軟膏(塗り薬)の塗り方 いつ、何回、塗る量は?ステロイド軟膏を中心に解説

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軟膏(塗り薬)の効果は、「1日に塗る回数」と「1回に塗る量」で決まります。

薬局では、塗る回数は教えてくれても、塗る量まで教えてくれるところは少ないと思います。

なぜならば、ほとんどの軟膏(塗り薬)の「塗る量」は、添付文書上に記載がありません。塗る量のルールが一般化されていないため答えにくいのです。

しかし、ステロイド軟膏には塗る量の目安が存在します。

今回はステロイド軟膏の薬の塗る量を中心に、軟膏の塗り方について解説します。
また、「塗る量」が添付文書上に記載がない理由についても触れます。

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軟膏、クリーム、ローションの塗り方の基本

軟膏、クリームの吸収量は塗る場所によって異なります

塗り薬の軟膏とクリームの違いは基剤!吸収率、使用感で使い分ける
使用感、効果、吸収率、吸収速度を決める要素のひとつが基剤です。塗り薬の治療においては、有効成分と同じくらい基剤の選択がキーポイントになります。軟膏とクリームのどちらがよく効くのでしょうか?

塗り方の基本1
軟膏を使う前に、最初に手(特に指と爪)をキレイに洗う
塗り方の基本2
軟膏、クリームのチューブの先は綺麗に保つ

汚れた指でチューブの先端を触ると、そこが汚染されます。傷口に汚染された薬を塗ると、感染性の皮膚炎等を起こす原因となります。チューブの先端が汚染されないように清潔に保ちます。

塗り方の基本3
軟膏、クリーム、ローション等の先端を直接患部に付けない

【塗り方の基本2】と同様の理由で、汚染される原因となります。ローションは頭皮に使う目的で処方されることが多いですが、頭皮や髪の毛に先端が付かないように垂らすか、指で取って使用します。

塗り方の基本4
しわは横にでることが多いです。縦に塗るとしわに軟膏がたまることがあるため、横に塗ります。
塗り方の基本5
保湿剤(ヒルドイド等)尿素系クリーム(ケラチナミン等)は、塗擦する

塗擦(とさつ)とは、軽く擦りこむように塗ることです。あまり強く擦りこむと、アカのようなものが出たり、刺激となって痒みの原因になりますので、ほどほどに擦りこみます。

塗り方の基本6
ステロイド軟膏は塗布する

塗布とは、塗り広げることです。

薬剤師が軟膏(塗り薬)の塗る量の説明をしないわけ

飲み薬の添付文書

通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

ベルソムラ(睡眠薬)添付文書より

内服薬(飲み薬)の場合、添付文書の用法、用量の項目に飲み方と飲む量の記載があります。

【睡眠薬ベルソムラの効果、副作用、禁忌、悪夢】効かないってホント?
ベルソムラは新しい作用を持つ睡眠薬です。発売後のデータの蓄積がまだまだ不十分で、わからないことが多いですが、、メーカーが公表しているデータに基づいて効果、副作用、依存性を中心に解説します。

塗り薬の添付文書

通常1日1~数回適量を塗布する。なお、症状により適宜増減する

デルモベート軟膏/クリーム添付文書より

しかし、軟膏(塗り薬)の添付文書上の表記は、かなりアバウトです。1回~数回は何とでも解釈できてしまいます。

薬剤師は薬の専門家です。

薬の知識がありますが、医師ではないため、診察して症状を診ることができません。上記の添付文書のとおり、ほとんどの塗り薬には、塗る量の記載がありません。

そのことが原因で、薬剤師は軟膏等の塗り薬については
「塗り薬はうすく広げて塗ってください」
と無難な説明になってしまうのです。

ステロイド軟膏の塗布量(塗る量)

ステロイド軟膏の誤った知識について

アトピー治療で使うステロイドの副作用の真実とウソ
ステロイド軟膏は正しく使えば、アトピーなどの炎症をすばやく押さえ込み、QOLの向上させる薬です。しかし、ステロイドは怖いものとして認知されているようです。Q&A形式で副作用を整理します。

軟膏の口径説明

1本5g~25gの塗り薬です。チューブ先端の大きさ(太さ)に注目

ステロイド軟膏の塗る量は、一般的に次の量が目安と言われています。

1FTP:フィンガーティップユニット
= 0.5g → 【手のひら2枚分】

1FTPとは、「先端口径5mm」のチューブから人差し指の第1関節から先端まで絞りだした時の量のことで、約0.5gです。

一般的な1FTPの説明は、上記の「先端口径5mm」が忘れ去られていることが多く、実際は商品によってチューブの先端口径の大きさが異なります。

そのため、一概に第1関節から先端まで絞り出した時の量が0.5gとは言えません

キンダベート軟膏(先端口径約3mm)の1FTUは?

