妊婦必見!妊娠中の薬服用不安と心配を解くヒント その薬飲んで大丈夫?

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妊娠した女性が薬を飲んだ場合、胎児(おなかの中にいる赤ちゃん)に影響を与える可能性があることは、広く知られています。

そのため

「赤ちゃんによくないから薬は飲みません・飲みたくありません」

と言われることがあります。

妊婦さんは自分よりも赤ちゃんを一番に考えるため、気持ちはよくわかります。

妊娠から出産までは40週間の長旅です。

妊娠中のお母さんが病気などで体調を崩せば、赤ちゃんに悪い影響を与えます。

妊娠の時期(周期)によっても、薬が赤ちゃんへ与える影響は異なるため、注意する薬も多少違ってきます。

薬について積極的に勉強し、かしこく薬と付き合い、出産の日を迎えてください。

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出産そのもののリスク

薬を全く服用しなかった妊婦から生まれた赤ちゃんですら、3~5%は小さな異常も含めて発現します。

これはベースラインリスクと呼ばれています。

このベースラインリスクと比較して「薬の使用でどれだけリスクが上がるか」を考えることが大切です。

頭のかたすみにおいて、読み進めてください。

添付文書の問題点とFDA基準

妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与する

日本の薬には、メーカーが作成する医薬品添付文書と呼ばれる文書に法的根拠があります。

しかし、その添付文書の妊婦・産婦・授乳婦の項目には

治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与

の一文が多くあります。

そのため、妊婦への薬の投与が医師・薬剤師の判断に任されている部分が多いです。

妊婦・授乳婦禁忌(薬を飲んではいけない)も異常に多く記されており、妊婦・授乳婦の薬物治療を困難にしています。

医療現場では、「FDA Pregnancy Category(妊婦カテゴリー)」を妊婦に対する薬物治療の指標のひとつとして使われてきています。

FDA Pregnancy Categoryとは、アメリカの食品医薬品局による赤ちゃんに対する薬の危険度を示す評価基準です。

危険度に順じた5段階のカテゴリーがあります。

妊婦カテゴリー抜粋

カテゴリー 概要
A ヒト対照試験で、危険性がみいだされない
B ヒトでの危険性の証拠はない
C 危険性を否定することができない
D 危険性を示す確かな証拠がある
X 妊娠中は禁忌

 妊婦カテゴリーが分かる薬に関しては【A】【B】のように記載します。

 

授乳と薬について

授乳中に飲める薬・避ける薬(風邪、花粉症、インフルエンザ、喘息、うつ)
授乳中に使える薬は多くあります。母乳育児はメリットもたくさんありますので、安心して授乳が続けられるように病気別にまとめます。

妊娠に気付かず服用していたが問題ない薬

次の薬は、添付文書上は妊婦禁忌(妊婦は飲んではいけない)です。

しかし、妊娠初期に気付かず服用していても、赤ちゃんに影響をほとんど与えないと知られている薬です。(妊婦が常用する薬ではありません)

薬の分類 薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー

解熱鎮痛剤

インダシン インドメタシン B
ボルタレン ジクロフェナク C
クリノリル スリンダク C
モービック メロキシカム
抗生物質 クラビット レボフロキサシン C
タリビッド オフロキサシン C
オフロキサシン シプロフロキサシン C
バクシダール ノルフロキサシン C
バレオン ロメフロシサシン C
抗真菌剤 イトリゾール イトラコナゾール C
降圧剤 アムロジン アムロジピン C
ノルバスク
アダラート ニフェジピン C
ペルジピン ニカルジピン C
糖尿病薬 オイグルコン グリベンクラミド C
ダオニール
メトグルコ メトホルミン B
吐気止め ナウゼリン ドンペリドン
アレルギー薬 セルテクト オキサトミド  –
リザベン トラニラスト
アレギサール ペミロラスト C
便秘薬 プルゼニド センノシド

