しもやけの原因は血行不良で、朝昼の気温差がしもやけを悪化させます。
手足の冷えにしもやけが加わってつらい日々を過ごすこともあるでしょう。
そんなときに頼りになるしもやけ薬がユベラ軟膏とヒルドイドです。
(あまり知られていませんが、ヒルドイドは血行促進作用もあるためしもやけにも応用できます)
本記事では次の3点を中心に解説します。
- しもやけ薬ユベラ軟膏
- しもやけにも使われることのあるヒルドイド
- ユベラ軟膏とヒルドイドの違い
しもやけの原因
手足指先や耳は、気温の冷温(血管の収縮・拡張)を繰り返すとしもやけになります。
特に、1日の気温差が10度以上になると、しもやけは起こりやくなります。
なぜなら、もともと手足指先や耳などには細かい血管が多く、血行のコントロールが難しいからです。
体には体温調節機能があります。
- 温かい
→血管を広げて血流をよくする。汗をかいて熱を放出する - 冷たい
→血管を縮めて血流を抑え、熱を外に逃がしにくくする
そのため、寒い冬になると血管が収縮して血圧が上がったり、血行が悪くなります。
しもやけは病院で治せる
しもやけぐらいで病院(内科・皮膚科)にいくのもね。と思っている方も多いと思います。
しかし、遠慮はいりません。
しもやけは凍瘡(とうそう)と呼ばれる抹消循環障害のひとつだからです。
しもやけはひどくなると、かゆみや痛みをともないます。
そのため、冬になるとしもやけで内科、皮膚科にかかる人は意外と多いです。
さあ、しもやけ薬をもらいにいきましょう。
しもやけ薬1:ユベラ軟膏
ユベラには軟膏と錠剤がありますが、しもやけ薬といえばユベラ軟膏を連想します。
『しもやけ飲み薬ユベラ錠(ビタミンE)ユベラNとの効果の違い』
ユベラ軟膏はトコフェロール(ビタミンE)とビタミンAを含む血行改善薬です。
- トコフェロール20mg/g
- ビタミンA油5mg/g
(ビタミンAとして5000ビタミンA単位)
ビタミンは油に溶ける脂溶性と、水に溶ける水溶性の2種類のビタミンがあります。
トコフェロール(ビタミンE)とビタミンAは脂溶性ビタミンです。脂溶性ビタミンは皮膚から吸収されることが知られています。
水溶性ビタミン:ビタミンB・Cなど
ほとんどのビタミン
『シナール(ビタミンC)の美白効果でシミ、紫外線(日焼け)対策』
ユベラ軟膏の使い方
しもやけ薬ユベラ軟膏の使い方は簡単で、1日2~3回、しもやけとその周囲にユベラ軟膏を塗りこむだけです。
しもやけの原因は血行不良ですので、マーサージをするようにユベラ軟膏を塗りこむのがいいです。
『これだけは知っておきたい!塗り薬の使い方(量・回数・順番)』
ユベラ軟膏の効果
- ユベラ軟膏に含まれるトコフェロール(ビタミンE)は、血行を良くして皮膚の温度が下がるのを防止します。
- ビタミンAは、皮膚の代謝を良くして皮膚が固くなるのを防止します。
効能又は効果
凍瘡(しもやけ)、進行性指掌角皮症、尋常性魚鱗癬、毛孔性苔癬、単純性粃糠疹、掌蹠角化症
ユベラ軟膏添付文書より
ユベラ軟膏の副作用
ユベラ軟膏には重大な副作用は報告されていませんが、総症例1461例中、33例(2.26%)の副作用が報告されています。(再評価結果時)
ユベラ軟膏の主な副作用
副作用 | 副作用頻度(%) |
---|---|
紅斑(赤み) | 0.75 |
瘙痒感(かゆみ) | 0.96 |
疼痛(痛み) | 0.21 |
小水疱 | 0.34 |
赤みと痛みはユベラ軟膏の主成分、もしくは基剤が合わなかったため起こったのでしょう。
ユベラ軟膏は遮光冷蔵庫保存
ユベラ軟膏は少し黄色い軟膏ですが、使っている間にどんどん黄色くなります。
ビタミンAは熱や光によって分解されるからです。
分解を(黄色くなるのを)防止するために、ユベラ軟膏は遮光して冷蔵庫に保存します。
黄色くなったユベラ軟膏は1シーズンは使えますが、次のシーズンまでは有効期限が持ちません。
ユベラ軟膏は製造されてからチューブ入りで21カ月、容器入りで15カ月が有効期限であり、ユベラ軟膏は製造・流通後、薬局に納品されたころには数カ月は経過しているからです。
(しもやけ薬は繁忙期以外の流通が少ない)
ユベラ軟膏の市販
ユベラ軟膏の市販にはユベラリッチがありましたが、2015年に製造中止されました。
2017年現在、ユベラ軟膏の市販はありません。
それでは味気ないので代替薬を紹介しておきます。
ザーネクリームはトコフェロール(ビタミンE)を含むため、しもやけ薬としても使えます。
しもやけ薬2:ヒルドイド
ヒルドイドクリーム、ソフト軟膏、ローション、フォームは保湿剤として使われています。
ヒルドイドは被覆性(定着性)と塗り心地が違います。
ヒルドイドの種類 | 被覆性 | 塗り心地 |
---|---|---|
ソフト軟膏 | 強い | しっとり |
クリーム | ↑↓ | ↑↓ |
ローション | ↑↓ | ↑↓ |
フォーム | 弱い | さっぱり |
『ヒルドイドを顔に!ソフト軟膏、クリーム、ローション、フォーム どれがベスト?』
ヒルドイドの血行促進効果
(あまり知られていませんが)ヒルドイドの成分ヘパリン類似物質には血行を良くする効果もあります。
それを利用して、ヒルドイドをしもやけ薬として使うのです。
『ヒルドイドの保湿効果は凄すぎる!さらに傷跡、ケロイド、しもやけにも』
ヒルドイドの使い方
ヒルドイドの使い方(塗り方)はユベラ軟膏と同じです。
1日2~3回、しもやけとその周囲にマッサージするように塗りこみます。
『ヒルドイドの使い方 赤ちゃんみたいなプルプル肌になる7つのヒント』
ヒルドイドの市販
ヒルドイドとその市販は保湿目的で使われるケースがほとんどですが、しもやけ薬としても使えます。
ユベラ軟膏とヒルドイドの違い
ユベラ軟膏 | ヒルドイド | |
---|---|---|
成分 | ビタミンE ビタミンA |
ヘパリン類似物質 |
種類 | 軟膏 | ソフト軟膏 ローション クリーム フォーム |
作用 | 血行促進 | 保湿 血行促進 傷をキレイに |
主な使用 | しもやけ | 保湿 |
顔 | △ 顔はしもやけにならない |
○ |
保存 | 冷蔵庫 | 室温 |
市販薬 | × | ○ |
まとめ
- しもやけの主な原因は温度差による血行不良
- 皮膚科ではユベラ軟膏、ユベラ錠、ヒルドイドなどがしもやけ薬として使われている
- ユベラ軟膏の主成分はビタミンEとビタミンA
- ユベラ軟膏は使っている間に黄色が濃くなっていくが1シーズン使える(冷蔵庫保存)
- 保湿剤として有名なヒルドイドは、しもやけ治療にも使える(血行促進作用あり)
- ユベラ軟膏、ヒルドイドは1日2~3回マッサージするようにしもやけにすり込む
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