キンダベート軟膏を第1関節から人差し指の先端まで絞りだした量

1本5gのキンダベート軟膏(先端口径約3mm)を第1関節から人差し指の先端まで絞りだした量は0.24gで、1FTU0.5gの半分しかありませんでした。

ヒルドイドソフト軟膏(先端口径約5mm)の1FTUは?

ヒルドイドソフト軟膏を第1関節から人差し指の先端まで絞りだした量

1本25gのヒルドイドソフト軟膏(先端口径約5mm)で調べてみると0.51gでした。

先端口径の5mmという条件が重要で、これを忘れてはステロイド軟膏の目安量を塗れないということがわかります。

5gチューブのステロイド軟膏の塗る量

キンダベート軟膏の0.5g(第1関節から人差し指の先端までの2本分)

キンダベート軟膏を2本取ってみた例(約0.5g)

他の5gチューブのステロイド軟膏を数本試し、平均すると約0.1g/軟膏1cmになりました。

ステロイド軟膏は1本5g(先端口径約3mm)の製品が多いため

第1関節から先端までとった量(約0.25g)を手のひら1枚分に塗ればよい

この量が、5gチューブのステロイド軟膏を塗布するときの基本となる量です。

ステロイド軟膏の部位別、塗る量の目安

 成人のステロイド軟膏の塗る量の目安

部位(塗る場所) 指上の本数
顔、首 1.25g 5本
腕から手まで
(片側)
2g 8本
太ももからつま先
(片側)
4g 16本
胸、腹 3.5g 14本
背中 3.5g 14本

手のひら1枚分くらいの面積は、体表面積の約1%に相当します。頭からつま先まで全て塗るのに必要な理論上のステロイド軟膏の量は、25g(5gチューブ5本分)に相当します。

思ったよりたくさん塗ると思いませんでしたか?
ほとんどの方のステロイド軟膏の塗布量は、目安の半分以下程度だと思います。

背中に軟膏を塗るときの便利アイテム

ヒルドイドなどの保湿剤の塗擦量(塗る量)

保湿剤ヒルドイドの効果を最大にする使い方(塗り方、順番、量)と副作用
ヒルドイドは、ネットではアンチエイジングクリームとして紹介されています。ヒルドイドは保湿効果に優れますが、塗り方、量、回数を守ることで最大の効果を発揮します。

ヒルドイドの保湿効果を得られる最も簡単な塗る量の目安は、ヒルドイドを塗ったところにティッシュが貼りつくくらい(ちょっと塗り過ぎたかなと思えるくらい)の量です。

ヒルドイドを塗った後にティッシュが貼りついている

出典:マルホHP

塗擦量が少なすぎると、期待した効果が得られません。

夏場等でべとべとして気持ちが悪い場合は、塗る回数を増やしてみてください。

塗り薬の効果は、塗る量と塗る回数で決まります。

保湿剤の剤形は、軟膏、クリーム、ローション等様々ですが、同じ量を塗擦しないと同じ効果は得られません。
特にローション剤は水溶性成分が多く、伸びいいため薄く塗布してしまいがちです。

1日数回って何回?軟膏の塗布回数

アトピー薬プロトピック軟膏の効果、副作用と使い方をステロイドと比較 プロアクティブ療法とは?
プロトピック軟膏(タクロリムス)とステロイド軟膏を用いた新しいタイプの治療法「プロアクティブ療法」が広まってきています。プロアクティブ療法は、再発を防ぎ、良好な状態を保つ治療法の一種です。

軟膏は「1日数回塗って下さいね」と薬剤師に言われることも多いかと思います。

【薬剤師が軟膏等の塗り薬の塗布量の説明をしないわけ】の項目で説明した理由と同様で、添付文書に回数の記載がない薬が多いからです。

ステロイド軟膏とヒルドイドのなどの保湿剤の「1日数回」とは、1日1回~3回くらいのことを指すことが多いです。

塗布、塗擦回数の目安

  • プロトピック軟膏は、症状に合わせて1日1回~2回塗布
  • 水虫の薬(抗真菌薬)は、1日1回塗布
  • 保湿剤は、1日2.3回(入浴後は必ず)塗擦
  • ニキビの薬は、洗顔後1日1回~2回塗布