吐き気があるので、医師から処方された「ナウゼリン錠」を飲みました。
実は、妊娠していてつわりが吐き気の原因でした。

このような場合でも、気にすることはありません。これからナウゼリンの服用に注意すればよいだけです。

妊娠時期別、薬の影響度

妊婦は葉酸サプリメントをいつからいつまで飲む?効果は?フォリアミンとは?
妊娠前から葉酸を接種することで、赤ちゃんの障害、流産、奇形を予防し、妊婦の貧血、つわりの予防効果を期待することができます。効率的な葉酸サプリメントの飲み方とは?

妊娠期 妊娠超初期 妊娠初期 妊娠中期 妊娠後期
月数 1カ月 2カ月 4カ月 5カ月~7カ月 8カ月~10カ月
妊娠週数 0週~3週 4週~7週 8週~15週 16週~27週 28週~39週
薬の影響期 無影響期 絶対過敏期 相対過敏期 潜在過敏期
気を付ける主な薬 なし 主に催奇形性のある薬 主に胎児毒性のある薬
テグレトール
(カルバマゼピン)他
 
  ACE-I ARB
  NSAID
サイトテック(ミソプロストール)
ワーファリン(ワルファリン)

最終月経の生理初日を、1日目(0週0日)と数えます。
1週は7日、1カ月は4週(28日)と数えます。

妊娠前(受精前)の薬の影響

妊娠前は、体内に長時間蓄積されることが分かっている薬が問題です。

根拠があり、妊婦が服用しない方がいい代表的な薬(催奇形性あり)

薬の名前 一般名 主な用途 避妊必要期間
チガソン エトレチナート 乾癬
(かんせん)
女性は最低2年間
男性は最低半年間
レベトール リバビリン C型慢性肝炎 男女ともに服用中止後6カ月間
コペガス
アラバ レフルノミド リウマチ 女性最長2年間

催奇形性(さいきけいせい)とは
赤ちゃんに奇形(手足体・臓器などの変形)を作ること

妊娠前3カ月から妊娠初期3カ月までに、ビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から生まれた赤ちゃんにも、奇形が起こりやすいとも知られています。
チョコラ(ビタミンA)なども注意です。

無影響期の薬の影響
【妊娠3週末まで】

妊娠2週目に入ると受精卵は子宮に着床します(妊娠の成立)。

着床から約2週間は、薬の影響を受けません。

この時期は「細胞に障害がおよべば流産し、障害を乗り越えたならば、完全に障害は修復される」からです。

無影響期は妊娠に気づくこともありません。

絶対過敏期の薬の影響
【妊娠4週~妊娠7週末まで】

生理が来ないので、多くの方が妊娠4週~妊娠7週末の間に妊娠検査薬で陽性を確認します。そして産科を受診します。

妊娠に気付いたこの時期が最も重要で、絶対過敏期と言われ、赤ちゃんの体の形成に大事な時期です。

根拠があり、妊婦が服用しない方がいい代表的な薬(催奇形性あり)

薬の名前 一般名 主な用途
テグレトール カルバマゼピン けいれん発作
興奮状態の緩和
ミノアレ トリメタジオン 発作
アレビアチン フェニトイン けいれん発作
ヒダントール
デパケン バルプロ酸ナトリウム
セレニカ
フェノバール フェノバルビタール
リウマトレックス メトトレキサート リウマチ
メソトレキセート
サレド サイドマイド 多発性骨髄腫
ボンゾール ダナゾール 子宮内膜症・乳腺症
メルカゾール チアマゾール 甲状腺機能亢進症

