クラリチンは2002年に発売された、花粉症などによる鼻水、くしゃみ。蕁麻疹、湿疹などによるかゆみに効果がある第2世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)です。
- 2012年
クラリチンのジェネリックロラタジン発売 - 2016年11月
クラリチンの活性代謝物デザレックス発売 - 2017年1月
クラリチンの市販クラリチンEX発売
クラリチンは眠くならないけれど、もっぱら花粉症に効かないと聞きます。
ほとんどの花粉症薬にいえることですが、花粉症の症状が出てからでは抗アレルギー薬はなかなか効いてきません。
特にクラリチンはその傾向が強いかもしれません。
クラリチン、ジェネリック、市販の効果的な飲み方を解説します。
※「眠気の少ない」を「眠くならない」と表現します。
クラリチンとは
クラリチンは、ロラタジンを主成分とする、非鎮静性長時間作用型の第2世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)です。
現在、クラリチン関係の薬は3種類です。
- ジェネリックロラタジン
- 活性代謝物デザレックス
- 市販クラリチンEX
花粉症と第1世代抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬
第1世代抗ヒスタミン薬は、脳内ヒスタミンのブロック率が高いため、眠気、ふらつき、だるさなどの副作用が起こりやすいです。
そのため、第1世代抗ヒスタミン薬は、花粉症に積極的に使用されていません。
余談ですが、乗り物酔いを抑えるトラベルミンも第1世代抗ヒスタミン薬を使っています。
そのため眠気の副作用を起こす頻度が高いです。
脳内ヒスタミンのブロック率を低くして、眠気、ふらつき、だるさなどの副作用を起こりにくくした薬が第2世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)です。
※矢印の太さがヒスタミンをブロックする強さ
花粉症の治療には、第2世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)が主に使われています。
花粉症と抗アレルギー薬
抗アレルギー薬の場合、副作用(眠気)が出る出ないは、脳内ヒスタミンのブロック率(脳内H1受容体占有率)が関係しています。
脳内ヒスタミンのブロック率が低い抗アレルギー薬は、副作用(眠気)が少ないです。
脳内ヒスタミンブロック率によって抗ヒスタミン薬は3グループに分類。
- 50%以上
鎮静性(眠気++) - 20%以上~50%未満
軽度鎮静性(眠気+) - 20%未満
非鎮静性(眠気±)
クラリチンは3種類
クラリチンは、通常の錠剤、レディタブと呼ばれる口腔崩壊錠(ジェネリックはOD錠、ODフィルム)、粉薬のドライシロップ(主に子供用)の3種類の剤形が発売されています。
クラリチン錠
2002年発売
クラリチンレディタブ
2004年発売
クラリチンドライシロップ
2007年発売
世界に目を向けると、クラリチンは1996年に発売されており、ロラタジンとプソイドエフェドリンの配合剤も発売されています。(アメリカ)
日本では、フェキソフェナジン(アレグラの成分)とプソイドエフェドリンの配合剤ディレグラが発売されています。
→『ディレグラの強さが増す飲み方は食前食後?花粉症に効かないときは?』
さらに、スイッチOTC薬として承認され、現在クラリチンは市販薬として販売されています。(アメリカ)
<2017年2月7日追記>
クラリチンの市販、クラリチンEXが1月24日発売(後述)
クラリチンのジェネリック「ロラタジン」
クラリチンと、ジェネリックであるロラタジンの効果は同等です。
クラリチンのジェネリックには、OD錠を薄くしたODフィルムという珍しい剤形もあります。
ロラタジンODフィルム「モチダ」
ジェネリック「ロラタジン」の薬価はクラリチンの半分程度ですので、花粉症の症状が出る前から(なぜ、出る前から飲むのかは後述)飲む抵抗も少なくおすすめです。
スギ花粉症シーズンの2月~4月まで90日間飲み続けたとしても、4000円(3割負担で1300円)程度のコストで済みます。(別途、技術料などは必要)
花粉症薬 | 薬価 |
---|---|
クラリチン(先発) | 86.7 |
ロラタジン(ジェネリック) | 40.2~44.7 |
クラリチン(ロラタジン)の市販薬 クラリチンEX発売
出典:大正製薬HP
クラリチンの主成分ロラタジンが、2017年1月13日付で要指導医薬品(厚生労働省HP)に指定され、クラリチンの市販(クラリチンEX)は、1月24日に発売されました。
クラリチンEX(市販)とクラリチン(薬局)の飲み方、年齢の違い
大人の場合、クラリチンEX(市販)とクラリチン(薬局)の飲み方の違いはありません。1日1回に1錠です。
子供はクラリチンEX(市販)は服用できません。
– | 花粉症薬 | 3歳~6歳 | 7歳以上 | 15歳以上 |
---|---|---|---|---|
市販 | クラリチンEX | × | × | 1錠 |
薬局 | クラリチン錠 クラリチンレディタブ |
× | × | 1錠 |
クラリチンドライシロップ | 0.5g | 1g | 1g |
クラリチンEX(市販)とクラリチン(薬局)の効能の違い
クラリチンEX(市販)とクラリチン(薬局)は効能が違います。
クラリチンEX(市販)は花粉症やハウスダストなどの鼻アレルギーに限定して使用します。
効能 | |
---|---|
クラリチンEX (市販) |
花粉症、ハウスダストなどの鼻アレルギー (くしゃみ、鼻水、鼻閉など) |
クラリチン (薬局) |
アレルギー性鼻炎 蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、湿疹などのかゆみ |
クラリチン(ロラタジン)の飲み方
大人(15歳以上)