軟膏の塗布順、塗擦順(塗る順番)

皮膚科の混合軟膏メリット・デメリット 使用期限と保存のルールはある?
【混合動画有】皮膚科に行くと、プラスチック容器に入った薬を渡されることがあると思います。たいていそこには混合軟膏が入っています。軟膏の混合にはメリットとデメリットがあります。

同じ部位に2種類以上の薬を塗ることは、珍しいことではありません。

例えば、保湿剤とステロイド軟膏です。どちらを先に塗ればよいのでしょうか?
これも返答に困ってしまう質問のひとつです。

基本は処方した医師の指示通りに使用します。なぜなら、この保湿剤とステロイド軟膏の塗る順に関しては、独自の意見を持っている医師が少なくないからです。

ただし、保湿剤とステロイド軟膏の塗る順序のルールはありませんどの順番で塗っても効果に違いがでたというデータもありません。

ただし、医師からの指示がなければ、私は保湿剤を先に、ステロイド軟膏を後に塗るように言います。

ヒルドイド(保湿剤)をステロイド軟膏より先に塗る理由

  1. ステロイド軟膏は、炎症部分などに部分的に塗布します。保湿剤は炎症部分はもちろん、全身に塗ることが多いです。
    塗る場所が限定されているステロイド軟膏を先に塗布すると、保湿剤を塗る際(重ねる際)に、炎症部分以外の関係のない部分に、ステロイド軟膏をぬり広げてしまうことになるからです。

  2. 保湿剤の用法は「塗擦」であるため、先に保湿剤を塗らないと「塗擦」することができないからです。ステロイド軟膏を先に塗ると、保湿剤を「塗擦」するときに、一緒にステロイド軟膏も擦りこむことになります。

最適な塗布、塗擦のタイミング

水虫の薬(抗真菌薬)

爪水虫(爪白癬)の塗り薬ルコナックとクレナフィンの比較 効果、副作用、使い方(塗り方)
2016年4月、爪水虫に効果がある2番目の塗り薬ルコナックが発売されました。クレナフィンとは先端部分の形が異なるため、若干使用方法が違います。

水虫の薬は1日1回塗布するタイプがほとんどです。

水虫の薬は、入浴で清潔にして、よく乾燥させた後に塗布するのが最も効果的です。なぜなら、入浴後は皮膚が柔らかくなり、薬が浸透しやすいからです。

特に足の裏は皮膚が分厚いため、通常の状態ではなかなか薬は皮膚奥部へ浸透しません。

保湿剤(ヒルドイド、ビーソフテン、プロペトなど)

ヒルドイドとジェネリックのビーソフテン(ヘパリン類似物質)の違いは成分と塗り心地
ヒルドイドとジェネリックであるビーソフテンは、ヘパリン類似物質を有効成分とする有名な保湿剤です。効果は同等ですが、添加物成分が違うため、塗り心地に違いがあります。

必ず塗擦してもらいたいタイミングは、入浴後体を拭いてすぐ(5分以内)です。

入浴後は、皮膚は普段より水分を多く含んでいます。その水分を逃がさないためにも、すぐに塗擦です。もし塗り忘れた時は、思い出した時でもいいですので、できるだけ早くすり込みます。

入浴後に加えて、起床時にも塗ってください。それでも、日中にカサカサが続くようであれば、昼にも塗ります。

ニキビの薬(抗菌薬、ディフェリンゲル、ベピオベル、デュアック)

デュアック配合ゲルはベピオよりニキビに効果あり?使い方と副作用
2015年4月ベピオゲル、7月デュアック配合ゲルが立て続けに販売され、ニキビの世界標準治療に一歩近づきました。日本でのニキビ標準薬はディフェリンですが、その牙城を崩すことができるのでしょうか?

洗顔(ゴシゴシ擦って洗わない)して、化粧水や乳液で保湿してから塗ります。

まとめ

塗り薬は、水虫薬、ステロイド軟膏、保湿剤…、数多くあるため、塗り方、回数、順番は一般化できないものかもしれません。

しかし、化粧品に基本的なルールがあるのと同じで、塗り薬にも基本的なルールがあります。塗り薬も正しい塗り方を守らなければ、期待した効果は得られないでしょう。

  1. チューブの先端は清潔にする
  2. ステロイド軟膏には、基本となる塗布量がある
  3. 添付文書には、軟膏の塗る量や塗る回数の記載がないことが多い
  4. 保湿剤はステロイド軟膏より先に塗擦する方が、理にかなっている