相対過敏期の薬の影響
【妊娠8週~妊娠15週末まで】

人らしい体が完成してきます。絶対過敏期よりは危険度は低くなります。

根拠があり、妊婦が服用しない方がいい薬は「絶対過敏期」と同じです。

潜在過敏期の薬の影響
【妊娠16週~出産まで】

赤ちゃんの体はほぼ完成しているので、奇形はほとんど起こらなくなります。

赤ちゃんはこの時期から成長を加速させます。発育を悪くする薬(胎児毒性のある薬)が問題です。

根拠があり、妊婦が服用しない方がいい代表的な薬(胎児毒性あり)

テトラサイクリン系抗生物質

例示

薬の名前 一般名
ミノマイシン ミノサイクリン
ビブラマイシン ドキシサイクリン

皮膚科推奨ニキビ飲み薬 抗生物質ミノマイシン、ビブラマイシン、ルリッドの効果と副作用
皮膚科でよく使われるニキビの抗生物質の飲み薬は、ミノマイシン、ビブラマイシン、ルリッドです。学会の推奨度もBランク以上で、効果もお墨付きです。

すべてのアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)

例示

薬の名前 一般名
レニベース エナラプリル
ロンゲス リシノプリル
タナトリル イミダプリル

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)とは
アンジオテンシンⅠからアンジオテンシン Ⅱを作る酵素、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を生成しないようにする。
アンジオテンシンⅡは血圧を収縮(血圧上昇)したり血流をよくしたりする作用がある。

すべてのアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)

例示

薬の名前 一般名
ニューロタン ロサルタン
ディオバン バルサルタン
ブロプレス カンデサルタン

アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とは
アンジオテンシンⅡが受容体に結合(合体)するのを妨ぐ薬。
受容体とはスイッチのようなもので、物質が結合するとさまざまな作用が起こる。
ACE-IはアンジオテンシンⅡの生成を間接的に抑えることに対して、ARBは直接的にアンジオテンシンⅡのスイッチを押せないようにする。

妊娠28週~出産まで

根拠があり、妊婦が服用しない方がいい代表的な薬(胎児毒性あり)

すべての非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)

例示

薬の名前 一般名
ボルタレン ジクロフェナク
インダシン インドメタシン
ロキソニン ロキソプロフェン
セレコックス セレコキシブ
バファリン配合錠A アスピリン
(ダイアルミネート)

外用薬でも、ケトプロフェンを含む薬は妊婦禁忌扱いです。

薬の名前 成分名
モーラステープ ケトプロフェン
モーラスパップ
ミルタックスパップ
セクターローション
セクタークリーム
セクターゲル
妊娠中の腰痛 妊婦は湿布(ロキソニン、モーラステープetc)大丈夫?
妊婦の腰痛で湿布を処方してもらいました。別の病院で湿布を処方してもらいにいったら、妊婦に湿布はだせないと断られました。どちらが正しいのでしょうか?

非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)とは
痛み・発熱の原因のひとつであるプロスタグランジン(PG)の生成を妨ぐ。
現在最もよく使われる解熱鎮痛剤。

