パタノールは花粉症目薬の中では処方頻度の高い抗アレルギー目薬です。
花粉症の時期に一度は使ったことがあるのではないでしょうか?
パタノール点眼液の主成分はアレロック錠と同じオロパタジンです。
オロパタジンの強い抗ヒスタミン作用は花粉症に有効です。
「どうしようもない花粉症にはアレロック」と言われるくらいです。
しかしながら、その点眼液パタノールは「花粉症に効かない」という意見も多いようです。
パタノールの効く・効かないが起こる謎。効果的な使い方を中心に解説します。
花粉症の目の症状
花粉症は、鼻水、鼻づまり、鼻の違和感、くしゃみなどの鼻症状が強いイメージですが、目にも花粉症のツライ症状が出ることがあります。
花粉症の目の3大症状は目のかゆみ、充血、涙が出るです。
このような目の症状をしずめるために、一番最初に試される薬が抗アレルギー成分を含む花粉症目薬です。
花粉症目薬は使いわけがマズイと効かない?
花粉症目薬は大きく分けて症状別に4種類あり、使い分けが必要です。
花粉症目薬の種類 | 主な効果 | 即効性 | 例 |
---|---|---|---|
抗アレルギー型 | かゆみ 充血 |
×~△ | パタノール アレジオン ザジテン リボスチン |
ステロイド型 | かゆみ まぶたの腫れ |
△~○ | フルメトロン リンデロン オドメール |
抗菌型 | まぶたの腫れ 充血 目やに |
△ | クラビット ガチフロ ベガモックス |
免疫抑制型 | ひどいかゆみ 充血 まぶたの腫れ |
△ | タリムス パピロックミニ |
この違いを知らないで花粉症目薬を使っても大きな効果は得られません。
『眼科受診者必見!あなたの目の症状に合う花粉症目薬はコレ!』
また、目の花粉症に中心的な役割を果たす薬が抗アレルギー目薬ですが、効く・効かないの個人差が大きい薬でもあります。
パタノール点眼液
パタノールが発売されるまでは、花粉症にはリボスチン、ザジテンがよく使われていました。
↓花粉症でよく処方される抗アレルギー目薬
パタノール点眼液の主成分はアレロックと同じオロパタジンです。
(「アレロック点眼液」の名前で発売しなかったのが不思議なくらい)
オロパタジンの強い抗ヒスタミン作用が花粉症の目の症状(かゆみ、充血)を緩和します。
『アレロック(オロパタジン)は花粉症に強い効果!でも副作用で眠い』
パタノール点眼液は花粉症に効かない?
抗アレルギー目薬は作用別で3種類に分類できます。
- 抗ヒスタミン作用
- ケミカルメディエーター遊離抑制作用
- 両方の作用(←パタノール)
花粉症の目のかゆみに即効性があり、効果の満足度が高いのは抗ヒスタミン作用を持つタイプです。
ケミカルメディエーター遊離抑制作用タイプは即効性はないためすぐに効きません。
花粉症予防に花粉症シーズン前から使うのが望ましいです。
つまり、パタノール点眼液は「抗ヒスタミン作用」と「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」の2つの作用があため、花粉症治療と予防に強い効果が期待でます。
と言いたいところですが、期待とは裏腹に、そのパタノールでさえも症状が出てから使っても、すぐには効きません。
『パタノールとアレジオン あなたに合う花粉症目薬はどっち?』
パタノール点眼液の効果はいつ?
それでは、パタノール点眼液の効果を実感するにはどのくらいの期間が必要なのでしょうか?
メーカーが行った試験からは、パタノールは効果が出るまで1~2週間程度の期間が必要であることがわかります。
目のかゆみへの効果
(そう痒感重症度点数)
目の充血への効果
(眼瞼及び眼球結膜充血の重症度合計点数)
パタノール点眼液の使い方
パタノール点眼液は下記のどちらかの点眼方法で朝・昼・夕・寝る前1日4回・1回1滴点眼します。
出典:日本アルコンHP
パタノール点眼液1本で約160滴(20日分)使えます。
パタノールの保存と使用期限
パタノール点眼液は1日4回が原則ですが、点し忘れることもあると思います。
開封後のパタノールの使用期限は、遮光、室温保存(1~30℃)の保存条件で約1カ月です。
(開封前はパタノール容器に記載の使用期限までOKです)
パタノールとコンタクト
パタノール点眼液は添加物(ベンザルコニウム)が使われているため、コンタクトをしたまま使えません。(ハードコンタクトはOK)
本剤に含まれているベンザルコニウム塩化物は、ソフトコンタクトに吸着されることがあるので、点眼時はコンタクトをはずし、10分以上経過後装用すること
パタノール点眼液添付文書より
そのときは、コンタクトをする前の朝、コンタクトを取った後の夜、1日2回パタノール点眼液の使用でも1日4回使ったときに近い効果が期待できます。
詳しくは、「パタノール点眼液はコンタクト装着前後でOK」で解説しています。
パタノールは子供に使える?
