普通ならやけどしないような低温熱源(40度~60度)に長時間接触して、

気付いたとき(目が覚めたとき)には皮膚の一部が赤くなったり、ただれたりする場合があります。

この状態を低温やけどといい、治療にも時間がかかります。

低温やけどを起こしやすい熱源

  • カイロ
  • 湯たんぽ
  • ストーブの弱い熱
  • ホットカーペット など

カイロには、「長時間使用しない」「直接肌に貼らない」などの注意書きがあります。

  1. カイロが直接肌に触れることを避け、下着の上から付けるかハンカチなどに包んで使うようにします。
  2. 「貼るタイプ」は、絶対肌に直接貼らないこと
  3. 低温やけどは、体温より高い温度の発熱体を長時間当てていると、紅班や水泡などの症状を起こすやけどです。
  4. 肌の弱い方は低温やけどにご注意ください。

カイロ工業会「カイロを使用するとき注意」抜粋

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ゲーベンクリームの成分

ゲーベンクリーム

ゲーベンクリームは、スルファジアジン銀を有効成分とする少し臭いがある塗り薬です。
(個人的には嫌な臭いとは思いません)

ゲーベンクリームは白色のO/W型クリームのため、水でさらっと洗い流すことができます。

O/W型クリーム(軟膏・クリームの基剤について)

塗り薬の軟膏とクリームの違いは基剤!吸収率、使用感で使い分ける
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スルファジアジン銀には抗菌効果があり、耐性菌ができにくいといわれています。
(抗生物質で耐性化したグラム陰性菌やグラム陽性菌にも効果がある場合もある)

数年前に銀の抗菌効果を前面に押したデオドラントスプレーが流行りましたね。

ゲーベンクリームの効果

ゲーベンクリームの抗菌効果

ゲーベンクリームは、褥瘡・やけどの初期(黒色期~黄色期)に使用されます。

  1. 黒色期(壊死組織除去期)
  2. 黄色期(感染制御期)
  3. 赤色期(肉芽(にくげ)形成期)
  4. 白色期(上皮形成期)

(傷跡はグロテスクなため画は控えます)

ゲーベンクリームの抗菌効果を期待しているからです。

ゲーベンクリームは補水効果も期待できるため、滲出液がたっぷり出ている褥瘡・やけどの傷ではなく、滲出液の少ない傷に使用されます。

適応菌種

  • 本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属【グラム陽性菌】
  • クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌【グラム陰性菌】
  • カンジダ属

(参考)ゲーベンクリーム添付文書

疾患 ゲーベンクリームの有効率
(効果)
褥瘡(床ずれ) 67.3%
中等度の熱傷
(やけど)
75.6%
高度の熱傷
(ひどいやけど)
69.8%

ゲーベンクリームの抗菌効果は接触が必須

ゲーベンクリームのスルファジアジン銀は、皮膚からで吸収されて効果を発揮する塗り薬ではありません。

褥瘡・やけどでの菌と薬の接触により抗菌効果を発揮します。
(2時間以上の接触で細菌増殖は止まるとの報告もある)

ゲーベンクリームの皮膚を溶かす効果

ゲーベンクリームは、皮膚を溶かす塗り薬と説明される場合があるかもしれません。

しかし、ゲーベンクリームの抗菌効果のおかげで褥瘡・やけどに付着した細菌が死滅し、そのまわりが剥がれ落ちていくため、皮膚を溶かしているようにみえるだけで、

ゲーベンクリームには直接皮膚を溶かす効果(壊死組織融解作用)はありません。

適応症

外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
びらん・潰瘍の二次感染

ゲーベンクリーム添付文書より

褥瘡・やけどの皮膚を溶かすとは

「皮膚を溶かす」

恐ろしく聞こえるかもしれませんが、褥瘡・やけどの治療では普通に行われている医療行為です。

褥瘡・やけどで細菌が感染した壊死組織は、取り除いておかないと正常な皮膚に影響を与えます。

褥瘡・やけどの治療の妨げになります。

感染・壊死組織を外科的に除去したり、薬で溶解する(皮膚を溶かす)ことをデブリードマンといいます。

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ゲーベンクリームの使い方

褥瘡へのゲーベンクリームの使い方

  1. 褥瘡とそのまわりを水道水(できれば37度のお湯)で十分洗います
  2. 1日1回、褥瘡を覆うのに十分な厚さ(約2~3mm)のゲーベンクリームを塗ります
  3. (医師から指示があれば)
    塗ったゲーベンクリームをガーゼや包帯などで軽く覆います

十分な量のゲーベンクリームを、褥瘡に接触させることが大切です。

やけどへのゲーベンクリームの使い方

やけどは「冷却しながら創部を洗浄する」という初期対応が大切です。

  1. やけどの傷口とそのまわりを十分に水道水で洗い乾燥させる
  2. 1日1回、褥瘡を覆うのに十分な厚さ(約2~3mm)のゲーベンクリームを塗る
  3. (医師から指示があれば)塗ったゲーベンクリームをガーゼや包帯などで軽く覆います
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ゲーベンクリームの副作用

ゲーベン軟膏があればいいのですが、残念ながらありません。

ゲーベンクリームは褥瘡・やけどの傷口に直接塗るためしみて痛いです。
(クリームは意外としみやすい基剤です)

重要な基本的注意

軽症熱傷に使用すると、疼痛がみられるので使用しない

ゲーベンクリーム添付文書より

ゲーベンクリームの副作用頻度:6.88%

主な副作用 副作用頻度
疼痛(痛み) 4.12%
白血球減少 2.58%
発疹 0.77%

(再審査終了時)

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感染のない軽度のやけどはキズパワーパッドで十分

医療現場では褥瘡、熱傷治療に湿潤療法(モイストヒーリング)が取り入れられています。

湿潤療法キズパワーパッドがすごい! やけど・擦り傷・切り傷を早く治す仕組み
うちは子供が小さいので、顔・腕・足ところかまわず擦り傷・切り傷を作ります。キズパワーパッドを使えば医療現場で行われている湿潤療法(モイストヒーリング)が自宅でもできます。

バンドエイドキズパワーパッドは、やけど・擦り傷・切り傷を早くきれいに治す新タイプの絆創膏(ハイドロコロイド絆創膏)です。

キズパワーパッドが発売されてからは、湿潤療法が自宅でも簡単にできるようになりました。

キズパワーパッドは使い方が特殊ですが、

キズパワーパッドは貼り替えるタイミングの見極めさえできれば、貼ったら基本的には貼りっぱなしでOKで、使い方(貼り方、剥がし方)自体は簡単です。

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キズパワーパッドは使い方が特殊で、初めて使うときは本当に大丈夫?悪化しない?と不安になります。なぜならば、キズパワーパッドは、従来の絆創膏のように頻繁に貼り替えたりはしないからです。

まとめ

  1. 褥瘡(床ずれ)とは、長時間同じ場所が圧迫され、酸素や栄養が行き渡らなくなり、皮膚の一部が赤くなったり、ただれたりした跡のこと
  2. 低温やけどとは、低温熱源に長時間接触したところが、赤くなったり、ただれたりしている跡のこと
  3. ゲーベンクリームは、スルファジアジン銀を有効成分とする塗り薬
  4. ゲーベンクリームは、皮膚からで吸収されて効果を発揮する塗り薬ではない
    褥瘡・やけどでの菌と薬の接触により抗菌効果を発揮する
  5. ゲーベンクリームを褥瘡・やけどに塗るときは、十分に接触できる量を塗る
  6. ゲーベンクリームは褥瘡・やけどに塗るとけっこう痛い(副作用)