妊娠全時期

根拠があり、妊婦が服用しない方がいい代表的な薬

薬の名前 一般名
サイトテック ミソプロストール
ワーファリン ワルファリン

妊婦と治療薬

赤ちゃんに与える影響が少ないと考えられている薬で、妊婦の治療のために使用される場合がある薬を例示します。

記載のない薬は、妊婦が服用してはいけないという意味ではありません。

妊婦と風邪薬

風邪は軽い症状であれば自然に回復しますが、つらい時は産科医師に相談してから薬を服用します。

解熱鎮痛剤は注意が必要

妊娠中は、赤ちゃんに継続して栄養を与えなくてはならないため、体の抵抗力が下がっています。

そのため、妊婦はちょっとしたことで風邪をひいたり、こじらせてしまいがちです。

自己判断で、家にある置き薬や昔もらった処方箋薬の使用は避けてください。

ロキソニン(ロキソプロフェン)は妊娠28週以降で気を受けるべき薬でしたね。

ロキソニンSやロキソニンSプラスは市販薬として容易にドラッグストアなどで購入できますので、妊婦は注意が必要です。

妊婦の風邪で使用される薬の例

薬の名前 一般名 妊婦
カテゴリー
種類
アストミン ジメモルファンリン 咳止め
エリスロシン エリスロシン 【B】 抗生物質
カロナール アセトアミノフェン 【B】 解熱鎮痛剤
コカール アセトアミノフェン 【B】 解熱鎮痛剤
サワシリン アモキシシリン 【B】 抗生物質
パセトシン
アモリン
ジスロマック アジスロマイシン 【B】 抗生物質
セフゾン セフジニル 【B】 抗生物質
ソランタール チアラミド 【B】 解熱鎮痛剤
ビソルボン ブロムヘキシン 去痰
フラベリック ベンプロペリン 咳止め
フロモックス セフカペンピボキシル 【B】 抗生物質
ペントイル エモルファゾン 【B】 解熱鎮痛剤
ムコソルバン アンブロキソール 去痰
ムコサール
ムコダイン カルボシステイン 去痰
メイアクトMS セフジトレンピボキシル 【B】 抗生物質
メジコン デキストロメトルファン 咳止め
葛根湯 カッコントウ 総合感冒
小青竜湯 ショウセイリュウトウ 鼻水止め
麦門冬湯 バクモンドウトウ 咳止め

妊婦と花粉症

鼻水をかむ女性

妊娠中は、ホルモンバランスが崩れやすいため、鼻が特に詰まりやすくなります。

花粉症のピークは3月頃で、妊婦は時期の外出はできるだけ控えたほうがよいです。洗濯物は部屋で干してください。

ポララミンタベジールは古典的な薬ですが、妊婦への使用経験が多くデータが豊富なため、使用頻度が高い薬です。

妊婦に眠気などが起こると、集中力の低下・ふらつき・転倒の原因になるため、眠気が少ないタイプの抗アレルギー剤が適しています。

【アレグラ、ザイザル、アレロック、アレジオン】副作用(眠気)の少ない花粉症薬はどれ?
「花粉症によく効く抗アレルギー薬は、眠気も強い」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。インペアードパフォーマンスが起こりにくい薬が、結果的に良い効果をもたらすと言われています。

妊婦の花粉症で使用される薬の例

(風邪の鼻水止め・かゆみ止めとしても使用可能)

  薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー
内服薬 アレグラ フェキソフェナジン 【C】
アレジオン エピナスチン 【C】
キプレス モンテルカスト 【B】
シングレア
クラリチン ロラタジン 【B】
ザイザル レボセチリジン塩酸塩 【B】
ジルテック セチリジン塩酸塩 【B】
タベジール マレイン酸クロルフェニラミン 【B】
ペリアクチン シプロヘプタジン塩酸塩水和物 【B】
ポララミン クレマスチンフマル酸塩 【B】
レスタミンコーワ ジフェンヒドラミン 【B】
外用剤 クラビット点眼液 レボフロキサシン 【C】
タリビッド点眼液 オフロキサシン 【C】
アラミスト点鼻液 フルチカゾンフランカルボン酸エステル
ナゾネックス点鼻液 モメタゾンフランカルボン酸エステル
フルナーゼ点鼻液 フルチカゾンプロピオン酸エステル 【C】
フルメトロン点眼液 フルオロメトロン 【C】

【花粉症目薬】抗アレルギー目薬パタノール、アレジオン(防腐剤無添加)、ザジテン、リザベン
花粉症による目のかゆみ、充血の症状に抗アレルギー目薬(アレジオン・パタノール・ザジテン・リボスチン・他)が使用されますが、値段が高いのがネックです。
【花粉症点鼻薬】アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス、ステロイド点鼻薬の効果と使い方
ステロイド点鼻薬(アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス)は正しく使用することで、内服薬に匹敵するくらいの効果があります。点鼻薬の使い方についても解説します。