パタノールは点眼可能であれば、子供でも普通に使うことができます。
使い方は子供も大人と同じで、1日4回・1回1滴です。
パタノール点眼液は使ったときの違和感(不快感、刺激感)もほとんどないため、子供も安心してして使えます。
(くわしくは「パタノール点眼液はしみない目薬」で解説しています)
パタノール点眼液はコンタクト装着前後でOK
パタノール点眼液は、コンタクト装着前後の1日2回の点眼でも、1日4回使ったときと近い効果が期待できます。
パタノールかゆみ軽減効果(1日2回 vs. 4回)
後期第Ⅱ相試験より
コンタクトしたままOKな花粉症目薬に「アレジオン」があります。
『アレジオン点眼液はコンタクトしたままOK!花粉症にも大活躍』
パタノール点眼液の副作用
パタノール点眼液は点し心地が良好です。刺激感の副作用がほとんどありません。
ですので、子供安心して使えます。
副作用 | 副作用頻度 |
---|---|
刺激感 | 0.1% |
痛み | 0.1% |
かゆみ | 0.1% |
副作用全体 | 0.6% |
- 1歳以上7歳未満の子供:副作用0%
- 7歳以上15歳未満の子供:副作用0.8%
(使用成績調査及び特定使用成績調査より)
パタノールはしみない目薬
それでは、なぜパタノールはしみないのでしょうか?
それは、パタノールが涙の成分に近い目薬だからです。
比較 | pH | 浸透圧比 |
---|---|---|
パタノール | 7.0 | 0.9~1.1 |
涙 | 7.0~7.5 | 1.0 |
そのため、パタノール点眼液は点眼後の違和感(不快感、刺激感)がほとんどありません。
(涙のpHと浸透圧比に近い→しみない)
パタノールと他の目薬との併用
パタノールと同じ抗アレルギー目薬は、併用する理由がありません。
花粉の飛散量が多い日が続いたときや、花粉症の治療が遅れたたときなどは、抗アレルギー目薬だけでは、花粉症の目のかゆみが治まらないことがあります。
その場合は、普段はパタノールを使い、特にひどい時にフルメトロン、リンデロンなどのステロイド目薬の併用がおすすめです。
『フルメトロンとリンデロン 花粉症に使うならどっちの目薬を選ぶ?』
さらに、花粉症の目をこすったりしていると、細菌が感染して目がべとべとになったり、ものもらいのように腫れたり、眼脂(めやに)が出たりすることもあります。
その場合は、クラビット、ガチフロ、ベガモックスなどの抗菌目薬とパタノールの併用がおすすめです。
『ものもらい目薬 クラビット・ガチフロ・ベガモックスの違い』
抗アレルギー内服薬やセレスタミンはひどい花粉症にはよく使われます。
パタノールとの併用もOKです。
『セレスタミンの強さの秘密はステロイド!だから花粉症に効果抜群』
まとめ
- パタノールの主成分はアレロック錠と同じオロパタジン
- パタノール(抗アレルギー目薬)は効く、効かないは個人差が大きい
- 花粉症の目のかゆみに即効性があるのは、抗ヒスタミン作用を持つ目薬。
予防に有効なのが、ケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ目薬。
であるが、実際はどちらもかゆみが出てからではすぐに効かない - パタノールは効果が出るまで1~2週間程度の期間が必要
- パタノールの効果は花粉症による目のかゆみや充血の症状の緩和
- パタノールはしみない。点眼可能であれば子供でも安心して使える
- パタノールは、コンタクト装着前後の1日2回の使用でもOK
(1日4回と近い効果が期待できる) - パタノールはものもらい、目やにを直接治療する目薬ではない
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