1日1回、食後にクラリチン(ロラタジン)を1錠服用します。
また、効果が不十分なときは医師の判断で増量が可能です。
子供
- 3歳以上7歳未満はロラタジンとして1回0.5g(半袋)
- 7歳以上は1回1g(1袋)
1日1回、食後にクラリチンドライシロップを服用します。
クラリチン(ロラタジン)の食事の影響
クラリチンの主成分ロラタジンは、服用すると肝臓で活性代謝物デスロラタジン(デスカルボキシロラタジン)に変化して花粉症などに効果を示します。
ロラタジンは食事の影響を受け、空腹時に服用すると血中濃度が下がりますが、デスロラタジンは食事の影響を受けません。
デザレックスインタビューフォームより
ロラタジンとデスロラタジンの花粉症に対する効果を比較すると、デスロラタジンが圧倒的に強いため、クラリチンは食事の影響を受けません。
クラリチン(ロラタジン)の効果
クラリチン(ロラタジン)錠剤、レディタブ(OD錠)、ジェネリック、市販の効果は同等です。
国内臨床試験によると、クラリチン(ロラタジン)は、通年性アレルギー性鼻炎に対する改善率(中等度改善以上)52.7%です。
通年性アレルギー性鼻炎とは、春に起こる花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)とは違い、一年中花粉症のような症状が出るアレルギーのことです。
クラリチン(ロラタジン)の副作用(眠気)
クラリチンは眠くならない
15歳以上の大人を対象にした製造販売後調査によると、クラリチンを服用した1.6%(7,049例中110例)に副作用が認められました。
主な副作用
副作用 | 頻度(%) |
---|---|
眠気 | 0.7 |
腹痛 | 0.1 |
喉の渇き | 0.1 |
便秘 | 0.1 |
クラリチン(ロラタジン)は、眠気などの副作用の頻度が相当低いことがわかります。
さらに、クラリチンはサーキット場での自動車の運転能力に影響を与えないこと。
パイロットのフライトシミュレーション試験でも、航空機操作能力に影響を与えないことが試験で確認されています。
総合すると、クラリチンは日常の生活に影響を与えないと考えられます。
クラリチン(ロラタジン)は効かない?
効果比較: クラリチン(ロラタジン)VSアレグラ
クラリチン(ロラタジン)は、花粉症薬の中では効果が強いといわれているアレロックやザイザルと比べると、効果が劣ります。
クラリチン(ロラタジン)は眠気はないけれど、もっぱら花粉症にも効かないとも聞きます。
確かに私もクラリチン(ロラタジン)の効果はアレグラと同等か、やや弱いイメージを持っています。
(個人差あり:クラリチンは効かないという人もいれば、効く人もいる)
<参考>
抗アレルギー薬の花粉症の鼻症状への効果(強さ)を、私の主観で並べ替えると次の順です。
- アレロック
- ザイザル
- クラリチン
- アレジオン
- エバステル
- タリオン
- アレグラ
- クラリチン
アレグラは1日2回、クラリチン(ロラタジン)は1日1回
アレグラも眠くならない花粉症薬として有名ですが、1日2回飲まなくてはなりません。
クラリチン(ロラタジン)は1日1回の服用でOKです。
1日1回でアレグラと近い効果が得られるのであれば、アレグラの代わりにクラリチン(ロラタジン)も選択のひとつになるのではないでしょうか。
花粉症対策に必要なコストもクラリチン<アレグラです。
クラリチンのジェネリック「ロラタジン」はそれ以上です。
花粉症薬 | 薬価 | 1日薬価 (値段) |
---|---|---|
アレグラ | 64.9 | 129.8 |
クラリチン | 86.7 | 86.7 |
ロラタジン (ジェネリック) |
40.2 ~44.7 |
40.2 ~44.7 |
クラリチン(ロラタジン)の花粉症予防薬としての飲み方
セレスタミンは別格ですが、ほとんどの花粉症薬は花粉症の症状が出てからでは、なかなか薬は効いてきません。
クラリチン(ロラタジン)はさらにその傾向が強いようです。
クラリチン(ロラタジン)は、花粉症予防薬として服用した場合、期待以上の効果を発揮するかもしれません。
2016年1月20日にクラリチンのジェネリックであるロラタジン10mg錠「ファイザー」の花粉症予防薬として服用しました。
2016年シーズンは花粉症の症状がなかったことを、こちらの記事の最後で報告しています。
ロラタジン10mg錠「ファイザー」の手持ちがなくなったため、途中からアレグラに変更しました。
(アレグラは1日2回であるため何度か飲み忘れています)
花粉症の予防と治療で重要なことは、目のかゆみ、鼻水、鼻づまりの症状がなくても、軽くても、花粉が飛散している間は継続して薬を使用することです。
さらに、最近では、花粉が飛散する前から花粉症薬を服用する予防投与が花粉症対策で重要になりつつあります。
本剤(クラリチン)を季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。
クラリチンインタビューフォームより
まとめ
- クラリチンは、ロラタジンを主成分とする、非鎮静性長時間作用型の抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
- クラリチンは、通常の錠剤、レディタブと呼ばれる口腔崩壊錠、粉薬のドライシロップ(主に子供用)の3種類の剤形が発売
- クラリチンの通年性アレルギー性鼻炎に対する改善率は52.7%。(国内臨床試験より)
- クラリチンは花粉症薬の中では、日常の生活に影響を与えない眠気のない抗アレルギー薬
- 花粉症の症状が出てからでは、なかなか花粉症薬は効いてこない。クラリチンはその傾向が強い
- クラリチンを花粉症予防薬として服用した場合、期待以上の効果を発揮してくれるかもしれない
- クラリチンはジェネリックと市販もある
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