妊婦と気管支喘息

喘息治療中の妊娠で、喘息症状が悪化したり改善したりする場合があります。

喘息になった方は、喘息のおそろしさをよく知っています。

しかし、妊娠してから喘息になってしまった方の中には、赤ちゃんのことを考えて、薬の使用を躊躇(ちゅうちょ)してしまう方もいます。

喘息の吸入薬は、医師・薬剤師の指導で適切に使えば、妊婦や赤ちゃんにとって問題となることはほとんどありません。

喘息の悪化による喘息発作(低酸素状態)は、妊婦自身の命に関わります。

さらに発作がたびたび起きる場合は、赤ちゃんが低酸素状態となり発育が遅くなることがあります。

喘息の放置は妊婦と赤ちゃんの生命を脅かします。

喘息吸入薬では、パルミコートが妊婦に対してのデータが豊富にあるため、使いやすいです。

妊婦の気管支喘息の治療で使用される薬の例

喘息治療薬 薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー
内服薬 ベネトリン サルブタモール 【C】
ブリカニール テルブタリン硫酸塩 【B】
キプレス モンテルカスト 【B】
シングレア
プレドニン プレドニゾロン 【C】
吸入薬
(発作時)
サルタノール サルブタモール 【C】
吸入薬 パルミコート ブデソニド 【B】
シムビコート ブデソニド 【C】
ホルモテロール 【C】

処方箋の有効期限は4日間です。つらい時は代理の方でも受付可能です

薬局処方箋に有効期限(使用期間)がある理由と延長方法
処方箋はどこの薬局でも有効ですが、理由があり原則交付日を含めて4日間が有効期限です。期限切れの処方箋は使用できなくなります。ご注意を。

妊婦と妊娠糖尿病

妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠

胎盤から放出されるホルモンが原因で、妊娠中はインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効果が悪くなります。

今まで糖尿病でなかった人が、妊娠中に血糖値が異常に上がり、妊娠糖尿病となる方がいます。

妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠 高血糖値は妊婦と赤ちゃんに悪影響
糖尿病治療中でも血糖のコントロール次第で、健康な方と同じように出産することができます。妊娠が原因で糖尿病となってしまう方もいます。どの程度コントロールできれば、安全に出産できるのでしょうか?

もともと糖尿病だった女性が妊娠した場合は糖尿病合併妊娠と言います。

糖尿病は運動療法と食事療法が基本ですが、妊婦の場合は運動が制限されるため、食事療法が開始します。

それでも血糖のコントロールが不十分な場合は、インスリン注射を使用します。

妊娠糖尿病の治療と入院 インスリン注射は怖がらないでいいよ!
妊娠糖尿病で血糖値が下がらない場合はインスリン注射を使います。痛そう、怖そう、難しそう、低血糖が心配と聞きますが、最近の注射は、痛みも少なく、簡単で、低血糖も起こしにくいです。

妊婦の高血糖がいけない理由

  1. 妊婦自身の、網膜症・腎症・神経障害(糖尿病3大合併症)、羊水量増加、妊娠高血圧症候群などが起こりやすくなるため
  2. 出産時、赤ちゃんの肩が引っ掛かりやすくなり、難産(肩甲難産)が起こりやすくなるため
  3. 赤ちゃんの巨大化(体重増加)、流産などが起こりやすくなるため

妊婦と妊娠高血圧症候群

妊婦の高血圧のリスク

妊娠中毒症→妊娠高血圧症候群に病名変更

残念ながら、妊娠高血圧症候群の詳しい原因はまだわかっていません。予防法もわかりません。

  1. 腎臓病、糖尿病などの基礎疾患がある
  2. 妊娠前からの肥満、もしくは妊娠後の体重増加
  3. 35歳以上の出産

などが、リスク要因ではないかと考えられています。

妊娠して体重が増えると怒られたり、妊婦の体重を厳格に管理をするのは、妊娠高血圧症候群になる可能性があるからです。

国民健康栄養調査(2006年)・年齢別妊娠高血圧有病率

妊娠高血圧の有病率グラフ

妊婦の高血圧がいけない理由

血圧が高いというのは、血管に高い圧力が与えられている状態です。

その状態が続くと、血管がぼろぼろに痛み、細い血管が切れやすくなったり、固まりやすくなったりします。

  1. 妊婦自身には意識消失やけいれん(しかん発作)が起こることがあります
  2. 妊婦の血流が悪いため、赤ちゃんへの栄養伝達が悪くなる(発育不良)
    →低出生体重児(2500g以下で生まれた赤ちゃん)となる可能性があります

妊娠高血圧症候群で使われる薬の例

薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー
アルドメット メチルドパ 【B】
アプレゾリン ヒドララジン 【C】
ペルジピン
(注射)
ニカルジピン 【C】

アメリカでは、アダラート【C】、トランデート【C】が使用されることもありますが、日本の添付文書上は【禁忌】のため、妊婦には使いにくいです。

さらに詳しく知りたい方
日本妊娠高血圧学会「Q&A」

妊婦と鉄欠乏性貧血

赤ちゃんには妊婦自身の血液を使って酸素を送っています。赤ちゃんが成長するにつれ、鉄の需要は少しずつ増加します。

そのため、妊娠後期になると(鉄欠乏性)貧血になる場合があります。

貧血予防のために、普段から鉄分の多い食事(豚・鳥のレバー、パセリ、たまごの卵黄部分など)を心がけることが大切です。

また、鉄剤は悪心・嘔吐・便秘の原因となる場合があるため、服用量などに注意が必要です。鉄剤を飲むと、びっくするくらい便が黒くなります。

鉄剤は、シナール(ビタミンC)と併用で、鉄の吸収はよくなるため一緒に処方されることがあります。

トランサミン(トラネキサム酸)とシナール(ビタミンC)の美白効果(シミ、肝斑)
加齢とともに気になるシミ。肝斑薬トランサミンや美白ビタミンのシナールなどの飲み薬や塗り薬を使って、ある程度のシミは消すことができると言われています。

血液と鉄分の関係
血液の成分のひとつに赤血球があります。赤血球にはヘモグロビンという酸素を運ぶ働きをする物質が含まれています。ヘモグロビンは、鉄分が不足すると作れません

妊婦の鉄欠乏性貧血で使われる薬の例

薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー
フェロ・グラデュメット 乾燥硫酸鉄 【A】
フェルム フマル酸第一鉄 【A】
フェロミア クエン酸第一鉄ナトリウム

妊婦の下痢・便秘・痔

妊娠中は、運動量の減少と腸の圧迫が原因で、便秘しやすく、痔にもなりやすいです。

便秘には、食物繊維の多い食品を採るように心掛けるといいですが、解消されないときは薬が処方されます。

妊婦の下痢・便秘・痔で使われる薬の例

用途 薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー
下痢 ロペミン ロピラミド塩酸塩 【B】
便秘 ラキソベロン ピコスルファートナトリウム
テルミンソフト坐薬 ビサコジル
マグラックス 酸化マグネシウム
マグミット
下痢便秘 ビオフェルミン 乳酸菌
強力ポステリザン軟膏 大腸菌死菌浮遊液
ヒドロコルチゾン

マグラックスは酸化マグネシウム「ヨシダ」に名称変更

プルゼニド、アジャストコーワA、センノシド、センノサイド、センノシドは原則妊婦禁忌ですが、使用されるケースもあります。産科医師とご相談ください。

妊婦と吐き気

妊娠中の悪心・嘔吐とは、いわゆる「つわり」のことです。

妊娠してホルモンのバランスが急速な変化が原因で発生すると考えられています。

つわりは、妊娠5週~16週までに症状を訴える方が多いです。
ちょっとした臭い(夫の体臭)で吐き気が出る方もいます。

重症化した「つわり」を妊娠悪阻(にんしんおそ)と言います。

脱水症状防止のために点滴を行います。悪阻が原因でビタミンB1(チアミン)が不足し、ウェルニッケ脳症(ビタミンB1の不足で起こる脳症)を起こすことがあります。

吐き気がひどい場合は、ただの「つわり」と思いこまず、産科に受診をおすすめします。

薬の名前 一般名 妊婦カテゴリー
プリンペラン メトクロプラミド 【B】

妊婦と皮膚のかゆみ

医師が処方した軟膏、クリーム、ローションは、用法を守れば妊婦の使用は問題ありません。ただし、妊婦には通常使用しない塗り薬もあります。

ひどいかゆみは妊娠性皮膚掻痒症(にんしんせいひふそうようしょう:とにかく痒い)の可能性がありますので、産科・皮膚科を受診してください。

妊婦は乾燥しやすいので、お風呂上がりはしっかりとした保湿が重要です。

ステロイド外用薬は妊婦さんも使用できます

アトピー治療で使うステロイドの副作用の真実とウソ
ステロイド軟膏は正しく使えば、アトピーなどの炎症をすばやく押さえ込み、QOLの向上させる薬です。しかし、ステロイドは怖いものとして認知されているようです。Q&A形式で副作用を整理します。

妊婦禁忌の塗り薬の例

薬の名前 一般名 主な目的
プロトピック軟膏 タクロリムス水和物 アトピー性皮膚炎
プロスタンディン軟膏 アルプロスタジル
アルファデクス
褥瘡、皮膚潰瘍
ディフェリンゲル アダパレン ニキビ
セクターローション
セクタークリーム
セクターゲル
ケトプロフェン 肩こり
腰痛
関節の痛み

ニキビの治療について

新薬ゼビアックスローションはニキビに1日1回でOK!効果と副作用
ゼビアックスローションは2016年1月7日発売のニキビ薬です。アクアチムクリーム、ダラシンTゲルと同じ抗菌薬で、赤ニキビの薬として期待されています。比較してみていきましょう。

アトピー性皮膚炎について

アトピー薬プロトピック軟膏の効果、副作用と使い方をステロイドと比較 プロアクティブ療法とは?
プロトピック軟膏(タクロリムス)とステロイド軟膏を用いた新しいタイプの治療法「プロアクティブ療法」が広まってきています。プロアクティブ療法は、再発を防ぎ、良好な状態を保つ治療法の一種です。

妊婦とインフルエンザ

【妊婦のインフルエンザ】タミフル、イナビル、リレンザは赤ちゃんに大丈夫?
妊婦は重症化するリスクが比較的高いため、インフルエンザの薬(タミフル、イナビル、リレンザ)を使用することがあります。薬の妊婦と赤ちゃんへの影響を解説します。
妊婦、授乳中、赤ちゃん インフルエンザ予防接種(ワクチン)NGは誰?
妊婦、授乳中、赤ちゃん。インフルエンザ予防接種をためらってしまう3タイプです。この中でインフルエンザワクチンを使えない人がいています。誰でしょうか?

まとめ

薬は発売前に安全性を確認してから発売されます。

しかし、人への直接的な安全性の確認は健康な人で行うため、発売直後は妊婦・赤ちゃんへの薬の影響はわからないことも多くあります。

妊婦と赤ちゃんへの安全性の確認は、使用の積み重ねで確認されています。そのため、妊婦には使用実績の多い古い薬が使われることが多いです。

長文お疲れ様でした。
元気な赤ちゃんを無事に出産できることを祈っています。

医師は、薬の服用するリスクと利益を天秤にかけた後、妊婦に薬を使用します。疑問や不安は、かかりつけ医、産科医、薬剤師に直接聞くのが一番の解決方法です。

妊婦さんに有用なホームページ(外部サイト)